カレイドメイズ  半熟姫のあかるい国家計画 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 半熟姫のあかるい国家計画】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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お姫さまに襲われる!?
子作りも王国復活のためなのです! byネーフェ王女


魔導万華鏡(カレイド・ショット)使いのカイルと相棒のレナートスは、古代魔法王国の遺跡を探索し、隠された部屋を見つける。なんとそこには王国最後の王女ネーフェが眠っていた! 二千年の時を超えて目覚めたネーフェは、祖国の滅亡にショックを受けるが、王国復興のため「まずは子孫をふやすのです!」とカイルにせまり!?一方、王女の覚醒とともに、世界に災厄を呼ぶ超越遺物(アーティファクト)が遺跡から発見されていた! 天然半熟姫を巡る冒険ファンタジー、スタート!!

冒頭初っ端から酷い修羅場を見せつけられた件について(笑
いやもう、なにこれひどいw いきなり父親の浮気現場に踏み込んだ母親に連れられて、父親が粛清される場面を見せつけられる主人公、というところからはじまった日には、そりゃあ掴みは上々である。どう見ても、主人公の人格形成がいささか歪んだというか冷めたものになってしまっているのが一目瞭然だもんなあ。
あらすじを読む限り、天然奔放な変人お姫様に振り回されるパターンの話だとすっかり誤解していたのだけれど、実際に読んでみるとお姫様は確かに世間知らずで天然っぽいけれど、性格は温厚で素直、物分りもよく頭脳明晰で可憐でお淑やか。わりと常識人だった。
むしろ主人公をはじめとした周りの連中の方が明らかに変人なのである。一件、主人公もまともに見えるんだけど、話が進むに連れて馬脚を現してくるんですよね。母親のかなり壊れた薫陶もさる事ながら、明らかに偉人変人な父親の方の血も継いでいるのが明らかで、両者の秀でた、あるいは一線を超えた部分が結合して、かなりとんでもない人間になってる気がするぞ、この主人公。なまじ、常識人に見えるあたりがヤバい。よくよく付き合わないとダマされる。
というわけで、舞台が常識や倫理や秩序や場合によっては自分の命や他人の命よりも、好奇心や研究を優先するという学者バカが集う学術研究機関であるが為に、主人公も友人も先生も、すべからく一本線が抜けているために、特にラストらへんのしっちゃかめっちゃかっぷりは酷い有様に(笑
みんな、色々と我欲に正直すぎるw
とはいえ、みな変人ぞろいとは言え、根はいい人だし、ねちっこくドロドロとした部分もないので、気負わずドタバタなノリに興じることの出来る良質のコメディだ。中盤以降、世界観やキャラの手応えや感触を作者が掴んだあたりからだろう、話のリズムやキャラ同士の軽妙な掛け合いのテンポもグイグイ乗ってきて、ラストらへんはかなり大笑いさせてもらった。レナートスのビアンカへの所業がもう、酷いのなんの。あれはアウトだろう。殺されても文句言えないぞ。だいたい、なんで暗記しちゃってるんだよ。どんだけ好きなんだw
ラブコメとしても、最初は無邪気な義務感からはじまったお姫様のカイルへのアプローチが、一緒に過ごすうちに本物の想いへと段々と移り変わっていく様子がなかなかラブくて、ニヤニヤものでした。なんだい、仲いいじゃないw
ともあれ、前作よりもいい意味でこなれてきて、これは楽しみなシリーズになりそうです。期待。