鳥籠の王女と教育係 魔法使いの選択 (鳥籠の王女と教育係シリーズ) (コバルト文庫)

【鳥籠の王女と教育係 魔法使いの選択】 響野夏菜/カスカベアキラ コバルト文庫

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隠されていた王子の悲壮な宿命とは!?
婚約解消が認められず、エリアルダ滞在中のエルレイン。そんな折、本来弱いはずのアレクセルの魔力が増大を始めた。それは彼の「コイズ」の宿命によるものだった。「コイズ」の意味するものとは!?
大荒れ。これは、アレクセル王子の株がストップ高になるのも仕方ないです。アレクセルの母親がエルレインに投げかけた問いかけは、重かったなあ。そうなんだよなあ。「コイズ」の要素が絡むと、ゼルイークとアレクセルの背負った負債というものには遜色ない事になるんですよね。当初、エルレインがアレクセルとゼルイーク、どちらに対しても向ける好意にあまり差がなく、エルレインの語るところによるとゼルイークへの恋が決定的になったのが彼が眠りについてその存在が失われることを実感してしまった事による、というのなら、エルレインがアレクセルに同じように恋に落ちる可能性は決して低くなかったわけだ。まさに、タイミングとしか言いようがない。それ以上に、コイズについて一切語らず、身を引いたアレクセルの侠気がより引き立ってしまう。エルレインにとってもゼルイークにとっても、アレクセルの存在がある意味お互いに比肩する、あるいはそれ以上にかけがえのない人であるということは共通認識としてある訳で、そりゃそんな話を聞かされた上にコイズが実現化しそうになってる、となっちゃあ二人はまず何よりアレクセルを最優先にするよなあ。二人にとっては、二人が結ばれるよりも大事なモノがアレクセルの存在にはあるって事だ。でも、そういう人を愛する人以外に持ち得るというのは、それはそれで幸せなのかもしれない。アレクセルからすれば忸怩たるものがあるだろうけど。
それに比べて、あの魔王の未練がましさといったら。しつこい男のみっともなさほど見苦しいものはないよなあ。アレクセルの爪の垢でも煎じて飲んでみろってんだ。本当にもう、ネチネチネチネチと気持ちの悪い嫌がらせばかりしよってからに。魔王というよりも間男じゃないか。どこに王らしさがあるってのか。
ゼルの姉もねちっこいし、魔族ってのはみんなそんななのか、と思ってたんだが、ゼルイークの父親であるイチの王は全然違いましたね。というか、この人はなんか普通に父親してたなあ。もっと人智を超えた、人間の常識が当てはまらない存在を思い描いていただけに、ちょっと意外というか拍子抜けだった。でも考えてみたら、人間との間に子供をつくるくらいなんだから、メンタリティは人間に近いのも当たり前か。幸い、あのクズと違ってまともな方向に人間に近かったようだけど。でも、子供の教育は娘も息子も失敗してるっぽいけど。

響野夏菜作品感想