ケモノガリ 3 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 3】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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いま、“クラブ”の真実が紐解かれ始める!
罪無き人を狩る“クラブ”がこの世には存在する。罪無き人を狩る“ケモノ”がこの世に蔓延っている。世界は相も変わらず騒がしい。どこかで戦争が始まり人が殺されたという。事故が起こって人が殺されたという。おそらくその報道の九割ぐらいは、事実がありのまま晒け出されているのだろう。だが、残る一割は、ひょっとしたら──違うのかもしれない。人を狩ることに喜びを見出した権力者(ケモノ)と、彼らの手先となって動く娯楽提供者(エンターティナー)による仕業なのかもしれない。それが、この僕──赤神楼樹の敵である。
さすがに二巻の「アレ」ほどインパクトのあるキャラは居ませんでしたが(居てたまるかッ、という意見も大いにありますが)、敵の人外化は留まるところを知らず、というかもはや人間じゃないし!!
いやあ、でも今回もあのカラー口絵の壮観さは、二巻のあれにも引けはとってないかもしれない。そういうものだ、と受け入れずに冷静に眺め直してみると、相当に狂ってるもんなあ。一瞬、生ゾイドかと思ったし。っていうか、元ネタゾイドだろ、これ(笑
生物兵器、というネタ自体は珍しくもないものかもしれませんけど、ここまで身も蓋もない改造をされてしまった生物兵器って、案外といないんじゃないですか? 普通はもっと技術的にも凝るもんなあ。作中で楼樹くんが呆れてますけど、確かに「ぼくのかんがえたさいきょうの〜〜」をそのまま具現化したような代物で、それを実際にやられてしまうと醜悪を通り越して馬鹿馬鹿しいとしか言えなくなるわな。ただ、その材料が生きている動物となると、途端に笑えなくなる。そうなんだよなあ。二巻の「アレ」はもう笑ってしまったけど、今回のは笑えませんでしたよ、全然。ヒドイ話にも程がある。

今回は楼樹くんもこれまでのような殺戮スキルを存分にふるえる状況ではなく、苦戦を強いられる。やはり、戦いの基本は相手より強力な力で押さえつけるのではなく、得手を封じて力を振るえなくする事が一番というわけだ。特に、一人無双状態な人物が相手なら。CIAのネーちゃんがサポート役になってくれてなかったら、相当ヤバかったかもしれないですね、今回は。まあ、民間人の救助を諦めたら一人で力技で全部抜け出せたかもしれませんがw

さらに、今回は楼樹くんのライバルとなろう相手の登場と共に、楼樹くんに比肩する力を持った仲間が加わることに。そうだよなあ、楼樹くんみたいなキャラの相棒となるには人間のキャラじゃ無理だもんなあ。孤高のダークヒーローにもし仲間が加わるなら、まさに今回登場したこの子みたいなのでないといけないわけですよ。やっぱり分かってる、この作者はこの手のパターンはまさに掌握しまくってる。かゆいところに手が届くってなもんですね。
ただ、敵に楼樹くんと対等の力を持った敵が現れるというのは、諸刃の剣になりかねない展開かもしれない。これまでは、どれほど強大な敵ではあっても、狩りだったんですよね。楼樹も敵も、相手を獲物を見定めて狩り合うハンティングだったのが、今回現れた魔人アストライアとの戦いは、狩りではなく闘争なんですよね。【ケモノガリ】というシリーズのコンセプトからどうしてもズレるであろう、アストライアとの戦いがはたしてこのシリーズをどう導き変質させるのか。
次こそがある意味、見所でしょうね。

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