鬼物語 (講談社BOX)

【鬼物語】 西尾維新/VOFAN 講談社BOX

Amazon

少女と童女と幼女に囲まれて、阿良々木暦さんのテンションはマックスだぜ!! ……そろそろ阿良々木くんは正式に逮捕された方がいいんじゃないだろうか、と危惧するやら心配になるやら。
なんでこの人、小さい女の子と接しているとこんなに加速度的に人格が壊れていくんだ? 他の時の阿良々木くんはまだしも落ち着いているような気がするのは気のせいか……気のせいな気がしてきた。阿良々木くんは大概こんなだったような気がしてきた。
やっぱり捕まった方がいいんじゃないか?
というわけで、今回は阿良々木くんが人間でも妖怪でもない謎の「ナニカ」に追われるという危機的状況を利用して少女と童女と幼女相手にチュッチュチュッチュとセクハラしまくるという、人間として終わっている回でありました。吸血鬼としての能力を殆ど失って人間同然になってしまった状態にも関わらず人間として終わっているとは此れ如何に?
ってか、阿良々木くん、素で忍にキスしやがったな。今までも妹たちをはじめとして結構チュッチュしている阿良々木くんだけれど、一応何だかんだとキスする理由はつけてたんですよね。それが、忍へのそれは特に理由も何もなくナチュラルに、それこそ恋人へのスキンシップみたいにしちゃってたような……結構びっくりした。
考えてみたら、この【鬼物語】の時系列は【傾物語】の長い旅から帰ってきた直後なんですよね。やっぱり忍との関係は以前よりもなお親密になってるんだろうか。二人の関係については、化物語シリーズとは何の関係もない著者の別作【少女不十分】の作中にてざっくりと一言で明快にされてしまっているので、誤解のしようもないのだけれど。
ガハラさんも大変だなあ、これ。

阿良々木くんのロリセクハラ以外の話となると、ここで忍がキスショットだった頃の、阿良々木くんの前の一人目の眷属を作った時の話を忍自身が独り語りしてくれるのだけれど……阿良々木くんが忍って話すの下手くそだよな、とぶっちゃけてるのにうなずいてしまうくらい、忍の語りはあんまり面白くなかったっ! 語りようによっては面白おかしく聞く人を楽しませるような話にできなくはないと思うような内容だったのだけれど、忍ってばエンタテインメントをまるで意識してなかったからなあ。肝心の一人目の眷属がどんな人物だったのかも、忍の語りからはよく分からなかったよ。人格とかキャラクターとか、さっぱり。さてもロマンスを期待していたとは言わないけれど、むしろそれについては期待したくなかったと言ってもいいけれど、これほどそっけなく扱われてしまうと阿良々木くんじゃないけれど同情が湧いてきてしまう。とは言え、相手の怪異殺しも別に忍と仲が良かったわけでもなく、そもそも二人の間には友情も愛情も親愛も何もなかった、せいぜい知人程度の間柄だったようなのでロマンスどころかドラマチックな展開の一つも存在しなかったのは、ちと拍子抜けであった。
もっとも、忍の語りがどこまで真実かどうかはわからないけれど。あれで忍って気にしぃな所あるっぽいし、実は一人目と自分が親密だったなんて自慢だか懐旧だかを交えた話をしてしまうと、阿良々木くんが拗ねてしまったり、自分との間に距離感が生まれてしまったりしたら嫌だなあ、とわざとそっけなく話していたりしてたら、それはそれで可愛らしいんですけどね。さすがにそれはないかなあ。

ラストの展開には愕然……真宵がデレた!? 噛みました、と誤魔化せないくらいに真っ向勝負でデレやがった。あれ? ここまで直球に告白したのって、ガハラさん以来じゃない?
なんだかびっくりしたまま終ってしまったので、実感も何もなく、ぽかんと突然生まれた空白を見つめるのみ。
え? これは本当なの? 
忍野扇が何者か、というのも含めて、何ともはっきりしないまま終わってしまった話しだった。モヤモヤだがね。扇ちゃんといえば、真宵について決着が着いたみたいな事を言いながらも、念押しするみたいに二回繰り返してたのがちと気になった。

西尾維新作品感想