断罪のイクシード 2 −牙を剥く闇の叡智− (GA文庫)

【断罪のイクシード 2 ―牙を剥く闇の叡智(グノーシス)―】 海空りく/純珪一 GA文庫

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 深夜――藤間大和は一人の少女に出会う。大怪我をしているにも拘わらず、突然襲いかかってきた少女の髪からのぞいたのは、
「ねこ……みみ?」

 大和の反撃を受けて意識を失った少女を一応自宅に連れ帰り、静馬に相談したところ、少女はおそらく「人狼」であり、魔術秩序を乱す「逆十字」の手先であろうと告げられる。
 一方、大和たちの住む台東市で、魔術的な薬物が蔓延し始めていることも判明。二つの事象が繋がっていると考えた静馬と大和は、調査を開始するが――。

 再び訪れた超常の夜。魔術と策謀が渦巻く、シリーズ第2弾登場!
あれ? あれあれあれ? このシリーズってこんなに面白かったっけ!? なんか、目茶苦茶突き抜けて面白かったんですが!?
一巻はだいたいストーリーは覚えているけれども、ハッキリ言って殆ど印象残ってなかったんだが、この二巻はビックリするくらい面白かったです、いやびっくりした、びっくりした。なんで!?

とにかく、冒頭から日常パートにおける強烈極まりないボケツッコミの応酬が繰り広げられる掛け合いがすこぶる楽しいのだ。主人公の大和って、こんなにいい意味でも悪い意味でも突き抜けたお馬鹿でしたっけ? メインヒロインの静馬からして、陰のあるクールな美少女というファーストインプレッションはどこへやら、大和の大ボケ小ボケに血の惨劇ツッコミで血祭りに上げる、果てしなくイイ性格のお嬢さんに出来上がっちゃってるし。というか、この二人に限らず主人公の回復力がギャグキャラ並みに尋常でないことをいいことに、静馬にしても妹ちゃんにしても、ツッコミが凶悪すぎるんですが。特に妹、兄貴をナチュラルに簀巻きにして逆さ吊りにして一晩熟成するんじゃないw そして、そんな残虐非道なツッコミを度々うけながらもまったく懲りない大和先生。直情熱血バカとは言え、もう少しおとなしくなかったか? なんか、深刻にバカになってるぞ。しかも、口も悪いし。
でも、そのバカさ加減が気持ちいい。慢心ではな自信に裏打ちされた威風堂々とした態度、荒っぽくも温かい人となり。これはカッコイイですわ、異性同性問わず惚れ惚れしてしまうだろう古強者。でも、バカっぽさ故に畏怖されるよりも愛されるタイプですよね。可愛くて可愛がってくれる男の人、とでも言うのか。
ヤバい、楽しいですわ、これ楽しい。掛け合いがこれだけ楽しいと、そりゃ気分も盛り上がってくる。その高揚した所に、譲れない理由と信念の貫かれた熱い気持ちの篭ったバトルが舞い込んだら、ヒートアップも当然でしょう。いやこれは、痛快、痛快、すこぶる痛快異能活劇。
新キャラの結城ニアも、見た目のポワポワした印象と違って、やたら硬派な堅物キャラだし。というか、これキャラデザインとギャップが大きすぎるんですが。しかも、これ猫じゃないだろう。ワンコでしょう、明らかに性格。
ああ思い出した。何となく既視感があると思ったら、雰囲気あれにそっくりなんだ。GS美神の犬塚シロ。
これは自らを否定し嫌悪しただ復讐に身を焦がしていた少女が、自分を育て愛してくれた人が残してくれた想いと、新たに出会った二人の友人によって、誇るべき自分を見い出し未来を勝ち取る成長譚。
うーん、キャラが魅力的だ。
戦闘パートも、絶対的な能力と技量を備えた圧倒的に実力で上回る相手に、二重三重の罠を仕掛けて僅かな勝機を掴みとる、手に汗握る熱いバトルで読み応えがあった。実際、相手の力って殆どチートレベルなんですよね。使い手自身も決して相手を見下して力を抜くようなマヌケじゃなく、歴戦の猛者と言った感じで、どうやって勝つのか想像もつかないような戦況を、一手一手巧妙に、繊細に組み立て積み上げた裏の裏の裏を付く作戦で、まさに迫真でした。いや、面白かった。

ラストはまた、何やら不穏極まりない終わり方で、ドキドキ♪
この二巻の面白さは嬉しい予想外でした。これは化けたか? この調子で行ってくれるなら、GA文庫でも特に楽しみなシリーズになりそうです。