モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 た 1-1)

【モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)】 谷春慶/奈月ここ このライトノベルがすごい!文庫

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ネコをも口説くビョーキ男のラブ&バトル?

砕月、初体験は?「3P希望!」将来の夢は?「もちろん、アットホームなハーレム!」
……お願いだから死んでくれない?「君のためなら死ねるよ」――揺りかごから墓場まで種族の壁さえ乗り越えて、オートマティックに女を口説きまくるビョーキ持ち・望月砕月。 静かに生きていきたい本心とは裏腹に、アンコントロールなビョーキのせいでモテモテすぎて日常が修羅場!その上、謎の美少女・タマまで口説き、世界を救うバグ退治に巻き込まれてしまう! ――呼吸するように口説き、口説きながら戦う男・砕月の明日はどっちだ!こんな奴に世界は救えるのか!! 第2回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作登場!
これはヒ・ド・イ!!(笑
いや、結構マジで酷いんだが。僕は自動的なんだよ、とうそぶく不気味な泡ほどは独立自律したものではないものの、本心と裏腹に女の子の粉をかけまくる主人公の別人格(?)が本当に酷い。笑い話で済めばいいのだろうけれど、これ実際に本当に泣かされた女の子が山ほどいるという時点で有罪確定である。実際訴えられたら洒落にならないような気がするぞ。じゃあそんな自分に心底絶望しているという主人公の中の人がまともなのかというと……常識人ではあっても、ただそれだけだよなあ。決して褒められた男じゃないのである。結局自分を変えようという努力もせず、愚痴り嘆きため息をついているだけで流されるまま。悪いのはビョーキだと一切の責任を押し付けて、優柔不断に何の決断も下さずにフラフラしているに過ぎない。外がアレで中がこの有様じゃあ、そりゃあ歩く有害指定になるのも無理は無い。
その一方で、彼に口説かれる女の子の方もまあかなり酷い。当たり障りのよい言葉に簡単にぐらつく、流されやすいだけの女性たちである。カノジョたちが欲しているのは結局、自分を慰め労りあやしてくれる都合の良い心地良い存在であって、どうにも本当に愛情があるようには見えないんですよね。
主人公の側も外側は当然としても、中の人も自分に優しくしてくれる人に靡いているだけで、彼が口にする好きという言葉には甘えばかりで重みがない。これは、彼の生い立ちが大きく作用しているだろうから、避けられない仕方のない在り方なのかもしれないが、せめて彼が真実の愛に出会うか求めるような予兆でもないと、これ相当に救いのないうつろな物語になりそうで、戦々恐々でございますよ。
結局、この作品の中で真実の愛情を示したのは、愛に目覚め、余分なものが混じる前に永遠の愛に殉じてしまったハピ子だけだったんじゃないだろうか。ブリュンヒルデも、吊り橋効果やより碌でも無い救いようのない男との対比、という環境があったとは言え、愛に目覚め、愛に生き、愛に殉じたという意味では、他のメイン連中の自分が一番好きで大事、という見苦しいエセ愛に比べれば、綺麗だったよ、うん。
良い愛人は死んだ愛人だけだ、とでも言わせたいのかしらんw

とは言え、ここまでみんなが突き抜けて敢然と酷いと、逆に面白くなってくる。いっそこのまま、皆に祝福されるハーレムではなく、後ろ指さされ白眼視されるようなどうしようもないハーレムを作ってしまえばええねん。破綻の仕方が実にサイケデリックなものになりそうで、ほの暗いワクワク感が湧き出てくるよ?