月見月理解の探偵殺人 5 (GA文庫)

【月見月理解の探偵殺人 5】 明月千里/mebae GA文庫

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「一番の嘘つきは君だよ、れーくん」

 月見月家の豪華客船『ナグルファル』。この船で『黒の箱庭』の《グラウンド・ゼロ》が主催する《探偵殺人ゲーム》の決勝戦が始まる! しかし、果無連理を迎えた月見月家が敵となってしまい、理解の能力である《無数に扉のある高座》も連理によって奪われ、消失してしまう!

《災禍の中心》を持った連理と対峙する理解、《グラウンド・ゼロ》と化した《ドッペルゲンガー》を追う交喙、生き残るのは誰か?
 そして、秘密を宿した『二羽の鴉』、全てが叶う『願いの箱』は誰の手に!?

「教えてやろう……この俺様の前では、お前の言う『真実』なんて何の役にも立たないということをな!」
超俺様な女の子に君好みの女になってあげる、と言われたらそりゃあもう完全勝利でございましょう。実際の勝負こそ《グラウンド・ゼロ》&果無連理VS月見月理解&れーくん、交喙という構図となっており、表向きも最後までその形式で進んでいくのだけれど、実質はこれずっと理解とれーくんの戦いであり綱引きであったのです。れーくんが戦っていたのは、理解の諦めであり絶望であり、破滅願望であって、果無連理なんてラスボスを自負するただの雑魚は端から眼中になかったんですよね。結局れーくんは最初から最後まで目立たぬまま、勝負する相手を理解以外の誰にも悟られることなく限定し、誰にも知られないように必要な小さな勝利を積み上げ続けた。彼は徹頭徹尾目的を完遂し続け、最後まで勝ち続けた。本当の常勝不敗を貫いたわけです。彼の恐ろしいところは、彼が定めた対戦相手に対して、勝負している事すら悟らせないこと。状況さえ整えば、彼が勝利したことさえ相手に悟らせない。これほど完璧に陰に徹して表に力を示さなかった主人公というのも珍しい。ついにこの最終話では、れーくんを一番よく知る理解をすら手玉に取り彼女から勝利をもぎ取ったのですからね。最終的に、れーくんの戦う相手は理解になるとは思ってたんですけれど、もっと真正面からの真っ向勝負が起こると思ってたんですよね。正直、果無連理なんて前回で底の知れてしまったこれまでの敵の中でもダントツの小物臭を撒き散らす雑魚でしたし、端から相手になるとは考えてなかったのですが、まさか理解がボーンヘッドを繰り返して自分から墓穴を掘りまくるというわざわざ相手のステージに降りるような有様に陥ってしまったので、ありゃありゃという拍子抜けな展開に。
ただ、よくよく考えてみると探偵殺人ゲームは脇において、この最終巻の本質は月見月理解がはじめて見せる弱さと絶望に、どうやってれーくんが打ち勝つか、という話になってたんですなあ。もうちょっと分かりやすくしてくれよ、と思わないでもなかったけれど。
しかも、れーくんと来たら直接理解の内面にダイレクトアタックを仕掛ける一方で、さり気無くゲーム全体を支配下におき、コントロールし切って全員を手のひらの上で転がしていたわけで。そんなん、理解に教えてもらうまで全然気づかなかったよ!! 不自然に殺された人物が出てたのはそのせいだったのか。そりゃ嘘つき呼ばわりされるわ。理解に対しても、なんにも言ってなかったわけですしね。理解からすれば、今回のゲームでは完全にれーちゃんに利用されてしまったわけで、こりゃあぐうの音も出ない。しかも、その彼の勝利目標まで承知してしまった日にはねえ。そりゃあ観念して嫁に貰われてやろう、君の好みに合わせてあげるよ、という気にもなるか。あの月見月理解に身も心も捧げると言わしめたのだ。れーくんの望みうる最上の、完膚なきまでの勝利である。
デレた理解は可愛かったよ、うん。

このイラストレーターのmebaeさんのキャラデザイン、最近どっかで見た覚えがあるんだよなあと引っかかってたんだが、そうか今期放映してたアニメ【C】のキャラデザインがこの人の手がけたものだったのか。アニメ見てないけど。

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