レイセンFile3:ワンサイド・ゲームズ (角川スニーカー文庫)

【レイセン File3:ワンサイド・ゲームズ】 林トモアキ/上田夢人 角川スニーカー文庫

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フォースとの一件以来、オートライングループに警戒する神霊班。そんな時、“銃の神”と称するマックルイェーガーがヒデオの前に現れる。彼女の正体は一体!? 新展開に突入、霊を中心に数々の思惑が動き出す!
とりあえず【ミスマルカ】の世界と違ってまだこっちが文明崩壊してないなー、と実感できるのは、ゼンラーマンなどをやってしまうとちゃんと社会的に死んでしまうところですな。しかも、人間社会的にどころか天界魔界地獄界的にも死んでしまいそうな勢いの文明度。人間、文化的な生活は送りたいものです。
さて、宮内庁神霊班のヒデオたちだけでなく、警察や自衛隊にもオカルト対策チームがあることは前から度々語られてきましたけど……自衛隊の特殊部隊は話あがってただろうか、ちょっと思い出せない。ともかく、そう、あの人ですよ。警察の美奈子さんがマスラヲ以来の登場です。うははは、マジかよ。睡蓮と美奈子が鞘当てしてるぞ!!
美奈子さんはともかく、睡蓮がヒデオの事を意識しているとは到底思えないのですが、それでも後輩に対する独占欲というのは発生している模様。少なくとも、他所様の女にちょっかい出されて面白くないのは間違いないようだ。でも、あの睡蓮がそういう態度見せるというのは結構肝ですよ。
話は戻ってご公儀のオカルト対策チームのお話。今回、合同訓練みたいなことをやるわけですけど、話を聞いているとちゃんと住み分けみたいなのはできてたのね。多少バッティングするとはいえ、縄張り争いに発展するようなことはなく、各組織のトップたちは上手くやっている模様。変に意地はって対抗心とかむき出しにしてないですしねえ。
ただ、本気でヤバいケースでは宮内庁の神霊班以外じゃ対処できない、という話になってるけど、本当に本当にヤバいケースだと神霊班でもダメでしょ、これ。実質的に、宮様からのご下命で神殺し各家が出張るという事になるんじゃないの。神霊班で本当の意味で戦力になるのって、睡蓮と翔香だけだし。
つまるところ、「組織」なる謎のグループが形成されだし暗躍が始まりだしているけれど、科学とオカルトが本格的に結びつこうとしているけれど、今のところまだ深度は低くはないんですよね。睡蓮とほむらが本気を出した場合、ああなってしまったように。ヒデオが聖魔杯での経験に照らし合わせて、論外と結論づけたように。かと言って軽視できるのかというと、どうも不気味ではあるんですよね。何が起ころうとしているのかが、イマイチ把握しきれない妙なスケール感がある。
何より、あの「マリアクレセル」が動いている。彼女が動いてるというのは、よっぽどですよ。
この【レイセン】シリーズ自体が前フリであると明言されている以上、この得体のしれない予兆みたいな気配の本真は、それこそ次のシリーズになるのかもしれませんが。
しかし、久々にヒデオの「本気」を垣間見たなあ。実際にその発動を見れなかったのは残念ですが、代わりに睡蓮の「マジ」を【お・り・が・み】以来、こちらも本当に久々に見れたので、大いに満足。まあ、あんなの彼女からしたら瑣事なんでしょうけどね。

書き下ろしの方は、鈴蘭に円卓のメンバーが相当上しての、完全に【お・り・が・み】のノリ。いやあ、懐かしい。鈴蘭先生があれほど焦ってるスガタって長らく見てなかったからなあ。まあこの書き下ろしの見所はエルシア様がどえらいことになってるところですがな。エルシアが、エルシアが、エルシアが!!! いや、ねえよ。ありえねえよ。キャラ的にありえねえよ!! あのお姫様の性格とかキャラクターとかちょっとでも知ってたら、この展開は想像も出来ないっすよ。なぜこうなった!!
ヒデオがなんか違う意味でインフィニティーシリーズに仲間入りしそうな勢いだ、これ。億千万のナニ?
しかしまあ、エルシアがねえ。これ、本編の方にも関わってくるの? エルシアとか睡蓮やノアレとか問題じゃないくらい空気読まないよ? 息を吐く用に魔法でふっ飛ばしちゃいますよ? それはそれでエラいことになって楽しそうだが。この話を読んで改めて認識したわけですが、エルシアも立派にアウタークラスなんですよね。少なくとも、アウターに片足突っ込んでるくらいのカッコ程度よりは遥かに格上だろうし。円卓メンバーに匹敵するのかは微妙なところみたいだけど、でも伍するくらいは行ってそうだしなあ。
考えてみると、それが平然と「レイセン」の世界をうろちょろするって軽くバランスブレイカー? なので、そう簡単には本編の方には登場しないんじゃないかと思いたいが、普通に出てきそうでもあるのがこのシリーズなのでした。そういうパターン、平気でスルーしちゃいますし。

林トモアキ作品感想