Landreaall 18巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 18  限定版】 おがきちか IDコミックス ZERO-SUMコミックス

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今度の限定版はファレル母さん主役の描きおろし漫画が掲載された小冊子。ファレル信者は必読である。
それにしてもDXって騎士の全身鎧が壊滅的に似合わないよなあ。


ACT92 <騎士、祝福する>

友を信じよ 善なる人を導け …そして自由であれ

このDXが自分の言葉で語った祝祷を聞いて、ディアは自分が祝福されたみたいだ、と涙を流す。このDXの祝祷を聞いている時のディアの瞳が印象的なんですよね。あのフワッとしてこの世の真理を垣間見たような瞳が描かれる時って、その人に取って重要な内面の転機が訪れた時が多いのです。その時は、当人ですらも気づいていなくても、あとになってみるとあの瞳が描かれた瞬間こそがその時だったと思い起こすことが度々ある。
自由であれ。新生児にこんな祝祷を残す人は随分と珍しいらしい。だからこそ、DXという人間の源泉から湧き出た言葉なのだということがわかる。
自由であれ、自由であれ、自由であれ。
この時はとても心に響く良い祝祷だった、それこそディアが涙を思わず流してしまうくらいの、と思っただけだったが、あとになって明らかになったディアの現状と彼女が自分に定めている在り方を鑑みると、何故ここでディアが涙を流したのか、という点は多少は気にしてもいい気がする。
彼女は自分の在り方を信じているし、迷いもしていない。理不尽だと考えていないし、それを十全受け入れている。実際、事があるがまま進んだとしても、彼女は自分の選択を後悔しないだろう。彼女は諦めている訳でも我慢しているわけでもない。それを在るべき責務として自然なことだと考えているだけなのだから。それは彼女の本心だ。
でも、彼女は泣いたのだ。
それをきっと、DXは忘れないと思う。彼は絶対に、相手の気持ちを無視したり踏みにじったりしない人だけれど、ウルファネア王国での彼の行動を思い起こすなら、気持ちは無視しなくても意志や思惑はわりとぞんざいに扱う狡猾な所がある、容赦のない少年であることを忘れない方がいい。
ただ、素直なリドと違って、ディアはDXをして口で勝てない、理路整然とした理性的で聡明な女性だからなあ、手強いぜー。
教官の膝枕はデッドトラップでござった。そりゃないぜー。


ACT93 <OPERABUFFA>
何の因果か、DXの両親であるルッカフォート将軍と傭兵ファレルの馴れ初めとなるマリオンとの火竜退治のおはなしを題材にした芝居をディアと観に行くことになるDX。
ちなみにタイトルの<OPERABUFFA>とは<喜劇>のことである。さて、喜劇とは芝居のことか、真実のリゲインとファレルの馴れ初めのことか、はたまた悶々とするDXの御姿のことか。
普段から喜劇みたいなDXだけれど、このDXは珍しい、非常に珍しいと言っていいと思う。ディアとの事は友達、ともうDXは言い切れないよなあ、これは。もう一度彼の方から女性を芝居に誘うDXというところから珍しいのに、ディアにきっぱりと線引きされてしまったあとのあのしゃっきりしない態度。
DXは、誰に対しても飄々としているのに、ディアにだけは自分をコントロールしきれずに振り回されている。ディアが振り回しているのではなく、DXが勝手にバランスを崩して振り回されている、と言っていい。面白いなあ、あのDXが対人関係の距離感を完全に見失ってるよ。


ACT94 <ディッキーバード>

好きな人がいてもそう言うわ
穏やかにそう語ったとき、ディアの脳裏には誰の顔が浮かんでいたんだろう。ちなみに、DXはその時悶々と自分の言動にダメだしして凹んでました。
デートに誘ったつもりはなかった。にも関わらず、きっぱりと線引きされた後に何の反応も言葉も発せられなかったということは、デートのつもりじゃなかったと言えないのだと、DXはいつまでも自分に言い訳してられるような子じゃないからなあ。ある程度自分の気持について方向性を得たのだろうか。マリオンの件からも分かるとおり、DXは一途で献身的だからなあ。
でも、うん、イオンにディアが語った話は、かなりショックだった。まだ話があがっている段階なら兎も角、アカデミーを退学してまで準備を進めていた以上、もう既に殆ど整っちゃってるはずだし、ここから話を覆すのは至難のはず。
ただ、うん、家格としては釣り合い取れてるんだよなあ。DXのお見合いに、ディアの姉があてがわれたのは何よりの証拠。とは言え、略奪は家の面子もあるだろうから、大問題になりかねない。ただでさえ、微妙な時期だってのに、注目の種であるDXが家同士の問題を起こす訳にはいかないだろうしな、という建前じみた問題を蹴っ飛ばしていくのがこの作品なんだが、無思慮に蹴っ飛ばすんじゃなく蹴っ飛ばしても何とか収集のつく方向に条件を整えてから蹴っ飛ばすのが醍醐味な作品である以上、何らかの打開策はあるはずなのだが。
それにしても、丁度ここに王位に一番近かった男と一介の傭兵女の身分違いのラブロマンスを、話の味噌として芝居として、或いは小冊子の描きおろし読み切りとして出してくるあたりに強大な作為を感じる。
身分違いのロマンスとはまた違うけれど、これも結ばれるために困難の壁が立ちふさがるロマンスとも考えられるわけだし。両親程度には息子も苦労しろって事ですか?


ACT95 <Lines>
好きでもないのに結婚しようとする人あらば、好き同士なのに拗れて結婚が遠のく人あり。世は斯クも複雑なりけり。イオンみたいなシンプルな人間にはワケわからんのだろうなあ。とは言え、彼女だって何時までも単純では居られないはず。今のところは、無邪気にカイルを応援していられるのかもしれないけれど。
一方で、一度は拗れに拗れていたリドと竜葵は何だかんだとうまくいっている様子。ただこれ、通訳が居ないとまた拗れそうだなあw 今回はDXが上手いこと竜葵の言いたいことをリドに伝えてくれたから良かったものの。
そんでもって、DXはついにグレイにひっついて素性を隠して従騎士の訓練に参加していたのを告白。案の定お怒られるんだけれど……何だかんだとこの国の大人はみんな出来た大人だなあ。ちゃんと正しく適切な場面で子供を叱れる大人が揃ってる。DXみたいな子を叱れるって、それだけでも大したもんよ?


ACT96 <女神杯(エスナリア) 機
越後のちりめん問屋や遊び人の金さん、貧乏旗本の小倅、というだけでも怖いのに、DXってば殆ど風車の弥七レベルだもんな。市井に紛れる王族は珍しくもないかも知れないが、忍者や御庭番のレベルで何処にでもいる王族ってめちゃくちゃ怖いよ!w
女神杯観戦の為に、リゲインとファレルの両親も王都に。ああそうか、そう言えばロビンの父親の問題もあったっけ。今のところまだ手がかりなしだが……ティ・ティとディアの情報網があったらそりゃ心強いなあ。……ちょっと待って? 先にディアが例の件をイオンに話したときに餌を突っついてたのって……「こまどり(ロビン)」だったよな。これ、どういう暗喩なんだ!? ……え? あっ、あれ? あれれ!? まさかそういう繋がりだったりする可能性もあるの!? まだ完全に予想どころか妄想の段階なんだが、もし正解だったりしたらこれってえらい拗れた話にならないか?

誰かを――王にして国(アトルニア)を変えるのが夢でした。
しかし私の夢は少し変化したんです。
もうすぐ円卓がはじまる。アンは正式にDXを選ぶのだという。しかし、DXは王にはならない、今は。アンちゃんが夢見たものは何なのだろう。きっと、自分の思い描いた以上の景色を、見たいと思ってしまたんだろうな。


ACT97 <女神杯(エスナリア) 供
一話前とフィルのレディ・アプリへの接し方が全く違うのだが。フィルがレディに屈服してるww
今度の竜葵の手紙は内容が素直だ。少なくとも、リドが変な解釈をせずに真っ直ぐに受け止められる程度には。今更ながら、この兄弟の仲が戻った、というよりも以前よりもよくなった事にはホッとさせられる。お互い堅物同士で、面倒くさくも救われない拗れ方してたからなあ。あの竜葵がこんな手紙を送ってきたと思うとちょっとジーンとしてしまった。



掌編 Tail piese
だって六甲は家族だけどお兄ちゃんじゃないもん お兄ちゃんはDXだもん
六甲は兄弟だけどお兄ちゃんはDXだから……えっと、えっと〜〜〜
妹は弄るよりも愛でろ!!
なにこれかわいい

もうひとつは、王都に来たリゲインとファレル夫妻が、DXたちも見た自分たちが元ネタのお芝居を見た上で、楽屋裏を訪問のお話。ファレル母さん、カラッとして竹を割ったような性格で、宮廷にも未だに女性のファンが多いというのも納得の人なのだけれど……剣についてだけは容赦ないを通り越して酷いw


描きおろし読み切り小冊子 <淑女の剣帯>
傭兵たるもの、いかなる戦場でも手段を問わず勝利して生き残るべし。なるほど、先日ウルファネア王国でDXが体得した傭兵の極意を、既にファレル母さんはこの時代には開眼していたのか。
アカデミーを退学したあとも、宮廷のサロンで孤軍奮闘することになったファレル。DXみたいにふにゃふにゃじゃないファレルとしちゃあ、これほんとに苦労したんだなあ。それでも、ちゃんと打ち勝つあたりエラい。エラい以上に健気じゃないか。ってかね、ファレルの泣き顔に、私が壊れた。既にこの時点で凛としてどこか風格のある女性だったのが、泣いた途端に歳相応の可愛らしい女の子になっちゃって。そうなんだよなあ、リゲインが迎えに来たとき、普通の村娘に戻っていたファレルは、普通のカワイイ女の子だったもんなあ。
もうね、この可愛いファレルを見るためだけに限定版買って後悔なしですよ。むしろ、見れなかったら一生後悔だねっ♪


おがきちか作品感想