それがるうるの支配魔術    Game2:リメンバランス・パズル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術(イレギュラー) Game2:リメンバランス・パズル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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水那斗るうる率いる我らが欧文研に、奇妙なオブジェが届いた。「私を捜して」というメッセージと"浮き世のオルカ”というヒントが添えられており、どうやら碓氷の初恋に関わるものらしい。碓氷よ、感傷に浸っているところ悪いが、こいつには妙な魔術がかかっているぞ?
「それなら、お兄ちゃんが作ったゲームかも!」
るうる、それは飛躍しすぎだろっ!? 魔術が仕掛けられた初恋パズルが導くのは、失踪中のるうるの兄へか、それとも!?

最初のルールズ・ルールはかなり早い段階で答え解かった!!
まああの挿絵はキャラを抑えてさえいたら違和感感じるだろうし、一度違和感の方向性さえ掴めば、描写をお浚いさえすればきっちり答えにたどり着けるようになっている。
今回の魔術発動による間違い探しは、明らかにおかしい状況が多発している為に、一巻の時のような一体何が間違っているのかを注意深く見極めて、それにたどり着いた時の痛快なカタルシスという意味ではやや乏しくなっているのだけれど、それでも細かい謎解きなど、実に理路整然としていて答えが明かされた時の「あっ、なるほど!!」という納得感が、やはり素晴らしく気持ちがいい。
答えを聞いてみると、確かにそれ以前にヒントとなる情報が描写されているんですよね。それも、よく探さないと見つからない、みたいな隠され方はされておらず、割と堂々と書かれている。ただそう思うのは後になって振り返ってみたからで、その時は普通の情景描写や何気ない会話の中の一言といった物語における自然の流れの中に紛れているのです。でも、完全に迷彩は掛かっていなくて、読み直していると結構「これはヒントですよっ」みたいな自己主張がさらっと為されてたりするんですよね。
その意味では、伏線・ヒントの仕込み方は巧妙でありながら読み手に対して優しい、あるいはサービスに富んでいると言えます。それがまた小気味良いんですわ。純粋に話の作り方、語り方が上手いとも言えるんじゃないでしょうか。
これは、今回の今回の依頼「オルカ・ゲーム」にまつわるものだけではなく、るうるの兄の失踪や、るうるを取り巻く状況といったこの作品の根幹を担う謎についても同様で、今は何を指しているか判断する情報が足りないものの、どうやら伏線・ヒントらしい情報があちらこちらに散りばめられていて、自然とこの物語そのものにグイグイと引き込まれていくのです。
うん、面白いっ!!

短篇集でも予定されているのか、どうやら一巻とこの二巻との間の時間軸に色々と事件やイベントがあったようで、結構人間関係も変わってますね。幼なじみとるうるがやたらと仲良くなっているのもそうですけど、小春さんもあんなに距離感近くなかったよなあ。
それから言乃ですよ、御剣言乃。この子、めちゃくちゃエロいんですけどっ! 別に色気タップリとか艶っぽいというキャラでもないし、性格もむしろ堅くて潔癖っぽい方で下ネタ好きという訳でもない。わざとエロい言動で主人公をからかおうというタイプでもない。
なんだけど……この子、凄い無防備なんですよ。男の視線というものに無頓着すぎる! いや、視線自体に気づいていないというわけでもなさそうなんだが、平気でブラチラしたりいきなり着替えだしたり。見られても気にしない、主人公を男とも思ってない、というのとも違うのだ。下着見られたら普通に怒るし、恥ずかしがる。恥辱心は人並み程度に持ってるようなんですよね。
なのにガードがゆるゆる。そういうのに頓着なさそうなるうるなんかと比べても、無防備にエロい言動を発してるんですよね。普通に「今、生理だから」とか言われたら、さすがに驚くわ! いや、過剰に反応するのもアホらしい話で、別に主人公も多少慌てたくらいで大して気にもしてなかったけれど、平然と男に対してそういう発言するキャラというのはなかなか見たことがなかったので、新鮮というかなんというか。そう言えば、一巻でもタマキに対して無防備な発言してたなあ。
……考えてみるとこの無防備さって、性格というよりも自分の価値を低く見ているから、のような気がしてきた。なんか、一巻で丸のことを真面目に誘っていた時もそう考えると当てはまるんだが、自分を大事にしてない感じなんですよね。とは言え、言乃が自分のどうも何らかの制約を受けているらしい立場について丸に言及したからこそ感じるに至った感想なのですが。
小春さんに仕込まれているネタといい、碓氷が気づいたうっすらとはびこる悪意といい、どうにも思ってた以上に【世界災厄の魔女】るうるにまとわりつくモノは粘っこく気持ちの悪いものらしい。
丸の主人公としての明晰さと頼もしさもさる事ながら、碓氷が主人公の友人キャラ、というパターン的に存在感薄い立ち位置のくせに、この作品ではハード面でもソフト面でもとてつもなく頼りになりそうで、さらに色々なところに仕込みやトラップが設置されている中では、唯一と言っていいくらいしがらみも何もなく友情と恩義でもって全幅の信頼をおける相手となってますからね、ひとりでもこういう味方が身近にいるというのは安心感が違いますわ。
本来頼りになりそうな言乃は、どうやらしばらくは味方や相棒というよりも「ヒロイン」として機能しそうですしね。

何にせよ、背後にうごめく影も動き出し、盛り上がってまいりました。実はマスターが○○なんじゃないの? と正解を見つけた気になっていい気になってたら、速攻でダメだしくらいました。うきゅー。

1巻感想