デート・ア・ライブ  十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

【デート・ア・ライブ 十香デッドエンド】 橘公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

Amazon

世界を殺す少女を救う方法は――デートして、デレさせること!?
「――君、は……」「……名か。そんなものは、ない」四月一○日。五河士道は精霊と呼ばれる少女と出会った。世界から否定される少女。だけど自分だけは少女を肯定したいと願った。新世代ボーイ・ミーツ・ガール!!
ちょっと笑っちゃうくらい、解説とか説明とか投げてるな、これ! 本来なら、精霊とは何なのか、どうしてこの世界に現れるのか。妹ちゃんがどうしてああいうことになってしまっているのか、など物語の主題の一ツとして追求したり、言及して然るべきところを大胆にスルーされた時には「え? それツッコまないの!?」と読んでるこっちでツッコミを入れさせられてしまったがな。これ見よがしに餌をぶら下げられて、かぶりつくのかと思った途端にひょいとスカされるこの感覚。これがかの有名な放置プレイか!
相変わらず、トントン拍子で展開が思わぬ方向へと転がり落ちていくのは【蒼穹のカルマ】から変わらないこの作者のお家芸といったところか。ただ、あちらと比べてもこの【デート・ア・ライブ】はよりコミュニケーションと内面描写に重点を置いてじっくりと人物を描こうとしているようだ。それがなぜああなるのかは、やっぱり謎に包まれているが。だから、なんで妹があんな事になってるのか誰か説明してくれよ! 何も知らなかった兄貴の士道も含めて誰も突っ込んでくれないから気になって仕方ないんですよ! シドー、おまえ十香の事が気になって頭が一杯なのは分かるけど、もうちょっと妹の方も気にしろよ。可愛い妹が青天の霹靂みたいに訳の分からない正体を見せたってのに、なんでそのまま受け入れちゃってるんだよ(笑
こいつ、実は普通にバカじゃないのか?

それにしても、ちと面白いのが登場人物の幾人かが、【蒼穹のカルマ】シリーズと登場人物が同じ名字だったり、地名にあれ? と思うところがあったり、微妙に互換性を感じさせる部分がある所なんですよね。特に世界観が共通してたり、過去の話だったり、という訳じゃないんだろうけど(断言できないが)、サブヒロインの名前に鳶一を使うのは色々と反則だと思うぞ(笑
さすがに、年齢的に苦しい魔法少女にさせられて痛かったり、黒歴史の自作小説を大々的に売り出されて痛かったりと、痛々しいありさまにはなっておらず、それなりにちゃんとヒロインらしく扱われてて、こちらの鳶一は幸いでしたが。
鳶一さんは置いておいて、むしろ注目すべきは主人公である士道と十香ですよ。村雨玲音が彼のことを「シン
と略した時に「ん?」と思ったんですけど、この二人って何気に【蒼穹のカルマ】シリーズの鷹崎宗吾と冬香の互換モデルなんじゃないのだろうか。キャラや性格までそのまま一緒だとは言わないんですが、シュウと冬香が結ばれるまでのシチュエーションと、今のこの二人の立場ってわりとそっくりなような気がして。名前の感じが似ているのもそうなんですけど、特に十香なんかは冬香がまだ人間という生き物や彼らが構成する社会を知らない怪物だった若い頃を想起させるところがありますし、結構似てるところが多い気がするんだよなあ。
もしかしたら【蒼穹のカルマ】では描かれなかった、かの人間の青年と空獣の女王の娘とのラブストーリーを、舞台から作品から全部移し変えながらも描いてみたかった、という意図があるのかなあ、なんてちょっと妄想してみたり。

さすがに、色々と謎を放置しすぎててこっち涙目だったので、続きがあるのには安心したんだが、逆にさらに放置プレイをかまされた挙句に、またぞろ予想だにしない方向にぶっとびかねない前例をイヤというほど思い知らされているので、実は全然安心出来ないことに気づいた。取り敢えず、妹については誰か説明してください、お願いだから。気になって仕方ないんだっw