ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立(2) (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立 2】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

Amazon

北海道特別措置法 ―― それは日本政府の国策によって集中的に資本を投下され、さらに難民労働者の奴隷労働によって豊かになった北海道の、半独立国としての特権を保証するものだった。この地に拠点を移した軍産複合体は、日本政府と袂を分かち、北海道共和国の樹立をもくろむ。一方、独立派の暴走を憂え、本土回帰を志す者は、特別措置法の廃案をめざす日本政府との交渉に奔走する。戦争か平和か? それを決めたのは、独立派による本土へのミサイル攻撃だった。芝村舞と速水厚志は、道東を逃亡中、難民労働者の窮状をつぶさに知り、正義を貫くため、北海道上陸作戦への参加を決意する。白熱のシリーズ第2弾!

片岡さんまじロリコン!(笑
この人もまたえらい波乱万丈の人生を歩んでいる。元々、会津閥のエリート幕僚であり、九州奪還戦や東京クーデターで果たした役割からは、今の彼の姿は想像だに出来なかった。夜郎自大に陥り、選良意識に凝り固まり、正義の何たるかを履き違えていた彼は、泉野清秀から片岡歳三という別の人間になり、今までの自分を文字通り殺すことによって、何かを脱ぎ捨てることが出来たのかもしれない。彼が情報分析官として介入した現場で遭遇した理不尽に対し、彼は純粋に人間として怒りを覚え、人として当たり前の正義感に身を委ねる事になる。そう、彼はここで初めて自分の為でも世の中の為でもない、誰かの為に、他の人の為に怒りを覚えるのだ。もしかしたら、この瞬間こそが死人だった彼が一人の人間として蘇った瞬間だったのかもしれない。
この人は、やらかした事が事だけに好きになれなかったのだけれど、こうして自分の為でも社会や世間の為でもなく、彼が助けることが出来たあの子の為に生きる事が出来るようになったのは、素直に良かったね、と思えた事が嬉しい。しかし、浅井所長も若い女性との間に色々とあったせいか、アドバイスが的確というか、実が篭ってましたよねえ。経験者は語る、か?(笑

本土と北海道の緊張状態は、樺島の暗躍と小笠原知事の未練と執着により、悪化の一途をたどっていく。大原首相は一切の妥協を許さず、断固とした崩さない。これが民族自決や圧政の結果、支配から逃れるために独立を図るというのならまだ理解も出来るんだが、幻獣との戦争から一歩距離を置き、無数の戦死者を盾にして謳歌してきた繁栄を、特権を、利権の数々を失いたくないから、という理由で他国にすりより独立をはかろうなんて、そりゃ認められないし許せたもんじゃないよなあ。あくまで戦争を支えるための特例措置を、戦争が終わってもなお維持する理由はどこにもない。これはもう、小笠原知事は冷静な判断を失っているのじゃないだろうか。それとも、何らかの精神操作を受けているのか? アリエスがやらかしたみたいな強引で無秩序なものとは違って、ほんの僅か視野を狭窄させているだけ、みたいな。完全に人間同士の内戦なのかと思ったら、思わぬところで幻獣の別勢力が一枚噛んでいた事を考えると、北海道側の主要人物たちに対して僅かずつ思考を誘導している可能性は、現段階で否定しきれない。
ただ幸いなのは、第七師団の師団長がまったく冷静であり、自らが自衛軍の軍人であるという意識を持っていることだな。政治側も、吉良潤という人が、ほとんど正ヒロインみたいな形で表舞台に飛び出してきたし、兎にも角にも政軍両方の要に健全な理性を持った人がいてくれたというのは、この内戦間際の状況がまだ最悪になる前に歯止めがきく可能性が残っている事を示している。泥沼の内戦、国内有数の生産基地となっている北海道の壊滅、なんて現状ではそのまま日本の破滅に繋がるような事態だもんなあ。せっかく、幻獣との戦争が終わったというのに、こんな事で国が潰れたら、それこそ国を守って死んでいった人たちが浮かばれない。
しかし、内戦を防ぐことに筋道が見えてきたと同時に、本当の黒幕の存在が垣間見えたことで、この事態が収束してもそのまままだ「次」の何かが待ち構えていそうだ。
まあその前に、吉良ちゃん頑張れ、ですよね。この娘が好きなのって、やっぱりあの人なんだよなあ。最近、歳の差カップル多く無い?

榊涼介作品感想