パパのいうことを聞きなさい! 7 (パパのいうことを聞きなさい! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 ま 1-16)

【パパのいうことを聞きなさい! 7】 松智洋/なかじまゆか スーパーダッシュ文庫

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六畳一間で暮らしたあの日を振り返るアットホームドタバタラブコメ第七弾!
莱香が池袋に引っ越して来て騒がしくなった小鳥遊家。
合唱部の副部長に抜擢された空の報告に祐太たちはお祝いを企画する。
ロ研の仲間達もやってきて楽しい時間に、それぞれの心に去来する想い。
両親の事故から、まだ一年も経っていないなんて信じられない。
祐太に手を引かれて八王子の六畳一間にたどり着いたあの日から、池袋に再び戻る日までに起こった様々な出来事が回想される。
三姉妹と祐太が、そしてロ研の仲間達が今のような関係を築くまでの空白の時間。
そこには、誰にいわずともやっぱりあたたかな優しい物語が積み重ねられていた。
大人気癒し系ドタバタアットホームラブコメ第七弾!
第七巻は八王子の狭いアパートで暮らしていた頃の事をそれぞれの視点から描いた短篇集。姪っ子たちを引き取った裕太の奮闘っぷりは一巻で堪能できるとして、引き取られた側の空や美羽たちは一体どんな事を思っていたのか。突然両親を亡くし、引きとってくれた叔父は生活力のない大学生の若造。住まいは一人暮らしでも狭い六畳一間。金銭に余裕もなく、学校も中学生と小学生が一時間半もかけて通わなければならない。ちょっと耐えられないような厳しい環境だったんですよね。それを、彼女たちがどう思ってたのか多少気になるところではあったんですけれど……ホントにこの娘たちはこの生活に、或いは裕太に対して不平や不満は一切抱いていなかったんですなあ。実際、生活は大変でこれまで両親の庇護の元に暮らしていた彼女たちは、自分の無力さを痛感し、辛い思いや苦しい思いを沢山味わい、忘れようとしていた両親の死という痛みも時折突然激痛のように襲いかかってくる。そんな絶望しか無いような環境の中で、でも彼女らはむしろキラキラと輝いている。後ろ向きにならず一生懸命前を向いて自分の出来ることを必死にこなしていく。そこにあるのは絶望よりもむしろ希望だ。まだ幼い彼女たちが、この時の状況がどう頑張っても破綻しかないのだという現実を正確に把握していなかったというのもあるだろう。でも、それ以上に彼女たちにとって一番絶望の底に沈められたのは、三姉妹が引き裂かれ別々に引き取られそうになったあの時だったというのが大きいのだろう。両親が死に、幸せだった日々が失われ、残された姉妹までがバラバラになり何もかも失われそうになった時、裕太が手を差し伸べてくれたことで、姉妹一緒に暮らせるようになった。家族を失わずに済んだ。それは、あの小さな狭いアパートで苦労することなんか何でもないと思ってしまうくらいに、彼女たちにとっては希望そのものだったのでしょう。
裕太の行動はあとさき考えない無謀以外のなにものでもないと今も思うのだけれど、彼女たちの心にこれだけの光を差し込んでいたというのなら、間違いではなかったのでしょう。
でも、裕太視点から見ると、この時の生活は本当に先行き真っ暗なんですよね。絶望感が半端ない。単純に家計だけ見ても、収支が滅茶苦茶なんですよね。一年どころか半年も持たないんじゃないかというレベル。やたらめったらバイトばっかり増やしても、問題の根本的な解決にならないことをこの時裕太はどれぐらい理解してたんだろう。目の前の難題を処理することに精一杯で頭回らなかったんだろうなあ。
それにしても、美羽の早熟性がとんでもない。小学校における社会的な地位の維持の仕方なんか、一人だけ次元が違うんですが。まあそれ以上に小学校で既に女子の集団はああいう目で友達を見て、ポディションの変動の把握に勤めてるのか、と思うと怖いなあw

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