神と奴隷の誕生構文III (電撃文庫)

【神と奴隷の誕生構文(シンタックス) 3】 宇野朴人/きくらげ 電撃文庫

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一大スペクタクルで贈る、次世代ハイ・ファンタジー第三弾!

 発展世界による侵略から後発世界を守るため、大陸統一を進めるロケィラ女皇・セレィ。オルワナ・アヌビシアとの三国同盟に成功し、盟主を務める彼女の次なる舞台は、同じ有角種のヘィロンが支配する中陸地域の大平原へとうつる。
 中平原の覇者であるヘィロンと、東方を支配下においたセレィ。有角種同士の威信と覇権を賭けた戦いが始まる……!
 同時期。発展世界の尖兵“神狩り部隊”が再び動き出す。若き導神・クルァシン不在の中、その防衛はアヌビシアの少女・サーリャの手に委ねられ……緊迫の第三弾登場!
これまで異種族との対話と融和がセレィ女皇にとっての試練だったわけだが、今度の相手は同じ有角種。しかも、現状中平原を征服して、長爪種と牙種を支配下に収めている一国となる。融和をもって大陸を統一し発展界の侵攻に抵抗しようとするセレィに対して、ヘィロンは同じ種族ということで友好的に振る舞いながらも、セレィに融和と違う大陸統一の手段を示すこととなる。それこそ、武力による征服。
ここでセレィは、なぜ征服ではなく融和をもって大陸を統一させなければならないか、という命題をクラゥシンからの教えや導きに手を引かれた結果でも、健全な良識や人としての良心に基づくものでもなく、皇として、エナ・ガゼを発展界からの侵攻から守る者として、融和による統一が征服による統一よりも発展界に対抗する際に有効である事を、具体的に証明しなければならなくなるわけだが、これはヘィロンたち中原の有角種に証明する、という以上にセレィがクラゥシンからの借り物の思想ではなく、自分で考え自分で実感し体感し、導き出した答えとして、民族の融和と統一というこれまでの目的を彼女自身のものとする意味があったと思われる。
丁度、クラゥシンが別行動になって一連のヘィロンとの交渉と対決はすべて残されたセレィと、サーニャたちによって為されるわけだけれど、ここで彼女たちは自分たちがもう導神に手をひかれるだけの存在でなく、自立した彼と対等の、発展界と戦うための同志であることを証明してくれるんですよね。
中原の覇者たるヘィロンたちに対抗するため、有角、有翼、盲、長爪、牙という異種族の力と想いを結集して立ち向かうセレィたち。これは面白かったなあ。
クラゥシンと掛け合いをしているセレィたちも好きなんですが、今回彼が居ないことでむしろセレィたちは輝いていたような気がします。特にサーリャなんか、セレィの軍師的な立場になり八面六臂の大活躍。セレィの異母妹であるコリォの活躍も含めて、三人の少女たちの絆が姉妹以上に深まっていくんですよね。セレィは今回、統一王としての威風を見事に確立しました。同時に、妹や友を愛する姉としても、カリスマ性を大きく発揮して、これまで以上に敬愛と忠誠を獲得したんではないでしょうか。サーリャなんか、これまでクラゥシンに傾倒していたのが、セレィ個人に随分と魅せられ惹かれていたような気がします。勿論、その前にサーリャが献身的に自分の心身を削ってセレィの為に奮迅したからこそ、セレィが先にサーリャにメロメロになった、という流れがあったんですが。なんか終わってみればこの三人娘、お互いに好き好きだろう、というくらいに仲良くなったなあ。良かった良かった。
その頃、クラゥシンさんといえば、メリェを連れて今度は長爪種と牙種の娘さんに粉掛けてました。いや、別にそういう意味じゃないんですが、なんて女の子ばっかりなんだ、という疑問はあるぞw

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