ガンパレード・マーチ2K 5121暗殺 (電撃ゲーム文庫)

【ガンパレード・マーチ2K 5121暗殺】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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 北海道独立戦から一カ月。消耗した心と体を癒すべく、芝村舞と速水厚志は九州のとある島で長期の休暇を楽しんでいた。森精華は壬生屋未央の実家で心身ともにリフレッシュし、原素子はお付きの新井木勇美を従えてショッピング三昧の日々。また整備班の面々は、整備学校を再開させていた。5121小隊の発足以来、初めて与えられた長い余暇の時間。
 しかし、水面下では密かに5121小隊の抹殺計画が進行していた。それは野心溢れる政治家が、某超大国と国内財閥という二つの後ろ盾を得て発動した、極秘作戦だった。各地に散らばった5121の隊員たちに、暗殺者が忍び寄る――
相変わらず憲兵隊が頼もしすぎるシリーズだな、このガンパレードは。戦争の季節が通り過ぎた後に訪れるのは内乱の季節。露骨に戦争継続を狙う樺島財閥を特地と化した北海道ごと処理し解決出来たのは良いものの、芋づる式に這いでてきたのは古くから日本を裏から支配する富士グループと地球上に残された人類唯一の大国アメリカ合衆国。両者にとって目障りな存在となった5121小隊は次々と彼らの送り込んでくる暗殺者に狙われるハメになるのだが……。両者とも狡猾なのは、直接手を下すのではなく良いように使えるトカゲの尻尾を介して5121小隊排除に動くところでしょうか。トカゲの尻尾である文部大臣の小物っぷりがちょっとしたコントみたいになってしまっていて、フィクサー気取りの痛々しさと相まって苦笑が浮かんで来てしまった。とは言え、彼女もただの阿呆というわけではなく、マスコミのえぐい使い方や世論誘導、自分の理想を実現するためには手段を問わない躊躇わない黒さは相当に嫌らしいもので、これが政治力など持たず謀略や情報工作に適正を持たず、組織力学に何の見識もない真っ当な軍人、あるいは正義の味方だったら、良いように振り回されてしまったかもしれませんが、何だかんだと5121小隊の面々は酸いも甘いも噛み分ける裏にも表にも通じた連中ばかりですからね。世界の裏側にどっぷり浸かった人も多いし、今までの経験で真っ当な子たちも黒く汚い意思への対処法は覚えているわけです。
なにより大きいのは、後ろ盾になっている大原首相が辣腕も辣腕の政治家である所なんでしょうなあ。芝村と大原首相がバックについて、情報と治安維持を担う憲兵隊と軍の半分、そして遠坂財閥と何より良心的なマスコミが全面的な味方についてくれている、というのはやっぱり大きいですよ。幾ら5121小隊が出来物ぞろいとはいえ、巨大な組織の圧力に小さな個々が立ち向かうには色々と限界がありますからねえ。
しかし、アメリカの状況は今まで情報出てなかったのだけれど、結構ややこしいことになってたんだな。南北分裂、とは行かなくても、シアトル政府なる別のアメリカが存在しているとは。人口規模が数百万ということで、決してワシントンと対等とは言えない大きさですけれど、それでも別の交渉口があるというのはかなり大きいはず。
富士財閥の方も、ついに本丸である「ラボ」の黒幕が出てきたかー、と感慨深い。ガンパレードマーチ世界の日本において、一番根深い病根ともいうべき巣こそが「ラボ」ですからねえ。これを放置したまま済ますのだろうか、と疑問に思っていた部分もあるので、ついについに、という心地である。まだ、その全体像どころか一端すらも掴めていないような状態ではありますが。それに、憲兵総監の秋本さんや副島さんがあれほど追いつめられる事態が起こる以上、楽観できるところは全然ないのですが、それでも今まで影も形も見えなかったのに比べれば、直接手を出してきた分、お返しも必ず出来るはず。
憲兵隊というとどうしても暗いイメージが強いけれど、この世界の憲兵隊はある意味警察よりも健全で真っ当で有能なので、これが味方というのはホントに頼もしいんですよ。

ラストには卓袱台をひっくり返すような展開が訪れて……これ、もしかして5121小隊の海外派兵フラグですか!?

シリーズ感想