ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 1 (電撃コミックス)

【ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス 1】 作画:長田馨/原作脚本:芝村裕吏 電撃文庫

Amazon

ふおおおおっ、これはっ、これは凄いわッ。これが【ガンパレード・マーチ】なのかっ! 
これ、榊版ガンパレの設定に基づいているのではないでしょうけれど、少なくとも戦闘描写や組織編成、学兵の扱い方など明らかに榊版ガンパレのそれを参考にしていると思われる。最初、本当に榊版の漫画化なのか!? と思ったくらいだもの。対ゴブリン戦闘のやり方や人形戦車の使い方、学兵の交流の様子など散々読んできた榊版のそれとだいたい一緒であるし。そうか、対ゴブリン戦、いわゆるゴブリンの海ってこんな感じなんだ。漠然とイメージはしていたものの、やはりマンガで実際に描写されると非常に分かりやすい。さらにキメラがタンクキラーと呼ばれる所以。ミノタウロスが幻獣の中でも特に恐れられる理由。なるほど、これは一目瞭然だ。
後世、殆ど伝説のように語られる激戦の地、熊本要塞。廃墟と化した市街地を舞台に繰り広げられる激烈な殲滅戦争。そう、戦争だ。ここではまったき戦争が描かれている。これだけ背景がしっかりと描かれてると、同じ戦闘シーンでも迫真性が全然違うわ。瓦礫とかした街の悲惨さ、その街にうごめく幻獣という存在の異質さ。街を容赦なく破壊していく砲撃の火力、鉄量。人型戦車やミノタウロスの巨大さ。どれもが圧倒されるような迫力で描かれている。単純にミリタリーものとしてもこれ相当の出来栄えなんじゃないのか?

登場人物はガンパレのメインである5121小隊の面々ではなく、別の学兵部隊。勿論、彼女らは5121のようないい意味でも悪い意味でも「特別」な人間の集まりではない以上、死地である熊本戦線においては早晩死体を路上に晒す、あるいは亡骸すらも残らない死に方をして消え去るような人材だ。何しろ、軍令部は投入した学兵数十万の殆どが死亡すると見立てている、熊本はそんな戦場なのだ。だが彼女らは0101小隊の秋草という少年と出会うことで運命を変転させることになる。
01010小隊ってまた凄いナンバーだな、と思ったらこりゃまた相当「怪しい」部隊だなあ。アナザープリンセスのサブタイ通り、芝村のお姫様。それも舞の姉になる(芝村の家の特徴からして血が繋がっているかは分からないが。というか、これ<本当のガンパレ>の設定だと壮絶にアレな内容だからなあ。その辺はあんまり考えないほうがいいかもしれない)芝村家の長女・神楽が所属している事からして5121小隊を上回る芝村的な部隊なのかもしれない。その割に、メンバーの様子はかなり変だけど。軍人じゃないよね。技術畑。それも原さんたちとはタイプの違うコンピューター関連?
総じて殺伐とした内容なのかというとそうでもなく、死と生の瀬戸際を突っ走りながら結構コメディタッチの掛け合いなんかも頻繁に入るので、暗い雰囲気ではないんですよね。メリハリがきいている、というべきか。
人型戦車の使い方も面白いなあ。あれって一般部隊が使うと稼働率がとてもじゃないけど実戦で使えるようなものではなく、5121小隊があれほど活躍できたのは原さん率いる整備部隊の凄まじい腕によるもの、という話なわけで、他の部隊じゃまともに扱えないはずなのでどうするんだろう、と思ったら。モコスみたいな使い方しながった。いや、それが正解。足回りが一番やばいんだから、初心者が無理やり戦力化しようと思ったら自然とこの選択になるんだろうけど、それを陣地構築と共に実行できるのはえらい、相当にえらい。というか、漫画でこういう発想の戦闘を見れるとは。
一応主人公は秋草くんになるんだろうけど、むしろ戦車随伴兵(スカウト)の小山美千代のが主人公っぽいんだよなあ。こう、心の強いタイプの子だし。
しかし、肝心のヒロインのはずの神楽さんが一回しか出てこないというのはどういうわけだ?w

ともかく、期待していた以上に素晴らしい出来栄えで、ちょっと感動すらしてしまった。最後の話では5121小隊、舞や厚志も出てきたし、これは楽しみなシリーズが出てきました。榊版ガンパレを愛読している人は、これは必読ですよっ。