蒼穹のカルマ7 (富士見ファンタジア文庫)

【蒼穹のカルマ 7】 橘公司/森沢晴行 富士見ファンタジア文庫

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槙奈の黒歴史再来!!『ダークパラディン伝説』
主人公の設定:<黒衣の聖騎士>ヴァリアルド・ヴァン・シュナーヴェル。武器は巨大な十字架型のロザリオ・セイバー。新進の鬼才・鳶一槙奈が贈る次世代エンターテイメント! あなたは歴史の生き証人となる――。

お願いだから、もう勘弁してあげて、もうやめてあげて。槙奈のHPはとっくにゼロよ!?
いやもうマジで、槙奈が悲惨すぎる。なにこの極悪非道な虐殺ショーは。自分の恥ずかしい過去が晒し者にされるという惨劇に見舞われるようなシチュは数あれど、ここまで、ここまで巨大な規模で晒し者にされた人っていませんよ? ありえませんよ? だって、心が死ぬもの。社会的に生きていけないもの。未だかつて見たことがないレベルでの羞恥プレイに、もう流れる涙が止まらない……あとお腹痛い、笑いすぎでw
いやあ鬼ですよ、鬼。そんなに鳶一槙奈が好きか、作者さん。このシリーズ、駆真の紆余曲折しまくる破天荒な日々にばかり目が行ってますけど、振り返ってみると駆真の陰に隠れているけど槙奈も相当ぶっ飛んだ人生歩んでますよね。概ね駆真のとばっちり、というのがまた涙をそそる。それでも、蒼苑騎士団でも屈指の最強騎士となり、異世界の魔法まで習得し、ちょー売れっ子新人作家としてデビューを果たし、と経歴だけ見ると順調に人生勝ち組ロードを歩んでいる気もするのですが、そろそろ鳶一槙奈、心が死にそうですw
それに比べて、駆真と来たら……この女はほんとに、どうしようもないなっ。どうしようもないなっ! 槙奈には駆真を殺す権利があると思いますよ? ヤッちゃっても構わないと思うYO?

それにしても、驚かされるのは広げた大風呂敷のたたみ方の素早さである。正直、前巻のラストの展開を前にした時には、ついにシリーズ通したラスボス登場か!! と、VERSUSリサ編へと突入すると思ったのに、バッと広げた扇子を、そのまま勢い良く逆に振って畳んでしまった、みたいな潔いという他無い展開に。そう言えば、冬香母さんが初めて登場した時も、すわラスボスか、と構えたもんなあ。見事に騙された訳だが。
でも、一段落ついて一息いれる間もないのがまたこのシリーズの特徴でもある。だいたいもう巻の始めか中盤あたりからすでに次巻への伏線が仕込まれだしてるんですよね。お陰で、大風呂敷がたたまれたと思った時にはすでに次の大風呂敷が広げられてその渦中にいるという、繋ぎ方がまた巧妙この上ないわけだ。この、終わったと思ったらすでに始まっていた、という展開が尽きることなく続いていくので、本当に気が休まらない。恐ろしくスピーディーで大雑把に見えて、グランドデザインの描き方が精妙極まるんですよね、この作者。ここまで全体像を捉えきれないまま鼻面摘まれて引っ張りまわされる作品って、私自身殆ど経験ないものだから、毎回毎回新鮮で楽しくって仕方有りません、いやあ、凄いわ。
まさか、こんな展開が待ってるとは、と唖然呆然だもんなあ。でも、考えてみると6巻の話が出来るなら有り得なくないんですよね。無茶苦茶なのに無理がないんだからたまったもんじゃない。双子神からすりゃ、在沙に出来た事が他神の力を借りるにしても出来ないはずないですもんね。でも、あの人については今まで微妙に謎、というかその人となりを含めて伏せられていた部分が多かっただけに、これ一体どういう事になるんだろう。
と、次巻が気になって仕方なくなるあたり、やっぱり引きは強烈だ。

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