ハロー、ジーニアス〈2〉 (電撃文庫)

【ハロー、ジーニアス 2】 優木カズヒロ/ナイロン 電撃文庫

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第二科学部、いきなり解散の危機!?
加速する青春ストーリー、待望の第二弾!!


 怒涛のゴールデンウィークが過ぎ去り、第二科学部に腰を落ち着けた高行は、部長であり、生まれながらに常識外れの頭脳を持った天才──“ジーニアス”の海竜王寺八葉、そして同じく入部した有屋美月と騒がしい日々を送っていた。
 しかしある日、第二科学部が居を構える『部室長屋』に学園都市運営機構の息がかかった『統括委員会』が現れ、長屋の取り壊しと退去を一方的に通告してくる。高行たち三人は個性豊かな長屋住人たちと協力して抵抗運動を起こすが、委員会側は何やら卑劣な策を巡らし……?

孤高に生きることをやめることで、挫折を乗り越えた高行。閉塞を打破した八葉。二人はこれまでの生き方から変節したのではなく、生き様を認め合い受け入れあうことで融和し、お互いに先に進むための変化を受け入れたのが第一巻。興味深い事に、ここで描かれる人と人との融和には、物語における分かりやすい明快な方程式は存在しないのである。第二巻で勃発する『部室長屋』取り壊し問題における『統括委員会』との学生闘争という分かりやすいイベント。だが、この事件を下地とした有屋美月と海竜王寺八葉の対立と融和は実のところハッキリとした形では描かれていないんですよね。おおよそ、なんとなくで進んでいく。友達のようなそうでないような、協力しあっているような反発しあっているような、曖昧模糊とした空気が八葉と美月の間には流れ続ける。美月が「ジーニアスにはわからない!」と八葉を突き放すシーンこそ対立が表面化するが、それも一瞬のこと。二人は総じて、手探りに恐る恐るとお互いの存在を把握しようと伺いあい、そんな相手をどう自分の中に受け止めるべきかを自問し続けるのだ。一巻でもそうだったんだけど、ここに出てくる人たちって相手に答えを求めないんですよね。あくまで、自分に対して問い続ける。自分と生き方が違ってきた相手とのどう繋がるべきかの人間関係においてすら、手を取り合って妥協するのではなく、まず相手に対する自分の立ち位置、在り方を見定めた上で、相手と結論を見せ合って答え合わせをするのだ。それが悪いとかいう話じゃなく、むしろ面白い描き方だなあと思う。想いの擦り合わせに、明快な方程式ではなく曖昧模糊とした空気感をキャンバスにして、非常に繊細で微妙なさじ加減を要求した描き方をしているものだから、なんだろうね、理屈じゃなく感覚でダイレクトにまるまま飲み込むような喉越しがあって、雰囲気として好みなんですよね、この作品。
ただ、そういった感覚的なものとは別に、肝心のジーニアスをはじめとする設定群を生かしているかというと難しいところ。今回の問題の解決に、八葉はジーニアスとしては何も出来なかったわけですしね。敵の急所を見極めた発想を、ジーニアスの頭の良さゆえ、というにはちょっと苦しいし、あとは足を使って地道に走りまわってた訳ですしね。焼きそばロボットも、イマイチ切り札としては目立ってなかったし。
料理法は面白いので、あとは食材をもっといかしてくれたらもっと奥行きのある素敵な作品になると思うのですが。

1巻感想