なれる!SE 4 誰でもできる?プロジェクト管理 (電撃文庫 な)

【なれる!SE 4.誰でもできる?プロジェクト管理】 夏海公司/ Ixy 電撃文庫

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今度はプロジェクトマネージャー!?
話題の萌えるSE残酷物語、第4弾!


 とある出版社の本社移転プロジェクトに参画することになった立華と工兵。とはいえ請け負ったのは一部ルーターの移設作業だけ……だったはずが、あまりの惨憺たる状況にプロジェクトマネージャーが逃亡。その代打を工兵が無茶振りされることに。
 新人にはハードルの高すぎる未経験の業務を前に途方に暮れる工兵。期限は容赦なく迫り、ベンダー各社はごねまくる。はたして工兵はPM業務を完遂できるのか!? そして立華のプライベートの一端も明かされるシリーズ第4弾!
誰でもできねえよ!! なんだよこいつマジで超人か!? 超人なのか!? もう無茶振りのレベルもここまで来ると頭がおかしいよ。この社長、何も考えてない、絶対に何も考えてない。全然リスクとか考えてないじゃん。というか、新卒の、しかも畑違いで何も知らない子にいきなりPMやらせるって。しかも、元のPMが逃げ出すほどの滅茶苦茶で話にならない案件を、途中からやらせるとか。PMってなんですか? って言ってるような子だぞ!? 普通なら失敗する、どう考えたって失敗する。だいたい、部下の名前も覚えてないような社長だぞ。能力を見込んで、とかじゃないんだぞ!? そもそも、部下のことなんか何も把握してないっぽいんだぞ!? 失敗したときに備えてのフォローとか何もしてないんだぞ!? 挙句、二進も三進も行かなくなってきたら、顧客と一緒になって嵩に懸かって頭ごなしに何とかしろと喚くだけとか……。
ほんと、この主人公はすごいよ。熱意といい仕事への誇りといい、心折れそうな、逃げて当然なブラックすぎる環境の中で仕事のやり方をモノにして、周りから信頼を得ながらやらされた仕事を「自分の仕事」にしてしまうその手腕は本当にずば抜けている。常軌を逸していると言っていい。
でも、だからこそ勿体無いよなあ。
結局、工兵が今回の件も含めてやってきたことって今のところ、他人の失敗の後始末ばっかりなんですよね。本来なら手抜きや適当な処理、見通しの甘さなどからポシャって壊滅するはずの案件を、彼が神憑った手腕でフォローしてってるだけで、実のところ適当な仕事をしやがったヤツは別段そのツケを払っちゃいないんだよなあ。だいたい、関わった人間がごく当然の真摯さを以て業務に携われば発生しないトラブルじゃないか。それを、結局真摯に仕事に携わっている部署がツケを全部払うハメになる。問題は、そうしたトラブルを大概の場合何とかしちゃう人たちがこの国にゃあ一定の割合必ず居るって事なんだよなあ。いや、すごいんですよ、そういう人たちは。凄いしエラいと思う。思うんだが、なまじ本来ならダメになるようなところまで何とか問題ないように着地させちゃうものだから、トラブルの原因になるような所が反省も何もせずこれでいいんだ、と仕事の適当さを常態化させてしまう。そして、そのうち処理能力が臨界を超えてしまい、途轍もない大破局が襲ってくる、という羽目になってしまうのが、この国でよく見受けられるパターンだったりするわけだ。
そもそも、そうした無理を実現してしまうような優秀な人材が、ツケ払いに奔走させられ疲弊していくのって、リソースの無駄遣いにしか思えないんだよなあ。普通にやればスタートがゼロで始まるところを、それを怠っているためにマイナスからはじまってしまっている所をゼロに維持しているだけの形になってるわけですし。いったい、どれだけのプラス分が失われているのか。
それは多かれ少なかれ、工兵たちこの会社のメンバーにも見受けられる。いやまあ、新卒の工兵にしたら今は何をやっても経験値貯まるんやろうけど。ただ、同じ無茶振りするにしても、工兵のそれはちゃんと振る側の事をよく見てるし、逆に振られる側も工兵を信頼して請け負ってるんですよね。着実に社外にも人脈を作りつつあるし、これだけ自分で仕事を作れるのだから、工兵は近い将来自分のスタッフを揃えて引きぬいて独立した方がいいよ、うん。やっぱり、今回の仕事を見ても実感したけど、彼は人の間で立ちまわるのが一番良く似合ってるし、他人の使い方が上手いというか堂に入ってるもの。
大体ねえ、いつの間にか橋本課長と飲み友達になってるとか、ないよ、ないよ。立華さんが発狂するのもわかる。女たらしというよりも、あれは人誑しだわー。橋本さんのメールの文章見たときは、さすがに引いたけど。よかった、プライベートがメールみたいな人になってなくてw 

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