わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 2 外泊ですが何か? (ファミ通文庫)


利沙様とホテル……だと!? さらに愛欲まみれの第2巻!

《妄想少女》リサたちとの出会いにより、高柳君を巡るライバルである本物の河内利沙ともお近づきになったあすみ。そんなある日、「超豪華なユニコーンホテルの宿泊券をGETしたから高柳君とその他を誘いなさい」と命じられほくほく。一方その頃D組では、高柳君を傷つけ書き初めを破った仁島さんを想うチャラ男・沢田の妄想少女サチコが衰弱しきっていた。そしてあすみの机から、プラチナチケットが消えた――!? 愛欲まみれの超リア中ラブコメ第2巻!
だ、駄目だ。一巻に引き続き、いやそれどころかより切れ味を増して、あすみがアホ可愛すぎる!! もうこの娘、大好きだわ。ほんとにこの娘、愛しの高柳くんから「馬鹿あすみ」と頻繁に言われるほどアホの子で、確かに頭悪いんですよ。発言の内容が、もっと考えてしゃべれ、というくらい脊髄反射ですし。ただこの子の脊髄はセンスがありすぎるのです!! もう、この娘のコメント、一々メチャクチャ面白い。どっからそんな言葉が出てくるんだ、というような噺家みたいな奇天烈な台詞がポンポンとリズムよく飛び出してくるものだから、目が離せない。
そんなあすみを、周囲の人達も概ね奇人変人の類、と認識しているようなんですけれど……だからといって遠ざけられているわけではなく、むしろみんなこの娘の事が大好きなのです。それも、男女問わず愛されている。代表的なのが、前回何の因果か恋敵にも関わらず友達になってしまった利沙。あれだけ敵愾心をむき出しにしていたにも関わらず、今の彼女はあすみの事が可愛くて仕方ない、というのがひしひしと伝わってくる。もともと他人と距離を置き、友達をつくらず、情け容赦ない性格から孤高の女王という感じだったのに、前回高柳にだけ向いていたあの先鋭な情熱が、今やあすみの方にも向いてる感じなんですよね。一応表向きは高柳の幼馴染で一番身近な女性であるあすみと親しいふりをして、もう一度アプローチを仕掛ける、というスタンスを取って入るものの、あすみはよくわかってないようだけど完全にフリじゃなくて、あすみに構うことそのものを楽しんでいるようですし。むしろ今や高柳にちょっかいを出すことであすみが示す面白いリアクションを楽しんでいる素振りすらある。
そんな本来他人に親しまない利沙をして、そんな風に愛でて構ってしまうような、ついつい愛しんでしまう所があすみにはあるんですよね。
ただのアホの子じゃないんですよ。
アホだけど愚かではない。発言こそ脊髄反射で喋ってるところがあるけれど、むしろ内面的には思慮深く色々と考えて行動してるんですよね。アホの子なので、いくら考えても頭がいいわけじゃないので決して効率的な結果には結びつかないのだけれど、それでも小賢しさとは縁がない。良い意味で愚直で善良で、責任感も強い。なにより明るくて、周りの空気まで良い方向に引っ張ってくれるパワーがある。すっごいムードメーカーなんだなあ、この娘は。
話の展開は実は結構深刻で、問題も中学生ものらしいと言えばそれらしいシビアであり、嫌な意味で現実的でもあってキツい話だったりもするのですが、あすみのおかげで鬱々とならず救われましたよ。それどころか、こんなハードな話を楽しく読めた、というのは稀有な事なのかも。
実際のところ当事者のあすみは振りかかる問題のストレスから胃潰瘍になりかねない胃痛に苛まれつつ右往左往していらっしゃるのですが、その姿すらも落語のネタみたいで大変な目に遭っていらっしゃるのに、失礼ながらついつい笑ってしまった。ごめんなさいよ。


肝心のラブコメの方はというと、何故かあすみってば高柳くんじゃなくて佐島くんの方と親交が深くなってしまっているようなw サブタイトルにある外泊も、あんな事になってしまってますし。沢田の忠告じゃないですけれど、確かにこのままだと佐島くんとの仲を誤解されても仕方ないんじゃないだろうか。今のところまだその問題は表面化していないようだけれど、なにやら最後の一文で爆弾が準備されている事が発覚しましたし。
ただ、案外佐島くんともあすみはお似合いなんじゃないかな、と思わないでもないんですけどね。結構息も合ってましたし。高柳の前だと意識してる分今のあすみはちょっと硬くなってるところが見受けられるからなあ。もうあの外面バージョンはやめたんだから、元の屈託ない幼馴染バージョンに戻せばいいだろうに。まあどう転ぶにしてもこの娘には幸せになって貰いたいねえ。まだまだ中学生なんだから、男女関係にまだそこまで深刻にならなくてもいいと思うけど。

1巻感想