僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)

【僕の妹は漢字が読める】 かじいたかし/皆村春樹 HJ文庫

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『きらりん!おぱんちゅおそらいろ』それは日本文学を代表する作家オオダイラ・ガイの最新作だ。彼の小説に感動した高校生イモセ・ギンは、ツンデレ気味だけど本当は兄思いのクロハ、クールでちょっと毒舌系の幼女ミルというふたりの可愛い妹に助けられオオダイラのもとを訪れる。しかし、そこでギンや妹たちは謎の現象に巻き込まれてしまい――。
これってもうホラー小説の類ですよね? それもここまで来ると、コズミックホラーの領域である。宇宙的な恐怖である。ここで描かれている未来世界を目の当たりにした時の絶望感たるや、それこそ「死にたくなる」という感覚を実体験してしまったほどだ。
そうか、よくサブカルチャーの悪役が「こんな堕落した世界など私が滅ぼしてくれるわーっ!」と宣って世界を滅ぼそうとするパターンがよくあるけど、なんか初めて彼らの気持ちがわかった気がする。
痛いほどわかってしまった。
そうだよね、耐えられないよね。もう見てらんないよね。この絶望感を打ち消すには、もう何もかも滅ぼし尽くしてやらないとどうしようもないんだよね。
もう今後、この手の敵が出てきたとしても、むしろ主人公側よりも共感してしまうんじゃないだろうか、どうしてくれる。
これまで自分にとってのSF的な観点での絶望的な展開って、人類の文明の継承が途絶え、地球人類が居たという痕跡が誰の記憶にも残らないまま宇宙から消え去ってしまう、という所に置かれていたのだけれど(だからか、小川一水【導きの星】や庄司卓【グロリアスドーン】は感動と共に安らぎにも似た安堵を抱いたものだった)、もう事此処まで至ってしまってたら、この未来の日本人は跡形の痕跡もなく消し去りたい。もう抹消してしまいたいッ。消えてなくなれーーー!! うわぁーーーーんっ。

頼むから、これを歌舞伎とか仮名文字とか小説とか同列に並べないで、お願い。これじゃあ文化は常に退化し続けているという事になってしまうじゃないか。それは幾ら何でも、無いと信じたい。それとも、古の昔の文化人は今の時代の文化を見たら、今の自分と同じ絶望感を抱くとでもいうのだろうか。それもまた絶望だ。勘弁してくれ。してください。

よくもまあ、こんな危ない領域に手を突っ込むどころか頭からダイブしやがったものである。嬉々として自分で埋めた地雷に自分で飛び乗ってるようなもんだもんなあ。そりゃあ衆目も集まるはずである。
ただこれを文化論として突き詰めていく様子は全く見られない。見られたら見られたでえらく困る気もするが。
ちなみに、お話としては全く特色らしい特色はなかったのは言わずもがな。一撃離脱を敢行していれば爆弾色物としても多分に評価出来たのだろうが、はてさて続けてしまうとは。