神さまのいない日曜日V (富士見ファンタジア文庫)

【神さまのいない日曜日 5】 入江君人/茨乃 富士見ファンタジア文庫

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アイはアリスを救えるか!? 世界の終わりを守る少女の物語
「3年4組を救ってくれ」。世界塔を共に脱出した少年、アリスにそう請われたアイ。アリスと共に向かったのは15年前、神さまがいなくなる前に“時が繰り返す”街だった。アイはそこでアリスの真の目的を知り!? 
……うわあ、やっちまった。とうとうやっちまった!! アイ・アスティン、最大最悪の致命的な大失敗である。これまでも何度も大失敗してきたアイだけれど、今回のそれは今までのそれとは質が違う。これまで一切揺るぎなかったアイの「世界を救う」という信念を、自らねじ曲げてしまった失敗なのだから。
他でもないアリス・カラーによってアイは「世界を救う」方法を導き出せたというのに、肝心のアリスの「世界」を救う事が出来なかったなんて、なんて皮肉な話だろう。彼女はここで逡巡する訳にはいかなかったはずなのに。父を埋めた段階で、あの願いによって建っていた塔を壊した段階で、彼女はもう後戻りできなかったはずなのに。アイが求めた通り、彼女の夢の叶え方にそって、アリスは自らの世界を救う方法を決したというのに。
アイは今まで歩いてきた道を、自ら否定してしまったのだ。彼女が世界を救うのではなく、彼女が世界に救われてしまったのだ。
取り返しの付かないことを、しでかしてしまった。
ハッピーエンドのはずなのに、希望がつながった結末だったはずなのに、結果としてアイは自らの夢を閉ざしてしまったのである。理想が、目の前の救いに負けてしまったのだ。
勿論、それを責められる人はだれもいないだろう。彼女にそれを強いるのはあまりにも酷な話だったからだ。アリスもまた彼女を責めなかった。ただ、事実を突きつけただけだ。でも、アリスはそんな酷な現実を、アイなら実行してくれるはずだと、思ったんですよね。だから、彼女に救いを求めたはず。……ひどいヤツだな、こいつ。
そんな酷いけれど、きっと誰よりもアイの夢を認めてくれたアリスの期待に、彼女は応えられなかった訳だ。それを一番良く知るのはアイ本人である。だから責めるのは、アイ本人でしかない。
どうするんだろう、アイは。一度こうして道を外れてしまえば、敢えて振り返らずに居た過去を振り返らずにはいられないだろう。父を埋めたことを、いまさらのように後悔してしまうんじゃないか。彼女は夢を叶えられるのだろうか。それ以上に、世界を救うという夢をこのまま持ち続けることができるのだろうか。

アイを含めて皆が救われた話だったというのに、何故こんなにも残酷な話なんだろう。
これから話がどう展開するのかがまるで予想できない。アイは挫折したまま違う道をゆくのか、それとも脇目もふらず邁進をはじめるのか。とにかく、次回が気になって仕方ない。


さて、それはそれとして、あの新婚夫婦なんとかしろ! ユリーは亭主関白だしっ、スカーは人妻女子高生だし! スカーは前回にも増して登場時の墓守らしいクールさが微塵も残ってないよ。なにこのデッレデレな若奥様は。貞淑妻は。はいはいはいはい、末永くお幸せにーーッ!! 

シリーズ感想