ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール (ファミ通文庫)

【ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール】 田口仙年堂/日日日/庵田定夏/嬉野秋彦/榊一郎/本多誠/櫂末高彰/野村美月/綾里けいし/庄司卓/前書き/羽根川牧人/竹岡葉月/築地俊彦/はせがわみやび/新木伸/佐々原史緒/田尾典丈/井上堅二  白味噌、をん、千葉サドル、すばち、しらび、kyo、零花 ファミ通文庫

Amazon

ファミ通文庫が贈る珠玉のボーイ・ミーツ・ガール!

"青春"の数だけ"出会い"がある——。"3分間"をキーワードに独自の世界観で描かれる珠玉のボーイ・ミーツ・ガール。人気作家・井上堅二の贈る、幼馴染みとの窓越しの恋模様『三分間のボーイ・ミーツ・ガール』、野村美月が描く、猫嫌いの女の子への一目惚れの顛末『こっちにおいで、子猫ちゃん。』、新鋭・庵田定夏の紡ぐ『ガチで人生が決まる面接に行ってくる』など、書き下ろし8篇を含めた全19篇! 切なく甘くほろ苦いショートストーリー集。

参加者の名前見て吹きましたよ。これって比喩抜きでファミ通文庫のオールスターキャストじゃないですか。今ファミ通文庫の一線で書いている作家を根こそぎ連れてきたという感じで、よくぞまあこれだけ揃えたもんだわ。


【3min.30cm】 田口仙年堂 ★★★
ちょっとこれは小っ恥ずかしすぎるでしょう。もう青春が青々としすぎてて直視できなかった。恥ずかしい恥ずかしい。


【詰め込み教育の弊害と教室の片隅に彼女】 日日日 ★☆
テスト勉強のしすぎで記憶喪失って、どれだけ記憶容量少ないんだ、この男の子は。学校の試験でそれだと、受験勉強し出したら人間として成り立たなくなるぞ。皮肉な話だが、タイトルと同じくショートにしては詰め込みすぎだったような気がする。


【ガチで人生が決まる面接に行ってくる】 庵田定夏 ★★★☆
すげえな。完璧なボーイ・ミーツ・ガールじゃないか。面接を前にしてガチガチに緊張してテンパった者同士、お互いに自分でも意味不明すぎるやり取りを繰り広げる内に、打ち解けていくと同時に緊張がほぐれ、目の前の面接ではなくなぜその高校に自分が生きたいかを再認識した上で、もう一度ここで出会った相手に会いたい、同じ高校に通いたいという新しい動機を手に入れる。なんかもう素晴らしく芳醇なボーイ・ミーツ・ガールだわ。


【ねこなぶり】 嬉野秋彦 ★★★★
なんかもう、やたらとツボにはまってしまった。当然のように猫を胸元に突っ込んでバイトにいくこの少年は何者なんだ!? 私なら、街中でパーカーの胸元に猫突っ込んで歩いている奴見かけたら、ガン見するぞ。
青春というには薹が立った話なんだが、こういうおやおやと苦笑を浮かべてしまうような締りのない縁の出来方って好きなんですよね。妙にツボにハマってしまった。


【三分間の神様】 榊一郎 ★★★
たった三分で伝えられる情報って、しかも口述。それでシヴィライゼーションって、どれだけ月日掛かったんだろう。あ、一年って書いてあるな。無意味に思えていた学校の勉強に意義を見いだせるようになったというのは良いことだろうけれど、むしろこの場合学校で教えてくれる勉強の物足りなさをこそ痛感しそうだよなあ。
ハッピーエンドで終わってよかったけれど、ここをスタートと考えるとこの二人、この先けっこう大変そうだな。

【七年前のマリッジブルー】 本田誠 ★★★☆
これをショートストーリーで描ききるかー! しかも、これだけブン回しながら、全然ギューギュー詰めではなくむしろスッキリしていて、複雑に見えてかなりわかりやすく筋道立ててるのがまた凄い。


【お湯を注いで】 櫂末高彰 ★★★
カップラーメンばかり食べちゃダメ、と言われながらこれ相当食ってるよな。というか毎日食ってるよな!

【こっちにおいで、子猫ちゃん】 野村美月 ★★☆
アウト! いや、アウトだろこれ。普通、女の子涙目だぞ。普通の反応なら悲鳴上げて逃げられるぞ! 怖いよ、女の子からしたら。

【ネオンテトラのジレンマ】 綾里けいし ★★★★
さすがは【B.A.D.】の綾里けいし先生である。ショートストーリーでも一切ブレないその作風。なにこのサイコホラーなのに見事にボーイ・ミーツ・ガールしてる話。これ、レンジで温められてるシチューが異様に美味しそうに思えてしまったことに危機感を感じるっ!

【5400万キロメートル彼方のツグミ】 庄司卓 ★★★★★
くそぅ、やられた。ガチで泣かされてしまった。さすがはSFの古豪。王道にしてツボたる部分を完璧に掌握している。「はやぶさ」のエピソードまで交えて、宇宙と機械への日本人らしい感傷を語られては、両手を挙げざるをえない。

【先輩にリモコンを向けてみた】 前書き ★★★★
お見事! 「三分間のボーイ・ミーツ・ガール」コンテストの大賞受賞作だけあって畳み掛けるようなラストに向けての展開は掛け合いのテンポの良さも相まって、盛り上がること盛り上がること。クライマックスはつられてこちらまでテンション上がりまくってしまった。あのアンケートは卑怯だよなあw

【トキとロボット】 羽根川牧人 ★★★
これも王道と言えば王道だよなあ。人と同じ心を持ち、人を愛してしまったロボットは非合理的な考えに囚われる。それは人と何が違うのか。ちゃんと報われるのが嬉しい話。

【ロイヤルコーポあさひの真実】 竹岡葉月 ★★★★☆
これは完全に虚を突かれた。真相にたどり着いた瞬間、どっひゃーーとひっくり返った。いやいやいやいや、育ちすぎだろう(笑
どうしたらいいんだろう、これ。嬉しいのはわかるが、二の足を踏むのもよくわかる。むしろ中学生高校生よりも、二十歳過ぎた大人の方が冷静かつ上手くやれるかもしれないけれど、でも慎重にやらないと本気で捕まりそうだしなあ。でも、ここまで好かレりゃ、覚悟決めニャアなるめえさ。こっちからしても好みドストライクなんだから。

【QとK】 築地俊彦 ★☆
何が三分間なのか、最初読んだ時は不明ながら理解を逸してしまった。そもそも、彼の策略がなくても、三分立っちゃってるんだから失敗じゃないのか、これ。

【3分間のABCD】 はせがわみやび ★★
ちょっ、その説明何も立証してないんじゃないのか!? いや、その前に警備員が主人公捕まえた理由もかなり乱暴な気がするんだが。犯人扱いするにはいくら何でも証拠がいい加減すぎるぞ。

【杉本遥は男前っ!】 新木伸 ★★★
いや、完全にプロローグなんだが。ここから新シリーズがはじまるのか!?


【call】 佐々原史緒 ★★★☆
【3min.30cm】と並んで、本巻におけるド直球キラキラ青春モノだよなあ、これ。青春真っ盛りというか、勇気と逡巡を持てあます、年頃の男の子の男心をこれでもかと転がしまくられては、もうキューッとならざるをえない。きゅーっ、である。キューーッ!

【彼女に関する傾向と対策】 田尾典丈 ★★★
これはヒ・ド・イ(笑 カノジョの告白に対する反応が完全に反則だよ、あれ!
そこでドン引きせずにむしろ真っ正直に心の内っかわを全部ぶつけてしまう少年の勢いにはほれぼれしてしまった。若さとは勢いだよなあ。


【三分間のボーイ・ミーツ・ガール】 井上堅二 ★★
えっ……なにこれ? いや、自分的にはそのオチはかなり興冷めだったんだが。


期待していた以上に良作が揃っていて、大変楽しめました。これくらい面白いなら、またタマにやってほしいな。