戦国妖狐(7) (ブレイドコミックス)

【戦国妖狐 7】 水上悟志 ブレイドコミックス

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千本妖狐と化した迅火をめぐり、大きく歴史は動く。その中核に"千魔混沌の魔神の卵”千夜がいた…!
第二部はまさかの千夜主人公。しかも、あれほど人間であることを疎い、闇になりたがっていた迅火とは裏腹に、記憶を失い真介に拾われた千夜は、村で出会った少女・月湖や闇や異形に偏見を持たない優しい村人たちとの交流、そして村を襲った悲劇とその原因となった自分の力に苦悩した末、こう思うに至るのだ。

「俺は戦わない、俺は人間になる」

戦うから戦いになる。強いってことは怖いことなんだ。
はたして時代は戦乱の世。戦に乱れ、人と闇が交わるこの世は容易に人の安息を奪っていく暴虐の時代だ。強い力は千夜の言うとおり悲劇を呼ぶのだろう。だが、弱いまま戦えないのでは月湖が拘るように守りたいものを何も守れない。どちらの考えもまた正解であり間違いなのだろう。お互いに、痛切なる後悔を胸に刻み抱くに至った結論だ。簡単に譲れるものではないはず。その相入れぬ真理を擦り合わせていくことが、この小さな男の子と女の子のこれから共に歩んでいく道なのだ。
幸いなことに、あれほどの悲劇がありながら、月湖は千夜を恨んでいない。むしろ自らの無力を憎み、戦うことを避け始めた千夜を責めるでもなく、私が千夜を守るとまで言ってのける。イイ女だ。実にいい女である。荒んだ心も和らげ癒すかのような淡く柔らかい笑みも、毅然とした凛々しい表情もすべてが美しい。まだ幼いとすら言っていい子供にも関わらず、今の段階で既に将来絶世の美女となるような雰囲気がにじみ出ている。容姿もさる事ながら、その内面が、だ。優しく穏やかで健気なその性格は儚げですらあるのに、むしろその心根は気丈で頑固者で雄々しくすらある。
とびっきりイイ女が山のように登場するのが、水上悟志作品の素晴らしいところであるが、これ、彼女、月湖って歴代のヒロインの中でも頭ひとつ抜けてるんじゃないのか!?
そう言いたくなるくらいに、もう滅茶苦茶イイ女なのである。幼女なのに。

しかし、千夜と月湖という子供組二人が生真面目に真っ直ぐに悩み苦しみそれでもそれぞれなりに前に進もうと頑ななまでに頑張っているのに、それを引率する真介のへっぽこっぷりたるや。
そんなに酒ばっかり飲んで……。
ただ、迅火とたまにくっついて回っていた頃に比べると、余裕はあるんですよね。研ぎ澄まされ切羽詰まりギリギリにまで削り取られていた先ごろまでと比べると、ヤサグレうらぶれ迷いため息をつきながらも、へっぽこ並に子供たちの保護者として結構ちゃんとやっている。少なくとも、迅火やたまと比べるとちゃんと面倒見てますよ。まあ、真介は面倒みて貰えるほど子供じゃなかったですけどね。荒吹もそれなりに扱えてて、そこらの人間や闇くらいだと簡単にあしらえるようになってるし。
まあ、才能無さそうなのは相変わらずだが。才能で言うと、月湖の方が既に才溢れてるってかんじなんだよなあ。戦いのセンスが段違い。ちょっと教えたら即座に抜かれそうだ。

なんかもうね、千夜と月湖がお似合いもお似合いすぎるので、この二人には離れ離れにならずに一緒に大きくなっていってほしいところである。つまり、あのまま別れ別れというのはありえないのですよっ。
戦わない、強さに縛られない、人間になるのだと誓った千夜が、どうやって月湖を助け守るのか。彼の決意の真価が問われる次回が待ち遠しくて仕方ない。
うははは、第二部、予想以上に面白い!!