だって愛してる(3) (まんがタイムコミックス)

【だって愛してる 3】 むんこ まんがタイムコミックス

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街子夫婦に待望の新しい家族が…。でもその時、街子さんは――!?涙と笑いのまぜごはん「だって愛してる③」大波乱の完結編!!
実際にこれを読んだのはもうひと月以上前なのですが、その時はこの感慨をどう処理していいか分からずに、感想を書くにも手をつけられなかったのでした。だからと言って、一月半近く経った今なら落ち着いて振り返れるのかというと、そういう訳でもないのですけどね。もう一度改めてじっくりと読み返してなお、圧倒されるのです。
長い人生において、愛という拠り所が如何なる価値を持っているのか。いや、果たして価値や意味などといった言葉で片付けていいものやら。
ここで描かれている愛情は、夫婦のものにしても、家族、両親に対するものにしても、友人知人先達や同輩、そういった人と人との繋がりに対するものとしても、ひたすらに優しく、温かいものとして描かれています。だからと言って、その優しい愛が人生において優しいものであるかは、実のところイコールではないのです。時にその優しい愛こそが、心を押しつぶす重さになることもある。人を追い詰め、絶望させるものとも成りかねない。でも、それでも、いやだからこそ、その重さこそが人生を救い支え続ける事にもなるという究極の矛盾。
そんな愛情というものの凄みを、この作品は余すことなく描き切っている。とてつもなく温かい、ハートフルな物語にも関わらず、いっそ壮絶とすら呼べる迫力をひしひしと感じさせる、まさに傑作と呼ぶ他無い一作でした。
そしてこの作品の有り様を、あの巻末の作者の言葉が見事に表現しきっているように思います。この若夫婦とそれを取り巻く人々の人生の一抹を垣間見たその後に、あの言葉を目にしたとき、読者はこの作品のタイトルの業の深さと願いを知ることになるはずです。衝撃とも納得ともつかないあの感覚は、今でも余韻として振り返ることが出来ます。
「だって愛してる」
果たして自分は、誰かをこんな風に愛せる事があるのだろうか。そんな事を真剣に思い耽った一時でした。

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