ココロコネクト クリップタイム (ファミ通文庫)

【ココロコネクト クリップタイム】 庵田定夏/白身魚 ファミ通文庫

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太一さん、俺達に、部に入って貰いたいって思ってます?

「新入部員がこなーい!」積極的な勧誘をしないと決めたものの、いつまで経っても現れない新入生に焦る太一たち。そんな時、文研部の扉を叩いたのは気だるげな男の子と内気で小柄な女の子で――。待望の新入部員編と、文研部が1枚のスクープ写真で学校を湧かせた文化祭秘話、伊織と太一との三角関係に悩む稲葉の奮闘劇から、唯が体験した女の子とのドキドキ初デートまで! 愛と青春の五角形コメディの美味しいところを集めたココロコレクト第1弾!!

うおぃ!! この女、いったい誰だよ!?
ついにベールを脱いだデレた稲葉姫子。伊織が命名するところの「デレばん」がベールを脱いでしまいました。完全に病気扱いされてるじゃないか!(爆笑
いや、それにしても凄い。これがあの稲葉なのか? 全然別人じゃないか。キャラ崩壊してるじゃないか。丁度短篇集なので、時系列にそって短編が並んでいるのだけれど、9月時点と翌年4月の稲葉を見比べてみると、気が遠くなる、というかSAN値が下がる。だから誰だよ、お前。やばいなあ、思い出しただけで笑けてくる。こりゃ確かに太一と稲葉のバカップルっぷりはあてられるとか鬱陶しいを通り越して、もはや一つのネタとして楽しめるわ。本来三角関係の一角にあった伊織が二人のアリサマに一番ウケてるというのも、伊織の性格や後腐れなさを感じられて清々しい。しかし、本来ならああも弄られたら怒ったり照れたりしそうなものなのに、稲葉ん全然気にしてねえ。眼中にねえ。完全スルーで太一に夢中かよ。だからホントに誰だよアンタ!!!
一巻の時点でまさかこんな事になるなんて、予想した人いなかっただろうなあ。いたら怖いよ。
丁度最初の短編は、一巻の直後あたりになるのか。この頃はまだ太一と伊織の本命が揺るがない雰囲気だったんですよね。稲葉はむしろ二人の仲を後押ししている方だったし、伊織も太一も当人同士が何れ遠からず付き合いだす流れである事を自覚していて、あとはキッカケがあれば、という状況だったのにねえ。いやはや、それがこうなってしまうとは、紆余曲折にも程があるよ。
稲葉たち三人に隠れてますけど、唯と青木も遅々とではあってもこうして見るとちゃんと進展はしてたんだなあ。こっちはこっちで、最初はどうやったって青木にメはないって空気でしたのにねえ。まさか、最後の短編ではもうあの娘とはなんでもないんだからね、とわざわざ念押ししにくるくらいになってしまうとは。
でも、この五人は別に「ふうせんかずら」に嫌がらせに巻き込まれて特殊な状況に陥らなくても、普通の日常風景を追っかけているだけでもこんなに楽しいものだったとは。普段から十分、はっちゃけているというかお祭り騒ぎしてるじゃないか。これ、ただの日常ドタバタコメディだったとしても、それで十分一級品ですよ。キャラクターがイキイキとしている。短篇集ということで文研部の五人だけじゃなく、例の藤島委員長やクラスの友達連中も出てくるんだけど、滅茶苦茶キャラ立ってるじゃないですか。というか、藤島さん、あんた色々な意味で目立ちすぎや!! 一年次の時でも無駄なくらいキャラ立ってたのに、二年になったらなんでそんな事になってるんだよ、もう爆笑してしまった。ほんと何この人w
作中で自家ツッコミしてらっしゃるが、新学期になってキャラが別人になってる人多すぎ!!

さて、新年度になって太一たちも上級生となり、文研部も新入部員を確保しにかかるわけだが……うん、新入部員は欲しいけれど、まさに心の底までさらけ出しあった、これだけ絆の深まった五人のコミュニティに部外者を入れたくない、という微妙な心理、よくわかる。ふうせんかずらのちょっかいに巻き込んでしまうかもしれない、というのも確かに間違いないんだろうけど。仲が良くなったグループが排他的になるというのは自然を通り越して必然と言ってもいい流れですもんね。
それぞれの理由で文研部に惹かれながら、果たして自分がこのグループに加わっていいのか、自分は望まれているのかが見えず、二の足を踏む新入部員候補の新キャラ二人。このへんの旧来の五人と新たな二人の、表面上は和気藹々と賑やかに過ごしながら、同時に繊細で微妙な心理的な探り合いを重ねていく様子は、なんだかついつい心の腰を据えて読み込んでしまいましたね。短編でもこのへんはさすがは【ココロコネクト】と言ったところでしょうか。それでも、最後に自分たちの無意識の深層心理に気づき、その上で声を上げて後輩たちを招き寄せる五人の姿には、ついつい満面の笑みがこぼれてしまった。ほんとねー、この子らは素敵だわー。最高に素敵で気持ちの良い若者たちである。大好きですよ、この五人。
そして、そんな五人組にプラスとして加わることになった天然少女とひねくれ少年。天然少女の方の動機、というか心の底にある自分への蟠りみたいなものはなんとなく透けてみえたのだけれど、少年の方はかなりややこしそう。彼が「そう考えている」対象って誰のことなんだろう。あの物言いだと、伊織ではない、と言ってるみたいだけど。ややこしい分、一番最初に「ふうせんかずら」に絡まれてしまったか。これまでは、いつも五人一緒に現象に巻き込まれていたけれど、もしかしたら今度からは大きくルールみたいなものが変わってきそうだなあ。

それにつけても「デレばん」である。もうこの作品どっかいい所でアニメ化してくれないかな。そうなったらニヤケ死ぬ自信があるぞ。

シリーズ感想


普段の普通の日常から傍から見てて面白い