放課後のアディリシア 百億の魔女語り外伝 (ファミ通文庫)

【放課後のアディリシア 百億の魔女語り外伝】 竹岡美穂/中山みゆき ファミ通文庫

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なぞかわいいアディの物語。百魔女外伝ついに登場!

カイゼル魔術学院【アカデミカ】を卒業すれば甲種魔術師になれて将来安泰! ……のはずだったのに、どこにでもいそうな平凡顔と、操りきれない強力な実践魔術のせいでとほほな毎日を送るジノ・ラティシュ。そんな彼は、見た目はちんまりした美少女なのに、中身は変態的に乙種魔術オタクな『乙研』部長、アディリシア・グスタフと出会う。そして、珍妙だけど穏やかな彼女との日々が、彼を日常から遠ざけることに……。アルトの妹アディの過去を描く『百魔女』外伝登場!
アディについては、本編で復活した後の言動から、それまでアルトが語っていた肖像と違って随分と食えない食わせ者、というのはわかっていたけれど、彼女の協力者であるネイバーことジノくんについてはちょっとした驚きだった。この子、思いっきり普通の男の子じゃないか。
本編で登場した時はえらくタフでクールな腕利きに見えたんだけれど、その実体はというと気弱なくらいの平凡で害のない、同じ部活の可愛い部長が気になる何処にでもいる年頃の男の子。
そんな彼が、マフィア絡みのショバの用心棒にまでなり、そんじょそこらのチンピラなど相手にならないくらいの強面にならざるを得ないくらいの窮地に追い込まれてたんだな。それほど、アディが追い込まれていた状況というのは切羽詰まっていたのか。
此処で描かれるのは、まだアディとジノが普通の学生として日々を謳歌していた頃の平和な時期のお話。
これは気のせいじゃないと思うんだが……アディリシアってジノくんのこと滅茶苦茶好きだよね? ジノ視点で描かれているので、アディはミルトン先生に夢中でジノ君のことなんてまるで異性として相手にしていない、体の良い小間使い扱いしているみたいに見えるのだけれど……これ、客観的に見るとアディはジノ君に物凄いアプローチしまくってるようにしか見えないんだが。最初のお話で、ジノがアディに恋してしまった、と思しきあのシーン。実はアディの方もあの時には完全にジノくんに転んでたんじゃないのかな。
三分間の狼少女なんて、特にアレでしょう。あの時のアディってどこまで正気を失ってたんだか、怪しいんですよね。兄貴が帰ってきた途端我に返るとか、都合良すぎでしょう。最初から、薬の効果なんかなかったか、殆ど触りしか効いていなかったと思ったほうが楽しすぎる。あのシーンなんか、恋人とイチャイチャしてたらいきなり家族が帰ってきたシチュエーションそのものだし。だいたい、なぜジノくんを隠す必要がある(笑 同じ部活のクラスメイトです、って紹介すればいいだけじゃない。少なくとも、アディが本当にそう思っているなら、あのシーンで慌てる必要はなんにもないんですよね。
そしてタイトルの狼少女。古来よりオオカミ少年とは嘘つきという意味を内包しているわけで……。
まあ此処でのアディの真相は不明かもしれませんけれど、次の話での嫉妬しまくるアディの様子や、意味合いによっては告白としか思えないジノの言葉に、心臓が止まりかねないほど動転した姿を見てればねえ、アディがジノ君の事をどう思ってるかはまるわかりでしょう。
デレまくりですよ!

でも、この娘の気合入りまくったところは、そんな惚れた相手を面倒に巻き込むことを厭わない所なのでしょう。いや、惚れた相手だからこそ一緒に居て欲しかったのでしょう。傍に居て欲しかったのでしょう。その意味では彼女はとても甘えん坊なのかもしれない。業の深い娘さんである。でも、男としたらそこまで頼られたら、頑張るしかないですよ。たとえ人生踏み外したって手放したくないものとめぐり合ってしまうって、不幸だけれど幸せだよね。
ジノ君はそんな自分の境遇や選択に自嘲はしていても、一切後悔はしていないご様子ですし、男冥利に尽きるんじゃないでしょうか。
次は再び本編に戻るようだけれど、これはまずネイバーことジノ君を応援してしまいそうだ。

1巻感想