パパのいうことを聞きなさい! 6 (パパのいうことを聞きなさい! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【パパのいうことを聞きなさい! 6】 松智洋/なかじまゆか スーパーダッシュ文庫

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優しさと温もり満載のドタバタアットホームラブコメ第六幕!
ジュウベエを迎え、平和を取り戻した小鳥遊家。
ペットが来たことでひなの寂しさも和らぎ、笑顔の日々が続いてる二月。
祐太はすっかり忘れていたのだが、バレンタインデーが近づいていた。
空と美羽は祐太にチョコを渡すと決めて、静かに競い合う空気だが
そんな折り、祐太の憧れの人である織田莱香の様子がなんだかおかしい。
鈍い祐太は今ひとつ気づいていないようだが、優しい空は気づいてしまう。
恋敵とも言える美貌の恩人のために空たち三姉妹は一計を案じるが……
小学生に金を稼がせるのは論外だけど、姉妹が望むのはお金の心配をしなくて済むことじゃなくて祐太が無理しないでくれること。大事な日にはちゃんと一緒にいてくれる事だというのを、どうしてこの大学生はいつになっても理解しないんだろう。キミがそうやってムキになってバイト三昧に明け暮れるからこそ、美羽たちが色々と気を回しちゃうんじゃないのかねえ。全く学習しないというのも、傍から見てると疲れてくるものなんですねえ。本人がそれなりに学習している「つもり」なのがまた腹立たしいw
これで、ちゃんと莱香さんのこれまでの鬱積の発露に対してキチンと意図してフォローが出来てたら見直したところなんだが、どうにもあれは特に考えがあっての言動ではなかったから評価し難いんですよね。彼の在り方そのものが莱香の蒙を啓く事になった以上、祐太の性格や人間性そのものが莱香との相性ピッタリ、とも言えるんですが、もう少しちゃんと自分の意志と考えを持って好きな人の内面を鑑みて、動いて欲しかった。今のままだと、祐太は莱香という女性をちゃんと理解していないって事ですしね。将来的に莱香の精神面にナニカ大きな意図せぬ変動があったときに、それが祐太の無意識の言動でカバー出来ないものだったとしたら、彼は為す術を知らずに右往左往するだけに終わってしまうかもしれないんですから、それはどうにも心許無い。
それに比べて、三姉妹の頼もしいこと。むしろ今回に関しては彼女たちの方こそが恐れず怯まず目の前で途方に暮れている年上の女性の内面に踏み込み、それを理解しようとし、膝を抱えて蹲り続けていた莱香さんの手を引っ張って立ち上がらせ、顔をあげさせたのですから、祐太とどちらが活躍したかというと、明らかに三姉妹の方だもんなあ。意外と難しい性格で、その上頑ななところがある莱香さんを、鮮やかなと言っていいほどの手並みで手懐け、心開かせ、勇気を与えたさまには感心するばかりでした。毎日を過ごすのに精一杯で助けられてばかりだったこの娘たちが、回りまわって今やこれまで助けてくれた周りの人達にお返しのように光を与え、振り撒く姿は眩しいばかりです。祐太は、そんな娘たちの支柱になっているというだけで大したものなんでしょうけどね。もうちょっと視野を広く持ってほしいなあ。今のままじゃ柱ではあっても、大黒柱と言えるほどの貫禄が全然無いし。ジュウベエに舐められるのも仕方ないよ。
とは言え、彼の存在が三姉妹にとって掛け替えの無いものであると同時に、今回の一件を通じて莱香にとっても理屈や客観性の向こう側にある、心のままに有らんとすれば自然と欲する存在であることが、莱香さんの中に確かな認識として芽生えた以上、何気にラブコメ的には劇的な進展があったのか、これは。
空と美羽としては完全に自爆なんだが、莱香を家族として受け入れる下地がほぼ完璧に出来上がってしまったわけだし。叔父である祐太をお兄ちゃんと呼んでいるくせに、莱香をお姉ちゃんにしてしまったら、そりゃもうそういう事にしかならないじゃないかw
最初からほぼ独走だった莱香さんが、ラブコメレースでおもいっきり抜けだした瞬間である。ただでさえ大学の同級生で、菅谷さんなんてダークホースが勇躍現れたってのにねえ。
一度限りのすれ違いに終わらず、間髪入れずに菅谷さんがアプローチ掛けてきたのにはちょっと驚いたけど、あそこできっちりと彼女のイラストを宛てがっているあたり、ほんとに侮れないダークホースとして位置づけられているのかもしれない。ぶっちゃけ、思ってたより遥かに可愛らしくて人懐っこいイメージのデザインだったし。あれは、素直に可愛いですよ。

まあ、今回一番可愛かったのは、ブッチギリでよし子伯母さんだったんですがね(笑
この人、あと年齢が一回り、それこそ美羽の母親くらいまで若かったら、菅谷さんどころじゃないダークホースになってたかもしれない、という萌えキャラっぷりで。巻末の漫画でも、見事に主役になってましたしねえ。ジュウベエに絡まれた時の伯母様の愛らしさときたらもう、いったいどうしたらいいものやらw

松智洋作品感想