物理の先生にあやまれっ! 弐号機 (物理の先生にあやまれっ! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 15-2)

【物理の先生にあやまれっ! 弐号機】 朝倉サクヤ/pun2 スーパーダッシュ文庫

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超巨大兵器AAEは世界平和の使者か、人類滅亡の最終兵器か。その謎がついに!!
世界七箇所に突如現れたAAEのパイロットとしての資格を示す門章を持つ生徒が、世界中から集められた星立・真宮研究所附属AAE高校の初代星徒会長に就任したキューこと橋良九星。実は、AAEを操ることが出来ないのに、女の子にはモテモテだ。同級生の綾瀬川椛、月緒・メイ・シルバーライアン、アムリネス・13世・アイシス、ナディア・ヴェルディ・シュバルツシモンがキューのために副会長の座を巡る激しいバトルを繰り広げることに。高校生活は順調かに思えたが、AAEの存在を巡り先進各国が不穏な動きを見せ始める。超巨大兵器AAEの存在理由とは何か? 世界平和の使者か? それとも人類滅亡の最終兵器か? そして高校生たちの未来は!! その謎を知る天才科学者真宮ソフィー村本は、キューに衝撃の真実を打ち明けた!!
ちょっ、打ち切り確定後の作者のグレっ方が半端ねえ!! いいのかこれ!? でも、単に拗ねてちゃぶ台ひっくり返すよりも、稚気と愛嬌が感じられて、これは私は嫌いにはなれないなあ。ついつい微苦笑を浮かべてしまった。
門章が宿り、AAEのパイロットとして世界を睥睨する超常の力を手に入れたとしても、彼らのその精神は歳相応の子供に過ぎない。綾瀬川やナディアなど、そもそもが常人よりも劣等感を強く持った子たちなだけに、メンタル面はむしろ脆弱な程だ。彼女たちにとってAAEというのは、それまでの自分を打破し弱い自分を強くしてくれる鎧や武器であったのだろう。彼女らが一刻、手に入れたその力に振り回され、自己を顕示するような振る舞いに走ってしまったのも、彼女らに取ってのよすがが借り物であるAAEしかなかったからなのだろう。だからこそ、余計に彼女らはそれを自分の力そのものとして振舞わなければいけなかったのだ。
そんな縋りつくような強迫観念を、蹴っ飛ばすようにぶち壊してAAEによって水増しされた自分ではなく、まっさらの自分を認め、支えてくれたのが九星だったわけです。彼女らにとって自分の弱い部分もまるごと受け止めてくれる、孤独を埋め寂しさを慰め、劣等感を癒してくれる相手として九星は頼られ、寄りかかられ、期待され、甘えられたのでした。
彼は頑張ったと思いますよ。多少浮かれては居たかもしれませんが、調子にのっているという程ではなかったと思います。でも、彼だって所詮は綾瀬川たちと同じ年頃の男の子に過ぎないのです。決して、超人みたいあメンタルを持っているわけじゃない。馬力も熱意もあるけれど、決して人間関係が器用なタイプでもない。皆に不満を持たせないよう均等に気配りしてバランスよく天秤の釣り合いを保てるタイプじゃない。上手くやろうとすればするほど、遠からずあの面倒ささ極まる綾瀬川みたいな女性を暴発させないはずがなかった訳です。
面白いことに、ここで彼が求められていたのって、黙って俺についてこい、みたいなオラオラ系のカリスマだったんですよね。良く考えてみると、個性的で面倒くさい性格はしているもののこのヒロインズって決して自己主張は強くなかったんですよね。何事も自分の思うとおりに行かないと我慢出来ない、自分が上に立たないといけない、自分の考えを優先して欲しい、という集団に置いて自分の意志を認めて欲しいというタイプじゃない。それよりも、自分の価値を認め、与えて欲しいというタイプだったりしたわけです。
みんな、信頼している相手からああしろこうしてくれ、と命令されて反発するような類のキャラじゃなかったんですよね。
九星としては、これはこれで大変だったと思いますよ。なにしろ自分が体を張って戦うわけじゃないですからね。肝心の危ない戦場に立つのはAAEのパイロットたちなわけですから。単に後ろで支えるだけではなく、安全な場所からふんぞり返って彼女たちに危険に飛び込むように指示しなければならないという覚悟。彼女らが九星を信頼して、危地に飛び込んでくれるからこそ背負わなければならない重石。胃と魂が磨り減りそうな重責を、この歳で自分の意志と覚悟で背負って見せたのですから、大したヤツですよ。

もっとも、打ち切り決まってから急に肉食系になりやがって、立場と信頼を利用して大暴れしやがったようですが、この野郎w 幾ら何でもこれは脇腹を刺されるレベルだよっ。

結局残る二体のAAEは未登場のまま。ソフィー先生は正体を明かしてくれたものの、結局その伏線を効果的に利用する前に話が終わっちゃった感もあるし、未消化感が否めない。
せめて三冊くらいはやってから判断して欲しかったなあ。

1巻感想