輪環の魔導師〈9〉神界の門 (電撃文庫)

【輪環の魔導師 9.神界の門】 渡瀬草一郎/碧 風羽 電撃文庫

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神界より訪れる異形の神々──
苦境に立たされるセロ達の運命は!?


「全員、“神々”の来訪に備えなさい!」

 シャンヤルル僧院での混乱を経て、遂に開いた“神界の門”。その向こう側から訪れた異形の神の眷属によって、セロ達は窮地に陥る。
 魔族の主ウィスカは、部下達と共にその侵攻を食い止めるが、常軌を逸した敵の前に劣勢を強いられ──
 神話の時代から続く神々の遺恨。
 その神々の力に魅入られた者達。
 次々と変転していく状況の中で、セロ達が直面する新たな事実とは?
 シリーズクライマックスの第9巻!
思いっきり「迷宮神群」だこれ!!
まあそれ以前から既に【パラサイトムーン】に登場した迷宮神群と、この輪環の魔導師にて記された神々には共通する名前や神話が散見されていたので今更といえば今更なのだけれど、まさか本体と眷属まで出てくることになるとは。驚いたよっ! マジで驚いたよ! セロがまさかのアラクネの眷属扱いされるとは。アラクネってあれですよね。甲院薫の異能の元。
そう言えば、今回のストラーダの過去回想に出てた天元の職人マリアンヌって、パラサイトムーンにも名前出てたんだった。ああ、以前の巻にもマリアンヌて出てきてたんだよなあ。露草弓が閉じ込められた「マリアンヌの虫籠」って、もろに彼女の作品だもんね……あれ? ということは、時系列的に言うと次元の「巡礼者」たる迷宮神群が神界の門を渡っていった次の世界、とは言わなくても少なくとも「パラサイトムーン」の世界は「輪環の魔導師」の世界よりも後になるんだろうか。
大罪戦争の黒幕とも呼ばれる大魔導師エスハールが、魔人ファンダールとの邂逅シーンでかなり近い身形容姿だったことからもあの星詠みのエスハである可能性が高まったことからも、一応時系列上はコチラが過去、になるのかな。果たして世界を渡る迷宮神群に時間という概念がどれほど当てはまるかわからないが。

かつての大罪戦争の裏側に、英雄たちとエスハールの開けた神界の門によって「戻って」きた神々との戦いがあったのなら、再び神界の門が開き、或いは別口から迷宮神群の本体が現出しようとしている今、大罪戦争再び、という事になってきてるんだろうか。どうやら聖神イスカの動向が核となってくるようだけれど。すべての事情を把握していそうなのは、それこそ大罪戦争の頃から生きてそうな魔族の主人ウィスカだけか……。
今回、何故か魔族にだけ神群ボアアルバの力が通じなかったんですよね……。魔族には魔道具を使えないという特徴もある。魔道具はアラクネの力を使ってその加護を帯びて生み出されたもの。ウィスカが大罪戦争の頃から姿も変わっていない。そして彼女によって魔族という存在が生み出されている。これって、封印の鬼神・シャパニアの異能や特性とかなり共通性があるような。もしかして、ウィスカがシャパニアの宿主なのか? 「神群の渡し」についてだけは全く触れられてないのが気になるところだけれど。

豊穣の神ボアアルバの顕現による大混乱。さらに、これまでずっと行方不明だった魔人ファンダールを思わぬ場所で助けだす事で、事態は大きく動き出すことに。まだまだ竜人やウィスカなど思惑がわからない人が多数いて、状況が整理出来ていないのだけれど……すべてのキーワードはやはりセロとフィノたちの両親が死んだあの事件、という事になるんだろうな。あそこで何が起こったのかさえわかれば、多くの謎が紐解けるはず。そうなると、あのフィノの暴発しかかってきた狂気こそが物語の重要な鍵の封印を解くさらなる鍵、になるのかもしかして。あれってただのネタじゃなかったんだなw
もうアルカインが完全にトラウマになってますよ?(笑
ウィスカの雰囲気がフィノのアレに似ている、という話を聞いて途端にフィノと同じって勝てる気しないよぅ、と戦意を失って逃げ腰になるアルカインに吹いた。ちょっとアルカイン、キャラ変わってる変わってる。どれだけフィノの事怖いんだよ。
そのアルカインが黒猫の姿になった真相も明らかになったわけだけれど……あれれ!? 今まで魔族の呪いと言われてて、アルカイン本人もそう信じ込んでいたんだが……おいおいおい。ファンダールさん!? あんた、やっちゃった? 自分の大ぽかを悟った魔人ファンダールの焦りっぷりに、状況が緊迫しているにも関わらず大笑いしてしまった。いや、あの場面では仕方ないんだろうけどさ、この真相は滑稽極まりないw
しかし、アルカイン大軍団には思いっきり和んでしまった。あれは反則だろう。暗黒神トライハルト、なかなかイイ趣味をしておる。

渡瀬草一郎作品感想