俺ミーツリトルデビル! (電撃文庫)

【俺ミーツリトルデビル!】 峰守ひろかず/犬洞あん 電撃文庫

Amazon

「もっとマジメにハアハアしなさい!」
半熟悪魔×妄想少年の、甘美系学園ラブコメ!


 妄想激しすぎな高1男子・巧馬が、新米夢魔の芽亜(しかも中3女子)と契約をすることに! 巧馬の妄想を食べないと生きられない芽亜だけど、なんと彼女は夢魔のくせして、えっちなことが大嫌いだった! ハアハアしてほしいけど、してほしくない!と、日々巧馬を振り回すことに。
 そんな中、悪魔として覚醒した芽亜を狙い、各地からハンターたちが訪れる。二人は妄想の補給と吸収で協力しあい、彼らを撃退しようとするが!?
 第14回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作家・峰守ひろかずが贈る、半熟悪魔×妄想少年の甘美系学園ラブコメ!
どうして峰守作品の主人公はこうも自分に明け透けなんだ?(笑
この作品の主人公下野巧馬は、大きなおぱーいが大好きで自分の欲望妄想をべらべらと口に出してしまう、どころか臨場感あふれる実況中継してしまうという性癖を持つ、人呼んで【下半身】。前作【ほうかご百物語】の主人公に変態性が付与されたみたいな子だ。おかげで男女問わずみんなに好かれていた真一と違って、こちらの巧馬は女性には蛇蝎のように嫌われている。そりゃああれだけ男の生の欲望を垂れ流しにされたら、女性としては嫌悪感を抑えきれないだろうし、なるべくならお近づきにはなりたくないだろう。
ただ、この男、害は全くないんですよね。妄想過多ではあるものの、そうした男の欲望を無理やり実行に移そうということは絶対にない。言っている内容もセクシャルアピールポイントの礼賛と、その恩恵を与りたいなー、という願望を垂れ流しているだけで、ねちねちとしつこく相手の嫌がることを口走ったり、まとわりつくような陰湿な所は一切無い。非常にカラッとしていて、適当に聞き流すか、きっぱりとダメと弾いたら綺麗にオチをつけてくれる。単純に自分に正直すぎるだけで、むしろ行動については紳士的ですらあるんですよね。
その点を弁えて彼の扱い方、というか付き合い方をよく心得ているのが生徒会長で、彼の妄想発言に過剰反応せず笑ってあしらう姿は堂に入っていると言ってもいいくらい。
逆にこれでもかというくらいに過剰に反応してしまっているのが、潔癖症のきらいのあるヒロインの芽亜だったりするわけだ。
うむむ、前作のヒロインのいたちさんは包容力のあるお姉さんタイプの同級生だったが、今度の芽亜さんはしっかり者できっちり者の健気に旦那を叱咤するタイプの後輩さんかー。前作ではこの手のしっかり者のヒロインは居なかったので結構新鮮だ。何気にこの手の子って、口煩いけれど尽くすタイプなんですよね。例にもれず、この芽亜も口では厳しく辛辣なことを言いながら、実際はとても献身的でいたちさんとはタイプが全然タイプが違うけれどこの娘も嫁さんタイプだよなあ。
あまりにも変態チックな主人公に眉をひそめながらも、巧馬の好みとは大幅にズレたちっちゃいロリっ娘タイプの芽亜は巧馬から女性として扱われないのですが、だからこそ妄想の対象にならない分巧馬の素の優しさや面倒見の良さ、紳士的で誠実な面を向けられ、彼に惹かれていくのです。一方の巧馬も、全然好みのタイプじゃない芽亜を、当初は異性としてまったく観ていなかったのですが、好みじゃなかったからこそ好みの外見に惑わされず引っ張られず、芽亜という女の子そのものに心奪われていくのです。
自分の心を隠さず、偽らず、常にむき出しに晒しているからこそ、この少年の抱くドキドキするような心臓の鼓動や、本当の愛情が芽生えた時の爆発するような感情の奔流がダイレクトに伝わってくるんですよね。彼が芽亜の事を本当に好きになってしまったシーンは、特に素晴らしかった。なんかもうね、胸がキューッとなるような好きだという感情の渦が、熱となって迸ってるんですよ。何だかんだと、この主人公も愛は一途だなあ。欲望の方もまったくブレないけど。
まあ彼のこのドを越した変態性の原因が発覚したときは笑ったというか苦笑いしてしまった。これじゃあ、芽亜は巧馬のこの性癖をあんまり頭ごなしに怒れなくなったじゃないか。さすがに自分以外の女の子に対するときはガミガミ噛み付くかもしれないけれど、彼の妄想が自分に向いたとき今後はあんまり強く言えなさそう。うはは、微妙にあれだな、恥ずかしいけど我慢しながらちょと受け入れちゃったりする恥辱プレイが常時展開されるのか。それは気分的にエロい。
エロいと言えば、会長のアレはエロかったなあ。巧馬の好みドストライクじゃないか。会長自身、巧馬の妄言は軽くあしらいながらも何だかんだと面白がってる節があるので、あんな事があった後なら「君は仕方ないなあもう」とか言いながら軽くオッケーしてしまいそうな雰囲気もあるので、カップリングが揺るぎない鉄板だった【ほうかご百物語】と違って、こちらは芽亜が嫉妬しての修羅場もちろっとありそうな雰囲気だ。それはそれで実に楽しみな展開ですねっ。