101番目の百物語 4 (MF文庫J)

【101番目の百物語 4】 サイトウケンジ/涼香 MF文庫J

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「兄さんだから……もっと触って欲しいんです」 大切な妹との対決を迫られたモンジの選択は――?
一文字疾風、通称モンジは、ある日突然『百物語の主人公』になってしまった、ちょっと普通じゃない高校生。そんなモンジの前に、妹のように大事にしている従姉妹の理亜が『終わらない千夜一夜』として現れる。兄に戦いをやめさせたい理亜と、そうはいかないモンジ――誰よりも互いを想うがゆえに、ぶつかり合わざるをえない二人。一之江ら大切な物語たちと、同じく大切な妹との戦いを前に、モンジは苦渋の決断を迫られる。「私の物語になりなさい、兄さん」理亜の言葉にモンジの選択は……!? サイトウケンジ×涼香が贈るノンストップ学園アクションラブコメ第四弾!

その殺し文句をサラっと言ってしまえるのか、モンジくんは。あの理亜に告げたモンジくんの口説き文句って、大切な人のためならその人の意志を無視しても自分を犠牲にしてしまえる、というタイプのやたらと行動力がありすぎる献身的なヒロインには、まさに必殺と言っていい殺し文句なんですよね。既に身内となってるヒロインの中では、まだ音央が該当するのかな。いや、音央は感情的な所が強いから最大効果は発しにくいか。むしろ冷静に落ち着いて覚悟決めちゃえるような一途な頑固者の方が、あの台詞は覿面に効くんだ。その意味では、まさに理亜みたいな子にこそクリーンヒット。結局こういう子には、その子の決意や覚悟を上回るものを示して、それを共有させてあげる事が一番なんだよなあ。報いをまるで求めていない献身に身を浸している従順な子にとって献身の重みや価値を認めてくれた上で台無しにしてくれるのは、意外と嬉しいことなのかも知れない。ある種の破滅願望と言えるのだろうが、ロマンスとしてみると何気に甘い果実だったりするんだよな、これ。
一之江だったら鼻で笑いそうだし、キリカあたりだと嬉しそうに聞きながらいざその時になったら平気でそんな約束した覚えなんてありません、という行動に打って出そうなんですけどね。逆に鳴央みたいなタイプだと真っ向から拒否してさらに尽くしてしまいそうだ。

しかし、この殺し文句を言えるだけでも、モンジくんがヌルい流され系のハーレム主人公と違うのは明らかだ。これは、本気で自覚的に相手の人生を丸ごと背負い他の誰にも渡さねえ、と覚悟と決意と気概を持った男じゃないと言えない台詞だもんなあ。
軽々と言っちゃうモンジくんはちと怖いとすら思うのだけれど。まあモンジくんの軽さは風格すらある軽々しさ、むしろ重厚なる軽々しさとでも言えてしまえる主人公特性なので、薄っぺらさとは縁がないのですけどね。
にしてもだ。大切で愛しい従妹である理亜と戦い守る決意を固めるためとはいえ、モンジくん他の女の子たちにラブラブしてもらいすぎじゃね? 一瞬、なんでイチャイチャしているのか理由忘れたよ? ちょっと従妹に苛められたからってへこみすぎ、落ち込みすぎ、しぼみすぎ。いや、しぼむのはいいけど、みんなに寄ってたかって慰められやがって。一之江にはデートしてもらいーの、鳴央には膝枕してもらいーの、キリカには半裸でスキンシップされーの……あれ? こいつ死んだほうがいいんじゃね?

一応、どうやらラスボスらしき存在も示唆され、物語の着地地点も見えてきたのかしら。なるほどなあ、あれもいわゆる都市伝説の一つと言われればそうなのか。都市伝説どころじゃない規模だけど、いやだからこそすべてのロアと主人公たちを巻き込んだ大戦争、なんて過去の大戦話も持ち上がるわけか。
ちょっと【妖魔夜行】のノベルズ第一期のクライマックスを思い出してしまった。

そして、これまで悠々とヘタレを標榜してきたモンジくんが、アイデンティティだったヘタレを解消するためについにこれまで躊躇していた行動に打ってでる。あの台詞を見る限り、最初からモンジくんは彼女がそういう存在だと承知してたってことなのか? やっぱり侮れんな、この主人公。

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