身代わり伯爵と白薔薇の王子様      (角川ビーンズ文庫)

【身代わり伯爵と白薔薇の王子様】 清家未森/ねぎしきょうこ 角川ビーンズ文庫

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第五師団の同僚・アレックスは見た!! ミレーユ扮する男装のミシェルを見守る(つけまわす!?)、ロジオンの異様な眼差しを!! 果たしてロジオンの思惑は!?「身代わり伯爵と危ない保護者」。その他リヒャルトのために開かれる二人だけの甘い晩餐を描く「身代わり伯爵と真夜中の料理教室」や、フレッドとセシリアの初めての出会いを描いた著者渾身の長編書き下ろしなど6本を収録。爆笑&ラブ満載(初心者歓迎)の外伝集!!
短篇集ということで、久々にシアラン編の前のミレーユとリヒャルト、まだ恋人になる前の二人を見たのだけれど、そういえばリヒャってミレーユに夢中になる前からこんな風に口説いてるみたいな台詞をポンポン投げかけてたんだったなあ。
決して言葉が軽いわけじゃないし、ミレーユに対して最初から好意めいたものをいだいてはいたものの、ちゃんとした恋愛感情を持ってない初対面にちかい段階からこんな甘い言葉を囁かれ続けてたら、ミレーユも確かに誤解するよなあ。別に、私のことを好きだからこんな甘い言葉をささやいてくれてるわけじゃない、と。中盤あたり、リヒャルトの積極的なアプローチに対してのミレーユのスルーっぷりは、ミレーユの方もリヒャに対して特別な感情を抱きつつあるのに、なんであんなに華麗に流してしまえるのだろう、と首を傾げること度々だったのですが、ようやく理解できた気がする。こりゃ、リヒャが悪いわ。

まあそれでも、リヒャは軽薄から程遠い誠実な男性でミレーユに対して回り道せず真っ直ぐに好意をぶつけられるイイ男であり、ミレーユも勝気で積極的なわりに聞き分けが良く自分勝手とは程遠い聡明な女性だったので、この二人はストレスの貯まるようなすれ違いは殆ど起こさず、障害を乗り越えて相思相愛の糖分過多なカップルになってくれたのですが、それに比べるとミレーユの兄貴であるフレッドと、リヒャの妹であるセシリアのカップルは前途多難もいいところだ。
概ねその原因はフレッドの方にあって、セシリアはひたすら可哀想な立場なんですけどね。妹姫もまた、やたらと面倒くさい男に惚れてしまったものである。親友であるリヒャや、妹であるミレーユという一番の彼の理解者である二人ですら、フレッドにはうんざりさせられこいつは何を考えてるかわからない、という得体の知れないところがあるこの男を、はたしてセシリアみたいな娘が受容できるんだろうか。秘密主義だし、真意はふざけた態度の裏に綺麗に覆い隠してさっぱり見せてくれないし、どれほど深い愛を持っていてくれても、リヒャやミレーユみたいにストレートには伝えてくれないし、セシリアはもうこいつに関わっている間は永遠にやきもきさせられるんじゃないだろうか、と心配になってしまう。
正直、二人が結ばれてもしか夫婦なんて関係になったとしても、セシリアはフレッドに振り回され続けるんじゃないのかなあ。と、セシリア姫がこの破天荒な貴族の公子に不覚にも惚れてしまうエピソードを見て、苦笑交じりに思ってしまった。どうもこの二人がリヒャたちみたいに甘々で仲良くカップルになってる様子があんまり想像できないんですよねー。奔放な公子の振る舞いに姫が涙目になって怒ってるか、溜息をついている姿しか思い浮かばんw
リヒャが二人の気持ちを知りながら、あんまり積極的に二人の仲に干渉しないようにしてるのって、実はフレッドが相手というのが微妙に不安だからじゃないのか? と穿ってみたくもなるなw

シリーズ感想