千の魔剣と盾の乙女3 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 3】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ロックのラッキースケベっぷりが同じ川口作品の主人公の中でも他の追随を許さないくらいにすごいな、恵まれてるな。というかここまで来るとエリシアがただの汚れ役のような気がしてきた。もうそこはフィル並におおらかになって全部許してしまえばいいのに。あれだけベタボレなんだから。まあ、偉そうに煽ってるフィルはフィルで自分がラッキースケベの当事者となったら動転しまくるあたり、まだまだハーレムの要としては未熟者だな。
とは言え、一応フィルこそがこのパーティーの女性関係の管理者として機能している、というか働いているからこそ面倒くさい性格のエリシアが人間関係拗らさずになんとかやってけてるんでしょうけどね。ナギが加わったことで本来ならもっとややこしい事になってたはずですし。ロックはそっち関係まったく無能ですしねえ。
こうして鑑みると、やっぱりハーレムというのは女性陣の中で全体を管理調整する、出来る人員が居ないと、とてもじゃないけど維持なんて出来ないのがよくわかる(これを今まで読んだ中で一番見事にこなしていたのは【カンピオーネ!】のエリカである。しかも彼女の場合自分を最上位に据え置いてだから大したものなのだ)。よっぽど男がオラオラ系だか気遣いとマメさとバランス能力に長けていない限り、みんな仲良くなんて出来ないし、それができてもただの仲良しごっこになりかねない。或いはよっぽど女性陣同士が仲良くて、それこそハーレム主に対する感情と同等同質の想いが女性同士の間に巡っている状態か。少なくとも女性間にちょっとでも反目や意趣、独占欲が芽生えてたら管理者のいないグループなんてすぐに崩壊してしまうんだろうなあ。
その点、フィルはよくやってる。自分は一歩引いてエリシアを立てているあたりも機微がわかってるし。それでいて引ききってしまわず、それとなくポディションは確保してるんですよね。今回は自分の未熟さを単に発して、自分のポディションに自信を失い、ロックやエリシアへの想いを再確認する、言わばフィル担当回だったのだけれど、パーティーにおける彼女の縁の下の力持ちっぽりがより存在感を増した感があるなかなか重要な回だったんじゃないだろうか。
そろそろ、ロックの目標についても本格的に疑問を呈されてきだしましたし。それは師匠の夢の横取りなんじゃないのか、という指摘はなかなか厳しいものだったんじゃないだろうか。他人の夢に相乗りするには、ロックというキャラクターは軽くも薄くもないんですよね。彼自身、今回発覚したことだけれどかなりキツい呪いをかけられ、金環の魔物に目をつけられているわけですし。ロックは決して主体性がないキャラなんかじゃなく、かなり一本芯が通って信念も固いキャラにも関わらず、彼の夢自体は借り物という状態はどうにも矛盾に満ちてきて、妙な違和感というか座り心地の悪さを感じていたのだけれど、どうやらその辺のブレがガンガンと叩かれて一つの筋道として鍛えられてきた感があり、面白くなってきた。

にしても、大陸に対する探索って本当に沿岸部に限られてるんだなあ。殆どが日帰りって、半日程度で進める距離って、交通が整備されてない土地であることや次々に襲いくる魔物の事を考えると殆ど無いも同然だろうし。せめて大陸に拠点を確保できれば、そこから徐々に支配地域を広げることも可能なんだろうけど……いや、僅かな接触だけで海上都市を蹂躙されかけてる戦力差を考えれば、大陸に拠点をなんて絶対無理か。これで魔王を倒すとか、無理ゲーもいいところだよなあ。殆ど詰んでるぞ、この状況。
せめて敵方が知性のない魔物ばかりだったら遣り様もあるんだろうが、ちゃんと人間以上に頭を使える幹部クラスが居るとなると、難易度が高すぎるw

巻末のオマケの川口スーパー大戦はマジで面白そうだな。いつの間にか川口さんってもうそんなに作品出してたんだなー。


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