プリンセスハーツ 〜たとえ遠く離れていてもの巻〜 (ルルル文庫)

【プリンセスハーツ 〜たとえ遠く離れていてもの巻〜】 高殿円/明咲トウル ルルル文庫

Amazon

恋と野望の王宮ロマン、クライマックス直前!

全ての謎を解くために、【墓場】へ向かうジル。一方、シングレオ騎士団でマシアスと再会したルシードは、騎士団と星教会の後ろ盾を手に入れ、一路、パルメニアの首都ローランドを目指していた。パルメニアの王座奪取に向けて、なにもかもが順調に見えたその時―あるまぎれもない真実―が、離れ離れのジルとルシードに明かされる。二人の運命ははたして……? 身代わり王女の王宮ロマン、怒涛のクライマックスへ!
怒涛のように明かされていくこれまで謎とされてきた血縁の真相。王女メリルローズの相似であり、義母の想いもよらぬ正体、実の両親が誰かも不明、と身辺が派手な秘密と謎に彩られていたジルの方にばかり気を取られていて、まさかルシードの方にも秘密が隠されていたとは思いもよらなかった。完全に意識の死角だったな。あるいは、囮として、ジルの方の事情に余計に注目が集まるようにしてあったか。それに、誰と誰が双子である、実はあの二人は双子でした、という話があちこちで暴露され始め、さらには双子を利用した陰謀を歴史の裏側から企てていた墓場なる組織まで出てきて話のメインになっていたので、まさか逆に逆に双子じゃありませんでした、という展開が待っているとは思いもよらず。
ただこうなってくると、登場人物の血縁関係がすさまじい勢いでからみ合っていることになってしまい、ちゃんと整理しないとかなり訳の分からない事に……ってあれ? 事実がこの通りだとすると、ジルとルシードって従兄妹になるのか!?
さすがにルシードの秘密は想定どころか予想だにしていなかったので、相当に驚かされた。何しろ、作中で一番情報に精緻していたジルが全くコレに関しては知らないどころか疑うことすらしていなかったからなあ。オース王子も噂が出回るまで全く感知していなかったようだし、秘密は元から知っている人以外にはほぼ完全に守られていたようだ。それを、何故パルメニア王が知っていた、かもしれないというのはなかなか大きな疑問点だぞ。

と、この時点でもこの急展開には相当ドギマギさせられたのだが、ルシードは一旦凹みまくって折れそうになるものの、ジルに鍛えあげられた心身とリドリスの応援もあって何とか立ち直り、王の器量を証明してくれるのだけれど……まさかの止めのちゃぶ台返し。一度ひっくり返されたちゃぶ台を直してくれたと思ってホッとした途端にもう一度ひっくり返されたよ!!
ちょ、直前までのやり取りはなんだったんだ!? いや、だからこそ明らかにこれはおかしい。どういう意図があるっていうんだ!? 
一応、ルシードがアジェンセン大公でなくなることはないはずなんですよ。だって、パルメニア王国の史実でそうなってるわけですし。彼の孫のあたるオリエ――遠征王アイオリアはパルメニア王であると同時にアジェンセン大公の位にも付いていますから。ここはまず揺るがないはず。だからこそ、歴史の真実はいったいどうなっているのか。
史実といえば、ミゼリコルドの主が誰か、というのも問題なんですよね。ミゼリコルドの言い分からすると、メリルローズっぽいような気もするんだよなあ。ただ、遠征王ではミゼリコルドはオリエの祖母にあたる女性を守護していた、と語られているっぽいんですよね。普通に考えたらジルなんでしょうけれど……今回ようやく初登場となったメリルローズ、やはりというか浮世離れした人ではあったんですが、思ってたのと違ってちゃんとルシードを愛してるようなんですよね。単にルシードが片思いを高じさせ、拗らせた挙句に一方的に求婚していた、という勘違いではなかった模様。ちゃんと両思いだったのか。そうなると、これまでジル応援一辺倒だったのが、ルシードが変心してメリルローズからジルに乗り換えた事にモヤモヤした気持ちを抱いてしまうのでした。ずっと迎えに来てくれると信じてた人が、自分の偽者に心奪われて挙句に見捨てられた、という形になったらそりゃ哀れですよ。尤も、そんな単純な乙女ではなさそうですけれど。
一方で、こちらは紆余曲折の上でちゃんと両思いになったジルとルシードですが……りょう、おもい? なにかこう、本質的にはちゃんと両思いなんだけど、ギャグ的な意味で相当すれ違ってないか、この二人の恋愛感情。主にジルさんが変なんですが。そもそも変なんですけどね、この女。だいたい、食欲に色々と傾きすぎだろう、この女。食い物に釣られてプロポーズをOKするなよ!! 今はルシードに夢中になってしまったのはいいのだけれど、それが食欲として表現されるのはなんなんだ!? 「恋の感覚は、食欲に似ている!」 けだし名言である。このままだとルシード、男と女の意味でじゃなくて普通に食事的な意味で喰われかねないぞ。ジルの妄想がある意味女体盛りと変わらないものになってて危ないんですがw 夢でとはいえマジで齧り付いているし。飢えてる飢えてる。なるほど、これが冬眠明けの樋熊というやつなのか。

それに比べると、同じ両思いでも、感情的に拗れまくっているとはいえ、まだオース王子とケイカの方が健全に思えてくる。あのケイカの反応見ると、明らかに王子にベタぼれだもんなあ。オース王子だって何気にベタぼれだし。この二人、どうなるんだろう。ケイカ、仮面夫婦とはいえ公式に結婚しちゃってるんだもんなあ。こっちの決着もどうするのか気になって仕方がないですよ。

ともあれ、一番気になるのは最後の一文の真相に尽きるのですけどね。こればっかりはどこにどんな真意があるのかサッパリですよ。
というわけで、早く続きぷりーず。

高殿円作品感想