ラッキーチャンス!〈10〉 (電撃文庫)

【ラッキーチャンス! 10】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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天草家の大バトル大会、ついに終結!
次期当主となる勝者の栄光は誰の手に!?


 霊能力者を喰らうために暴走を始めた砂入道。鏡を自在に操り最上階を目指すトリックスター、ムガル。そして、圧倒的な力を持つ天草家の陰の支配者、ザ・レディ。
 雅人とキチ、天草沙代は、それぞれの想いを胸に、彼らへ最後の戦いを挑む!
 天草家の次期当主をかけた大バトル大会“奉り”が、ついに終結! 果たして、真の勝者となり、次期当主の栄光掴んだのは誰!?
ザ・レディの外見が想像を超えて塩沢ときだった! って、最近の子は知らないでしょう。……カラーでは見たくなかったっ。
という訳で天草編完結! 場合によっては沙代さんがヒロインレースから離脱しかねないんじゃないかと危惧していたんだが、むしろこれまでの曖昧な立ち位置や気持ちを払拭して、堂々と私もメインヒロインになる! とばかりに名乗りをあげてきて、沙代さん派としては正直テンションあがったーー!!
結果として沙代さんとしては非常につらい思いをする形になったのだけれど……いや、ある程度予想はしていたとはいえ、まさかここまで下衆だったとは。もう一人の大反転がなかったら、たとえ雅人の存在があったとしても沙代さんの心は完全に壊れてしまってたんじゃないだろうか。彼女についてはどうも妙な動きをしていたからもしかして、とは思っていたんだが、ここまで劇的にその変転を見せてくれるとまでは考えてなかったので、これは嬉しい誤算。やっぱり直前で奈落の底まで叩き落されたのが大きかったんだろうなあ。これ以上ない絶望を突きつけられ、心をぐちゃぐちゃにひき潰されたところで、即座に貴女は独りじゃないと沙代さんの心を救ったタイミングがまた絶妙でしたし。このタイミングや演出の妙はさすがベテラン作家という技ですわ。
そして何より、最高のタイミングで飛び込んでくる雅人の声。
そりゃ惚れる。あれは惚れる。心が弾む。心が奮い立つ。体中がトキメキで満たされる。指の先まで痺れ尽くす。
カッコイイ、カッコイイよ“ごえん”使い!! 

こっからは完全無欠のパワーゲーム。御託抜きの力押し。小細工抜きの絶対直進。どれだけボロボロになろうと、命を削ろうと、止まらず荒ぶり暴威によって真っ向正面からぶっ飛ばす。
なぜならあの娘が呼んだのだ。助けに来てと呼んだのだ。

「おねがい」
吠えて
わたしの狼

ここはね、この展開だけはね、何より力でねじ伏せるのが一番なんですよ。そうでないとイケない場面だった。暴力と悪意で弱いものたちを蹂躙してきた奴らが相手だったからこそ、それ以上の力で、でも真っ直ぐで他人を想う気持ちの篭った圧倒的な力で、蹂躙しなきゃならなかったのだ。
それを、雅人は成し遂げたのだ。まさに、「最強」を名乗るに相応しい力の行使でした。痺れたね。

東家の塔子ちゃんも、あれだけボロボロにされながら、きっちり意地を見せ、覚悟を押し通してみせたのには惚れ惚れした。この子はこの子でイイ女じゃないか。東家関連はまた後々出てきそうだ。


しかし、単体でも他のヒロインを圧する存在感を示していた沙代さんなのに、素直になれないツンデレという状況によっては足を引っ張るだけの沙代さんの性格を矯正し、調教し、サポートしてくれる人材が彼女の傍らについたというのは、これめちゃくちゃ大きいアドバンテージなんじゃないだろうか。沙代さんの性格だと、自分の気持を自覚しながら、いやしたからこそ余計に自分で拗らせて進展しないという状況も考えられただけに、あの人が補佐についたのは本当に大きい。果たして二宮さん、母親というワイルドカードがあるとはいえ対抗できるのか? ちょっと二宮家の母娘はヒロインとしては「怖すぎ」るんだがw

そして、ラストにはついにあの人達が登場。啓太きたーーーー!!
とうとう【最高の霊能者】も本編登場かー。これはワクワクが止まらない! って、なんか“ともはね”が育ってるーー!?

有沢まみず作品感想