東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest  (富士見ファンタジア文庫)

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幼なじみの少女・ナツメとの約束を果たすため、春虎が親友の冬児とともに陰陽塾に転入してから半年。学園や寮生活にも慣れ始めた頃、陰陽塾では、春虎の周囲で奇妙な出来事が頻発し始める!
へえっ! これは面白い。ここでようやく、一巻で大暴れしていった大連寺鈴鹿嬢が再登場と相成ったわけですが、まだ春虎が自分にとってどういう相手なのかを確立出来ていない段階で、彼女を夏目と春虎を取り巻く事情の核心に放りこむのか!
これ、もしかして鈴鹿を本格的に夏目への対抗ヒロインに仕立て上げるつもりなんだろうか。実のところ、長編パートの前半部分、再会からこっち夏目の性別の秘密を回避しつつ、春虎と鈴鹿がお互いに手探りで距離感を測り合っているのを見て、ある程度鈴鹿が春虎をどういう対象として捉えるかを固めてから、夏目とカチ合わせると思ってたんですよね。その辺が定まったら、鈴鹿の春虎と夏目に対してどういう感情を抱き、どう反応し、どういう行動に出るか、という基本方針も基準が出来て定まりますからね。
ところが、ところがですよ、鈴鹿の春虎への感情が一番ピークに達して固まりかけ、本人も処理しきれずオーバーフローしていたまさにその瞬間に、春虎が地雷を踏み、続けて夏目が春虎を突き飛ばして地雷を起爆させてしまったわけです。この爆弾は何れ必ず爆発するもので、だからこそその被害を最小限にするために冬児などは非常に気を遣って立ち回り方を教導していたにも関わらず、春虎と夏目は彼の努力を文字通り蹴っ飛ばす勢いで、最悪のタイミングで全部台無しにしやがったのでした。
これ、アドバンテージを握ることになった鈴鹿ですけれど、握ったはいいものの彼女自身も完全にピーキー状態ですよ。本来ならあの瞬間、自分の中に湧き起こった激しい感情の渦を、時間を経る事で落ち着いて整理する事で具体的、とまでは言わずともある程度の名前らしきものは付けられるくらいの形にする事ができたはずなんですよ。そして、それにかかる時間というのは決してそれほどたくさんはいらなかったはず。もしかしたら、一日とか一晩という単位ですらなく、何分あるいは何秒か、そのくらいでもよかったのかもしれない。上から下に水が流れるように、その流れは出来ていましたしね。
ところが、春虎の発言がその水を、ガソリンに変換してしまった。そして、トドメとばかりに、夏目の情報爆弾ですよ。着火し大爆発である。これは酷い。まだ春虎だけでとどまってたら、鈴鹿のそれは女の矜持を保っていられたかもしれないのに。
ここまで鈴鹿の気持ちをひしゃげさせちゃって、どうするんだ一体w
しかし、このただの恋心や敵愾心にとどまらない強烈極まる激しい情念の渦はキャラクターとしてもヒロインとしても途方も無い武器ですよ。今のところ思いっきり持て余した挙句に変な方向に引火して誘爆してますけど、いずれはこの大連寺鈴鹿というヒロインを大いに飛躍させてくれるはず。このあたりの精神面、心理面での入念にして大胆エキセントリックな仕込みは、あざのさんならではなところ、あるよなあ。

とまあ、長編サイドの方は鈴鹿フィーバーが始まってますけれど、短編四篇の方は完全に夏目祭り。あとがきに習うなら、ナツメ・オン・ステージ!
この娘、ほんとにダメッ娘だな!! この娘の本番の弱さ、応用力の乏しさ、精神的な余裕の無さが日常コメディやラブコメの方に発揮されるとこんなアリサマになるのか。もはや惨劇じゃないかw テンパればテンパるほど、春虎を巻き込んで悲惨なことに。かわいいなあ、もう(笑

とまあ、若者たちは若者らしく色々な意味で血みどろになりながら青春を謳歌しているのだが、さらっと大人世代の方にも興味深い情報がちらつきはじめましたね。小暮と大友先生の元同級生コンビの話を聞いてると、彼らの世代にも何か色々あったっぽいんですよね。それが今なおシコリとして残っている。さらに上の世代である倉橋理事長の話題なんかものぼってましたし、3巻でもしみじみと実感しましたけれど、どうやらこのシリーズ、子供たちの話と同時に、大人たちの話もしっかり刻みこんでくるみたいですね。それもまた楽しみ。
次回も今回と同じく、長編と短編の混合の模様。途中といえば途中で終わっているので、出来れば早く続き読みたいなあ。あとがきによるとそれほど待たされないみたいですが。

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