千の魔剣と盾の乙女4 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 4】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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冒頭のカラー口絵で描かれた、エリシアもドン引きのニーウ師匠のバル師匠に相手にされなさの悲惨な歴史には泣いていいものか笑っていいものか。出会ってから十年。片思いし続けてもう七年。此れに比べると、エリシアは恵まれてるよなあ。ってか、ニーウももう結構イイ歳だろうに、未だに諦めてないのか。ある意味ここまで来ると根性だよなあ。世界観的に見ても、二五歳は行き遅れと言われても仕方ないはずだし。まあ、ニーウ師匠は前線でバリバリ働く名望高い超一流の魔剣使いですから、肩身が狭いと言うことはないでしょうけれど。
それにしても、バルトゥータスに脈はこれっぽっちもなさそうなのが本当に悲惨だw

と、今回は金環の魔物が待ち構える、かつて陥落した都市ガーリャの奪還戦。数百人規模の魔剣使いが参加しての、人類側戦力の相当数をつぎ込んだほぼ戦争と言って過言ではない規模の戦いである。これまで大陸と島都市との接触による魔物たちの上陸侵攻を防ぐ形での防衛戦と違い、今度の戦いは防衛拠点がない逆侵攻戦である。そもそもの難易度が桁違いな上に、完全に待ち伏せを食らった形になっていたので、これ殺意が高い作家なら、かなりの規模で死人が出てたんじゃないかなあ。ニーウ師匠と老戦士のサイフォスなんかは完全に死亡フラグ立ってたもんなあ。特にニーウ師匠はヤバかった。作家というのは少なからず嗜虐心があるもので、これ途中まで本気でニーウ殺すか迷ったんじゃないかなあ。殺してしまうと作品の雰囲気がガラっと変わってしまうし、登場人物たちの今後の生き方にも変化や影が落ちてしまい、相当の方向転換を強いられるだろうからまずそれは出来ない選択ではあったんだろうけれど、シチュエーションが刺激的すぎたし、ヤッてしまってもいいんじゃないか、という誘惑にはだいぶかられたんじゃないだろうか。まああくまで自分の感性なので、正確なところは分からないけれど。
振るうだけで魔剣を壊してしまう呪いが自分に掛けられていた事を知ったのと、魔王を倒すという目的の、動機の弱さを指摘された事実が丁度合わさってしまい、モチベーション低下中のロック。
この主人公ってとことん普通のメンタリティの持ち主だよなあ。
こればっかりはエルシアたちも横から口だしするわけにもいかず、しかし突き放すでもなく程良い距離感で接する三人娘たちの心遣いが若いながらも丁寧で好感が持てる。馬鹿みたいにキャンキャンと自分の気持ちを主張するだけの無神経な子でも、勝手に遠慮ばかりして腰が引けてビビってるのを相手のためと言い訳するだけの卑屈な子でもない、何だかんだと自立した娘さんたちなんですよね、エルシアもナギもフィルも。
もしロックが魔剣使いを辞めることになったら、というこの時のロックの状態を鑑みるなら現実にあり得る未来に対して、それぞれがきちんと答えを持っていたのもその証拠。しかも、それはロックを甘やかすものでも、自分たちを甘やかすのでもない地に足が着いたものなんですよね。エリシアたちがあれだけキッパリと別れる選択肢を口にするとは思いませんでしたし。彼女たちはあくまで自分たちの為に魔剣使いをやっているのであって、決してロックのためじゃないんですよね。でも、だからこそ命を預けあえるし、心置きなく叱咤激励も出来る。これぐらいちゃんと自分で立っていないと、嫁にはなれんよなあ(笑
酒の勢いとはいえ、三人とも俺の嫁宣言をするロックに惚れるw まあ素面に戻るとまったく覚えてないのですが。でも、フィルの誘導もあってなんとなくいつの間にかエリシアもナギも嫁呼ばわりを受け入れてしまったようで、最近のパーティーの雰囲気、なんかアレです(w
さすがにロックもこれはなあなあで済ませなくなってきたようで、よりにもよって魔剣ホルプに目を逸らしてないでちゃんと彼女たちとの関係をはっきりさせるべきであるとお説教される始末。いいじゃんもうみんな嫁で。

戦闘シーンを見ていると、パーティーの実力が格段に上昇しているのがよくわかる。今では息もピッタリだし、既に現状では最上位クラスのパーティーになってるんだろうな、これ。ナギにもここでパワーアップフラグが立ったみたいですし、ストーリー展開の方もそろそろクライマックスかという所に差し掛かってきたようで……。
いや、今一番先の展開が気になるのは、もはや安牌なロックたちよりも、バル師匠とニーウと勇者サーシャの歪つな三角関係がどう決着するかどうかだよなあ(笑

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