フルメタル・パニック!  マジで危ない九死に一生?

【フルメタル・パニック! マジで危ない九死に一生?】 賀東招二/四季童子 富士見ファンタジア文庫

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書き下ろしと10年のドラマガ300号企画であるボン太くんネタの一作を除くと、残る短編は2003年末から2004年初頭に書かれているという……もう7、8年前だぞ!? よくぞまあ……今までほったらかしにしていたものである(苦笑
しかし、本編との作中時間との兼ね合いなどもろもろあってギブアップした短編ですけど、これで例えば【魔術士オーフェン】みたいに短篇集は短篇集できっちり区切りつけた作品と比べても、こちらは特に最終回という話もなく突然ぶった切ってるんですねえ。【ご近所のサーペイヤー】なんてとても最終回って話じゃないですし。

【与太者のルール】
何気にこの話、宗介の我侭というか、大事にするが故にかなめに自分の感情を押し付ける、というところがあって「好き」なんですよね。押し付けるとは言っても押し付けがましいような鬱陶しさはなく、むしろささやかな話なんですが、宗介みたいな人間がそういう事するっていうのがそもそも珍しい、というか殆どありえない事なんですよね。それも「君にはそういう立ち位置に立ってほしくない」というよりも「君がそういう立ち位置に立つのがヤダ」という感じの、倫理よりもごく個人的な感情の側面によったものが感じられて、それをかなめにだけ求める、というところがまた宗介の可愛らしさというか健気さみたいなものが感じられて、なかなか萌える話だったんじゃないでしょうか。
これ、宗介の感情をかなめが察した後の、以心伝心な雰囲気がまた良いんですよね。ちょっと独占欲入ったような大事に護ろうとする意図を、ストンと受け入れるって、すごく愛情が通い合ってるって感じしません?
なんかこの話のラストはキュンと来てしまいました、うん。

んで注目は書き下ろしですよ、書き下ろし。
【テッサの墓参り】
誰の墓参りかと思ったら、兄貴じゃなくて作中時間ではだいぶ前に自殺していたテッサの初恋の人であり、アルの生みの親であるバニの墓参り。時系列的には本編終了後。アフターは最新作を除けばこれだけなんじゃないかな。
これ、「アナザー」を読んだ後だと「!?」となるネタ、けっこうな勢いで仕込んであるんですね。あっちを読んだ後、確認のためにちょこちょこ読み直してしまいました。
しかし、マオ姉さんが妊娠していなさったとは。いつできたのか計算すると、クルツがMIAになる前か、戻ってきた後か微妙なところにしてあるんだな。もし子供は出来てたけれどクルツが死んでたとしたら……マオ姐さんも性格ちょっと儚げになって、子供も性格変わってたのかもしれないなあ、なんて妄想してみたり。おいクルツ、お前責任とレよな(w
テッサは作戦以降、もう宗介とは直接会っていないそうで。そりゃそうだよなあ。振られた相手とこれからも仲良く友達でいましょうね、なんて普通はなかなか出来ないですよ。しかも、あれから三ヶ月って一番二人が盛り上がってる時期でしょうし。近づかないのが無難です。
テッサのメンタルってその辺、非常に女性的でこういう冒険活劇のメインヒロインとしてはやっぱり辛いんですが、一人のキャラクターとしてはやっぱり好きなんだよなあ。そもそも、宗介とは合いませんよ、テッサは。その点、今回登場した相方候補の男の子はフィット感がありますよ。テッサはこういう生意気で愛嬌のある年下の子相手にお姉さん風吹かせた方が絶対映えますって。テッサって周りが年上ばかりで、さらに敬われる立場もあってなかなか表面化しませんでしたけど、かなり小悪魔属性なところありますしねえ。結構弄るの好きなタイプだと思うんだよなあ。それも、宗介みたいに反応が固まってしまうタイプよりも、ムキになって突っかかってくるタイプに活き活きする子なんじゃないかなあ。まあなんにせよ、私生活の方もマオのファミリーと一緒に過ごすことによって寂しい想いをすることもなさそうですし、将来どうなっているかは非常に興味深いところではありますが、一先ずは安心しました。一番割食ったのがテッサでしたしねえ。
これでフルメタも終わりと思うと寂しい気になるかとも思いましたが、別作者ではじまった【アナザー】が思ってたよりも遥かにデキが良くて、ちゃんとフルメタの世界を引き継いでいるので、全然終わった気しないや。これは嬉しい悲鳴。さらにサイドアームズで書く事ももしかしてあるかも、とのことなのでそちらも素直に期待しておきたいと思います。ともあれ、一先ずは長きに渡ったシリーズ完結、お疲れ様でした。
おおっ、賀東さんの新シリーズもちゃんとあるんだ! これは楽しみ。

賀東招二作品感想