カレイドメイズ2もえない課題とやける乙女心 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 2.もえない課題とやける乙女心】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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ムチを持ったライバル登場!?
王国復活(=子作り)へ王女さま大奮闘!


カイルたちは古代魔法王国の時代から続く秘祭の調査に向かう。その村には未調査の遺跡もあり、研究者魂をくすぐられたカイルは、王国復活の野望(=子作り)に燃えるネーフェの天然ぼけアプローチをかわしつつ、調査にはげむ。そんなふたりの前に、超越遺物(アーティファクト)を持った妖艶な少女ミオが現れた。なぜか彼女もカイルに興味を持ったらしく、親しげに急接近してきて――!? ライバル登場、三角関係勃発! 半熟王女に勝機はあるのか!?
青信号でも渡れない横断歩道の原因は?
というわけで、あらすじでは三角関係勃発、なんて煽ってはいるものの、ぶっちゃけネーフェとカイルって殆ど青信号の両想いなんですよね。最初はカイルの血筋だけが目的だったネーフェですが、交流とアプローチを続けていくうちに血筋は大事だけれどもその相手はカイルじゃなきゃいやだ、と思うくらいにはカイルのこと、好きになっている。ただ世間知らずの古代のお姫様であるネーフェは一般常識からややも外れているために、どうしてもその言動から素直な気持ちが伝わりにくい。単純にカイルが好き、というだけのことが当人に伝わらない。カイルから見ると、ネーフェは自分じゃなくても魔法王国の血筋が残っているなら誰でもいいんじゃないのか、という思いがあるわけで、男の意地としても見栄としても彼女のアプローチに素直に応じるわけにはいかないのだ。
勿論、そんな男の意地なんぞくだらない、という向きもある。今回発覚したのが、何だかんだとカイルもネーフェの事、好きだったという点だ。本人が自覚しているかはまだ微妙なところだけれど、ビアンカが呆れてたみたいにもう彼自身のネーフェへの気持ちって定まってるんですよね。だったら、ネーフェがどう思ってようと関係ない。彼女が自分に興味を示してくれているのは間違いないんだから、血筋だけじゃなく自分自身を見てくれるように頑張ればいいじゃないか、という話になるのだけれど、そこで絡みついてくるのがカイルの父親へのトラウマなのだ。父の男親としては目も当てられないひどい生き様に、カイルはとてつもない嫌悪と敵愾心を抱いている。結果的にカイルは「父親」というカテゴリーそのものに生理的な嫌悪感を持ってしまってるんですよね。だから、自分が「父親」になるという事に対しても考えられない、耐えられない、有り得ない、という頑ななまでの思い詰めた決心が彼の中にはあるわけです。
男の見栄と意地、それに父親という存在への嫌悪が絡まりに絡まった挙句、子作りしてくださいと迫ってくるネーフェに対して、押すことも引くことも出来ない精神的な膠着状態に陥ってしまっているのである。両思いにも関わらず、カイルとネーフェの仲がどうにも進行しにくくなっているのにはこうした原因が横たわっているわけだ。
それでも、カイルがネーフェを全霊をかけて守ると誓ったように、ネーフェが過去にとらわれずカイルと現代を生きると決意したように、二人のお互いを想う気持ちは一緒に過ごし、ともに困難を超えていくことで深まるばかりである以上、いずれは壁となって立ちふさがり、鎖となってがんじがらめにしているものを乗り越え引きちぎって、なるようになる事になるんだろうけれど、そう簡単にもいかないのも確かな話。というわけで、ミオという第三要素を二人の間に投入することで化学変化を起こそうという魂胆なのでしょう。ただ、キャラ的にネーフェからヒロインの座を奪うようなガツガツした娘じゃなさそうだし、こりゃ本格的に刺激物、ってだけなのかもなあ。
むしろ立場的には敵の中の味方、という感じで重要な立ち回りを強いられるようなキャラなきがしてきたぞ。わりと苦労するポディションなんじゃないのか、と思えてきた。

その肝心の黒幕に該当するであろう組織だけれど、これは思ってたよりも複雑な背景がありそうだなあ。何かの確固とした思想や精神性がある組織なら簡単に「敵」として相対せるのだろうけれど、どうも私利私欲や恣意が挟まれることの少ない公共機関という気配がしてきたぞ。こういう組織が相手の方が厄介だったりするんですよね。ただし、そのエージェントであるあの男については、胡散臭さ大爆発ですが。


なかなか解けそうにない雁字搦めに掛かりかけてるネーフェとカイルの関係ですけど、でも何だかんだとうまくいきそうなこちらと比べて、むしろ暗澹としているのがビアンカとレナートスの方なんじゃないかと危惧してしまう。ビアンカはまるで気にしてなさそう、どころか明らかに負の感情が。まあレナートスがあれじゃあなあ。特に今回はラストのあれは致命的だぞ。カイルが呆れ果てるのも無理ない。仮にも惚れてる相手に対してする行動じゃないしw 

1巻感想