神様のメモ帳〈6〉 (電撃文庫)

【神様のメモ帳 6】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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 高校の文化祭が押し迫る晩秋、ラーメンはなまるにやってきたのは、チャイナマフィアの後継者兄妹。なんとミンさんの親戚だという。ミン父・花田勝の引き起こした事件をきっかけに、なぜか持ち上がるミンさんの縁談。そこで立ち上がったのは、ヒロさんだった。
「おれからの依頼。この婚約、ぶっ壊してくれ」
 ヒモのくせして、ついにミンさんに本気! 二転三転の結婚騒動を描いた「電撃文庫MAGAZINE」掲載作と、ヒロさんの師匠初登場の書き下ろし短編『ジゴロ先生、最後の授業』を収録した第6弾!
雑誌掲載分が載っている巻ということで、ああ短篇集なのか、と勝手に思い込んで読んでたら、読んでも読んでもミンさんの結婚騒動が終わらずにあれあれあれ? と戸惑っている内に最後まで行き着いてしまった。
短篇集じゃないのかよ!?
というわけで、本気で中盤まで短い話だと思ってたんで、ミンさんの結婚騒動もわりとドタバタで締まらない真相が待ち受けてる、笑い話で終わる話なのだと勝手に思い込んでたんで、話がどんどん深刻になっていくのには相当に混乱させられてしまった。いや、徹頭徹尾こっちの勝手な勘違いのせいなんだが。だいたい、前の五巻が短篇集じゃないか。続けて二回もしないですよね。
ミンさんが中華系だというのは、最初に出ていた時に名前から想像はしてたんですが、以前に父親の話が出てそれがちゃんとした日本人だという事が分かったので、じゃあミンさんは何かのアダ名でちゃんと日本人としての名前があるんだなあ、とこれも勝手に思い込んでたんですよね。最初の第一印象であってたのか。いやあ、花田勝という人、以前登場したときに明らかになった素性がまたえらく突飛で、この作品の中では妙に浮いた設定だなあ、と思ってたんですが、まさかそういう事情があっての来歴だったとは。
あんたはどこの南雲慶一郎だよっ!?
いずれにしても、哀しい父と娘のすれ違いである。親ってのは、時として身勝手が過ぎる時がある。子どもが親に望んでいるものをまるで省みず、勝手なエゴを押し付けて勝手に満足して勝手に居なくなる。ミンさんは、真実を知ったとき、本当は何を思ったんでしょうね。やっぱり、悲しかったのか。それとも、口走っていたように虚しかったのか。何れにしても、ミンさんとしては、そうじゃないだろう、という気持ちだったんだろうなあ。
虚しい話である。
結局これ、どういう話だったんだろう。何が得られて、どんな結論が出てきた話だったんだろう。最初から最後まで、誰にとっても意味が無い話だったんだろうか。
少なくとも、ナルミたちの働きによって、無意味という結果を得られたのなら、それはそれでナルミたちが恐ろしい思いをしながら走りまわった意味はあったのかな。最悪、誰もが不幸になる、という結果も考えられたわけだし。最良なんて最初から無かったにしても、最悪を回避できたのならそれで十分意味はあるのかもしれない。ただ、虚しいですけどね。

しかし、ナルミは本当に何者になって行ってるんだろう。高校生のくせに、これもうまともな人生歩めないような世界に首突っ込んでるもんなあ。普通にひょいひょいと境界線を跨いでしまってる。裏業界に名前も知れ渡ってきてるみたいだし、実際にヤーさんや中国マフィアにまで顔がきくって、何が何だか。
おまけに最後の掌編じゃあ、ジゴロの才能まであると看破されてしまってるし。他のニートたちは今イチ将来もこのままって感じはしないんだが、ナルミだけは本気で無職でこの世を渡って行きそうな気がしてきた。

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