東京皇帝☆北条恋歌 8 (角川スニーカー文庫)

【東京皇帝☆北条恋歌 8】 竹井10日/要河オルカ 角川スニーカー文庫

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花恋にしますかっ、花恋にしますかっ、それとも、わ・た・し?
東京帝国を襲うかつてない危機に、今、一斗が立ち上がる!!


「かじゅとぉ……お願いだから『婚約解消しないで』って言いなさいよぉ……」一斗(かずと)への婚約解消宣言を早くも後悔しはじめる来珠(くるす)。ところが肝心の一斗はここぞとばかり恋歌やゆかり子からラブアタックを受けていた。そのうえ機動魔法兵・エニグマの操縦訓練を受けるため軍に入隊することになった一斗はますます来珠との時間がなくなっていき――。すれ違う2人の関係はこのまま終わってしまうのか!? 大人気シリーズ、運命の第8弾!!
どうも、東京こうていわ。
えー、今回はこれまでに散りばめられてきた伏線を一気に回収する番外編です……番外編です。番外編だよね? これが本編だとすると、今までの七巻が全部番外編だったということになってしまうと思うんです。というか、この8巻以外は全部番外編という得体のしれないシリーズと化してしまうと思うのです。だから、社会不安を煽らないためにも、事実はどうあれこの8巻は番外編としておいた方が、読者の精神の安定上無難だと思うのです。
主人公が主人公してる【東京皇帝☆北条恋歌】なんて【東京皇帝☆北条恋歌】なんかじゃないんだもん。死んだような目で確固とした意思も覇気も生気もなく右へ左へ流されるだけなのがカズちゃんであって、年上のお姉さんをいたぶって悦に入ってるドSとかカズちゃんじゃないもん。
なにこれこわい。

とまあ、この巻、明らかに今までの巻と様相を異にしております。読んでて最初の方、「え? ギャグ?」と真剣に首をかしげてしまったくらいにシリアス路線。シリアスに真面目な話をすると「ギャグ?」と疑われる作品っていったいなに? と思わないでもないですが、なにしろ【東京皇帝☆北条恋歌】ですから仕方ない。
そう言えば、怪蟲なんていう人類の敵と絶滅戦争してたんでしたっけ。完全に忘れてた。でも忘れてたって仕方ない、登場人物も忘れてたに違いない。
とにかく、キャラたちが真剣になって切羽詰まりだしたからと言って、こっちも真剣になって付き合ってると混乱するだけなので、え? ギャグ? と割りきって読むと精神の安定上、効果的です。なにか本来とは別の意味で精神的に追い詰められた気がするぞ。こう、お腹を押さえてうずくまりたくなるような。頭を抱えて壁とにらめっこしたくなるような。

一応、一斗覚醒の回、ということになるんだろうけど、え? なにこれギャグ? と一旦自分で茶々を入れないと落ち着かないようになっちゃったよ。東京帝国初代皇帝北条皇斗については、おおよそその存在に触れられるようになった時からそうなのかなー、と予想はしてたんですが、何しろカズちゃんがあまりにアレだったので「ねーな」と切り捨ててた推論だったのですが、その「ねーな」が実際のものとなってしまったようで。いや、カズちゃんキャラ違いすぎるだろうそれ。まあ違うと主張できるほどキャラ立ってなかった、キャラが薄かった、存在感がなかった。モブキャラ! であったことが逆にどんなキャラクターにでも変貌できる、という中身からっぽだからこそ中身入れ放題理論だったのかもしれないけど、カズちゃん、来珠たちとの生活、そんなに苦しかったんだ。精神的に半ば死んでるほど辛かったんだ。そりゃ、来珠たちとの拷問のような生活に比べたら、他のどんなシチュでも耐えられるわなあ。
しかし、カズちゃんの好みが「生理的にダメ」な娘だったとは……エキセントリックにも程がある! どういう女の子の好みだよっ。どう見てもいびってるようにしか見えなかったのに、どこに好意があったんだろう。ただ、彼女と一緒にいるときのカズちゃんときたら、かのワイルドアームズの主人公アシュレーがトカ&ゲーと遭遇したときのように、お前人格から違うじゃん!? というほど見たことのないくらい生き生きしてたのを見ると、彼女が特別だったと言われても納得出来る。
カズちゃんがこんなにハッキリと好意を表明したのって、記憶喪失の時の東雲さん以来初めてなんじゃないだろうか。それだけに、悲恋である。
ただ、クライマックスにかけての一斗の内面描写を見てると、どうやら彼の中では来珠は特別枠なんだな。ちょっとほっとした。自業自得に自爆の側面が多々あるとはいえ、来珠の扱いの酷さには同情湧くものがあったし。個人的にはゆかり子元帥なんですけどね。穏やかな夫婦生活望むならゆかり子元帥だよ、カズちゃん。

ある種、この巻で完結! となってもおかしくない展開だったのだけれど、さらに訳の分からない事態に。え? これまでさんざん引っ掻き回したのが、わりと綺麗に整理されて着地したのに、そこからさらにどんでん返しにひっくり返すのか? もうやりたい放題ですね♪

竹井10日作品感想