東京皇帝☆北条恋歌 9 (角川スニーカー文庫)

【東京皇帝☆北条恋歌 9】 竹井10日/要河オルカ 角川スニーカー文庫

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怪蟲との一大決戦から16年後。西園寺一斗と南徳原来珠の娘・璃々珠は、妹の衛梨珠や異母兄弟の愛斗、ゆりえ子らと共に平和な日常を過ごしていた。そんなある日、父・一斗が失踪するという大事件が起きて!?

どうも、東京こうていわ。
って、今回この挨拶誰もしてなかったよ。なんでだよ、裏切られた! せめて一六年後の東京帝国の公式な挨拶として流布されているのかと思ったら、カズちゃんの子供誰も東京こうていわって言ってくれなかった。ひどい話である。
そう、カズちゃんの子供である。いきなりの子だくさんに何事かと面食らう。だって、前巻確か現代から何十年か前にさかのぼった時代が舞台だったのに、新刊はじまったら一六年後ですよ。カズちゃん、何人と子供作ってんだよという話になっていて、そもそも過去とも現代とも話の辻褄が合わないという、かなりややこしい事になっていたのである。
……いや、マジでこれいったいどういう事になっているんだ? 少なくとも現状では過去・現在・未来はシュタゲ風に言うならば違う世界線、パラレルワールドにあるようにも見えるのだけれど、どうも私にはこれ一本線で繋がっているように思えるんですよね。
衛梨珠が帝国暦一年に時間遡行しようとしてトラブルから訪れてしまった現代では、未来では起こっていないはずの事象が幾つも起こっていて、その現代からでは衛梨珠が生まれる未来にはならないはずなんですよね、そのままでは。

ちょっとこれ以降は収納するとして

ただ考えようによっては、現在の現状は衛梨珠が恋歌を伴って帝国暦1年の過去に遡り、そこで皇斗となっていた一斗と再会した事をキッカケに何らかの改変が行われた結果、衛梨珠の生まれた未来になる、という可能性もあるわけだ。衛梨珠が搭乗してきた機体に備わった時間の不可逆性を覆すアンカー機能の存在が明かされたことで、おそらく、それが一番正解に近いと確信しているのだけれど、問題は何がどうなったら衛梨珠の生まれた未来にたどり着くのかなんだよなあ。
それには一斗の行動が問題になってくるわけだけれど、彼がどう動くべきかという正解がまったく見えてこない。今のところわかっている歴史上の情報だけでは、一斗が一人だけだと矛盾が生じて成り立たない。唯一、現状与えられている情報から矛盾なく一斗が重複せず一人で人生をまっとうするには
一斗(現代)→過去に遡行し皇斗となる→恋歌と共に現代に戻る→16年後失踪→再び過去に遡行し皇斗となって花恋と結婚し、初代皇帝として人生をまっとうする。
これだと一本で繋がるのですが、これでも幾つかおかしな点が残るんですよね。
まず恋歌は一斗と血縁関係にないという情報。そして、一斗が皇斗としてではなく一斗として将来東京皇帝に即位する、という話。
この二つの確定とされている情報は、上で推論としてあげた一斗の辿る人生では説明がつかない。そもそもこれだと、如何にして現状の現代が衛梨珠の生まれた未来に改変されたか、についてがすっ飛ばされてる。
それに、この人生の流れだと、16年後の来珠たちは愛する夫を失って不幸になるというアンハッピーエンド確定になってしまうわけで、それはあんまりといえばあんまりなんですよね。まあ、子供たちは逞しく、父親が失踪しても哀しくは思ってもちゃんと生きて行きそうだから問題ないといえば問題ないんだろうが。
いずれにしても、まだ幾つか大どんでん返しが残ってるんだろうな……なんだか楽しみになってきた。一斗がちゃんと主人公していると、ホントに普通にサクサクと話が進みますよね。

とりあえず16年後のカズちゃんに感心したのは、あの妹から操を未だに守りきってたところだ。さすがに夕鶴にまで手を出してたら、完全に流されきった流される達人みたいな扱いになってたところだが、最後の一線は譲らなかったんだな、えらいえらい。なぜか愛藤四菜とまで結ばれてたのには吹いたけど。フミさんまではまだわかるけど、なぜ四菜w しかも、わりと一人だけ恋人としての扱いがぞんざいだw


竹井10日作品感想