ガンパレード・マーチ2K―北海道独立〈3〉 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立 2】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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後押しをするというアメリカの口約束を信じ、北海道は共和国として独立を宣言した。自ら大統領となった小笠原は、犯罪者である樺山を国務長官に任命する。しかしアメリカはその後、積極的な介入はせず、静観したまま動かない。徐々に苛立ちを募らせる小笠原に、側近の吉良と本間は、アメリカを信用せず日本政府と和解するよう迫った。その時、シコルスキー率いる外人部隊が、上陸した本土自衛軍に向け燃料気化爆弾を使用。一挙に2000人近い死傷者を出し、浮き足立つ自衛軍。さらに追い討ちをかけるように、標津町から幻獣上陸の報せが……。風雲急を告げる 「2K」 シリーズ第3弾!
本間中将が全然イメージと違ったんですが!! おいおい、見た目若すぎだろう、これ。亡き塩沢兼人さんが声を当てそうなデザインだぞ。あるいは、今なら子安武人さんか。てっきり吉良さんはオジさん趣味なのかと生暖かい目で見てたのに、ただの面食いなんじゃないか。
戦局は人間同士の戦争ということで自衛軍はなるべく被害を出さず与えずの方針、北海道軍の中核をなす第七師団は本間中将の命令で沈黙を守り、敵はロシア人率いる外国人部隊と樺島系列の部隊のみ。被害は最小限で抑えられると思われた時、幻獣として暗躍し始めたシコルスキーの策謀によって血で血を洗う凄惨な戦場がアチラコチラで現出をはじめる。ただでさえ人間同士の戦争なんて幻獣共生派との暗闘を繰り広げてた憲兵や裏方の部隊しか経験がないところで、幻獣に操られた人間たちによって自殺攻撃、自爆攻撃、無差別攻撃なんてものを受けてしまったら精神的にダメージくるわなあ。あの合田小隊に被害が続出する局面が訪れるとは。それでも、合田小隊含めた二個小隊で大隊規模と相手に錯覚させるほどの激戦をやってのけたんだから、さすがは歴戦の部隊である。でも、学兵部隊をこんな戦争に注ぎ込むのはどうかと思うんだがなあ。

さて、シコルスキーが正体をあらわし、本格的に幻獣が北海道乗っ取りに参戦してきた中で、これほどアメリカの存在が重要なキーワードになってくるとは思わなかった。カーミラたちの和平派幻獣軍が味方となって表立って動けば、アメリカは日本を幻獣共生派とみなして攻撃してくる、か。本土まで幻獣に侵攻させて息も絶え絶えの時には援軍も派遣してくれなかったくせに、今更調子のいいことを言いやがって、と思っちゃうよな、これは。日本がどれほど国民と国土を死なせて戦ってきた末に勝ち取った和平なのか知らないくせに、本土をまだ攻められもせずに安定を保っているアメリカに好き勝手言われたくないよなあ。それでも、現存している人間国家の中では最大で最強であるアメリカを無視する事は不可能。故に、日本とカーミラ、ミハエル派の幻獣とはあくまで表向きは休戦状態という事にしておかないといけない、というのは今は仕方ないことなのか。
幻獣側もはっきりと国という国家単位を表明してくれれば、カーミラやミハエルの国は人間と共存するつもりであり、他の幻獣とは全く別の集団である、と旗幟を鮮明にして国際的にも堂々と付き合える余地が生まれてくると思うんだが、でもアメリカは幻獣はどんな幻獣でも倒すべき邪悪である、という思想に染まってるようなので関係ないか。今の地球上、アメリカ以外にまともな国家も残ってないわけだし。

ともあれ、自衛軍が本気になり、シコルスキーが正体をあらわしたことで逆に落とし所は見えてきたか。小笠原知事は権力の魔力に魅入られて完全に見識を失ってしまっているが、この状況では諦めなきゃどうしようもないと悟ったようだし。本当なら本間中将がもっと強硬に本土回帰を迫るべきだったようにも見えたけど。吉良ちゃんに比べてどうしても遠慮が見えて、ちともどかしかった。

シリーズ作品感想