僕は友達が少ない7 (MF文庫 J ひ 2-25)

【僕は友達が少ない 7】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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『なんだって?』じゃねえよ、ばーか……。
羽瀬川小鳩の誕生日パーティーも無事に(?)終わり、ふたたび学園祭に備えての活動を開始する隣人部のメンバーたち。紆余曲折の末、文化祭の出し物の内容は映画作りに決定し、脚本は夜空が担当することに。だが、やたらと小鷹との過去の関係を強調する夜空と他の女子部員たちとの間に不穏な空気が流れ始める。そんなおり、小鷹と星奈との間にも実は『特別な関係』があったことが発覚し、さらには隣人部のジョーカー、志熊理科までもが動き出す。大人気残念系ラブコメディ第7弾、リア充たちの祭典を前にして物語はついに佳境を迎える……かも。

うはぁ……ちと忘れてたなあ。【ラノベ部】で平坂読という人の近しい仲故の距離感の取り方のあれこれの凶悪な描き方は散々思い知っていたはずなんだが、もう【はがない】で二年近く慣らされたせいでここまで直裁的な一撃だと不意打ち同然にまともに食らってしまった。
今回は何より、『なんだって?』じゃねえよ、ばーか……。の一言に尽きる。そうかー、そういうことだったのか。どうも視点がヒロインたちの方にばかり行ってしまっていて、肝心の小鷹の方はノーチェックだった。
この野郎、さすがは夜空の親友だよな。完全に夜空と同レベルの同類じゃないか。前回の6巻の感想で夜空のヘタレ具合を散々扱き下ろしたものですが、その言葉まるまる小鷹にも当てはまるぞこれ。
夜空も小鷹も二人して……ある意味この二人お似合いなのかもしれないし、この同類同士がくっついてしまうともうどうしようもない事になってしまいそうな不安感が湧いてくるよ。とはいえ、夜空も小鷹も意図的に進展しないように真剣に目も耳も塞いでうずくまっている状態なので、この二人がくっつくのは難しいを通り越して不可能なんじゃないのかとも思われるが……前回でも指摘した夜空の虚栄、自分だけが小鷹と特別な関係なんだという幼馴染の親友という過去の拠り所が、今回肉と小鷹の婚約者関係が暴露された事によって完璧に吹っ飛んじゃったんですよね。親同士が親友同士で、星奈と小鷹も小さい頃によく会っていたらしく、さらに冗談とは言え父親同士の約束で婚約した仲。夜空がしがみついていた過去、小鷹との特別な関係など鼻で笑って吹き飛ばしてしまうような濃密な関係が、小鷹と星奈の間には存在したわけです。夜空が大事にしていた過去は、実は星奈の持っていた過去にも勝てないものだったのでした。その上、星奈は過去なんかどうでもいい、と公言してやまないわけです。完敗食らった夜空の放心状態を見る限り、果たして彼女がこれまでどおり過去にしがみついて現状を維持しようとするのか。自分の殻の中に閉じこもったままでいられるのか。件のエピソードの直後、さらに転落人生に直面して大人しくなり、その後のエピソードでも目立った動きを見せなかった夜空。というか、彼女に関する描写がそれ以降極端に少なくなってしまい、彼女が今どういう状態にあるのかわからないのだけれど、果たして今までの価値観が全部台無しになってしまった夜空がどう動くかこそが、小鷹の真実が発覚した今、事態を動かす重要な鍵になるのかもしれない。
これで夜空が変わらないままだと、状況は完全に停滞しちゃうもんなあ。理科の決死のアタックは、華麗にすかされてしまったわけだし。理科は貧乏くじだよなあ、これ。理科だけがまともな分、一番割りを食うポディションに収まるしか無い。これ、理科当人もわかっていることだろうから、辛いぞ。

しかし、今回はまた章タイトルパロディで遊びまくってるな。「これはゾンビですか?」ネタはまだしも、「俺の婚約者と幼なじみが修羅場すぎる!」とかまんまじゃないか! はからずも元ネタの方はちょうどそのとおりの話だったわけだしw
巻末で大きく事態が動いたと見せかけて何事もなかったように次の巻がはじまるのがこのシリーズのスタンダードなので、次も冒頭から大きく話が動くことはないのだろうけれど、さり気なく人間関係の変転は着実に進んでいるのもこのシリーズ。何だかんだと振り返ってみると話は動いているので、次回も注意深く進展を見守りたい。特に夜空。私はまだあのジャージについては怒ってるんだぞ、この女。今回もデートなのにジャージのままとは、許せん。夜空に関してはジャージを脱ぐまで絶対に許さない♪

平坂読作品感想