ハロー、ジーニアス〈3〉 (電撃文庫)

【ハロー、ジーニアス 3】 優木カズヒロ/ナイロン 電撃文庫


Amazon

新たなジーニアスあらわる!?
八葉と高行の関係に危機が──


 まもなく期末テストを迎える第三学園都市。テスト対策のために勉強会が催されるが、そこで高行は“ジーニアス”海竜王寺八葉の体調が思わしくないことに気づく。そんなさなか、学園に新たな“ジーニアス”クリスがやってくる。生体工学の“特化領域(ブランチ)”を持つ彼は「八葉を治療するために海外に連れて行く」と告げるのだが……それを聞いた高行は、果たして!? 天才と過ごす青春ストーリー、第3弾!
青春とは懐旧である、というのをシミジミと実感しながら、若者たちの青春模様を遠くから眺める第三巻、完結編だった。
これ、近未来の話なんだけれど、むしろ作中の雰囲気は懐かしい若かった頃を振り返っているような感覚なんですよね。どこか大人になった立場から、未来へと辿り着いた身の上から、羽ばたこうともがいている頃を思い返しているような、淡くも切ない、セピア色の思い出話のようなイメージが読んでいる間、常に寄り添っていた。
結局これって、最初から最後まで一貫して飛び疲れた若鳥たちが羽を休め、疲れを癒し、次の目的地を見つけて羽ばたいていくまでの物語だったんだなあ。怪我などの挫折から自分の行く道を見失い、途方にくれて立ち尽くしていた子供たちが、仲間たちと触れ合うことで心の傷を癒し、自分という人間を改めて見つめ直し、自分の望みを見つけ、再び立ち上がって歩き去っていく物語。そこには友情があり、夢があり、恋があり、未来がある。迷い、苦しみ、何度も心折れて沈んだ上でつかみとり、見だしたものだからこそ、そこには眩いばかりの価値がある。青春だねえ、青春だねえ。
有屋の健気な努力もまた青春。ほんとね、彼女の甲斐甲斐しさと報われなさには涙をそそる。どれだけアピールしても、高行は八葉の事しか頭にないんだもんなあ。最優先は八葉であり、一番大事なのも八葉。決して有屋を蔑ろにしているわけじゃないんだろうけれど、彼は何人もの女の子に気配りできるほど器用な男じゃないものなあ。有屋は将来の展望もしっかりしているし、何よりバイタリティあふれた漲ってる子なんだから、幸薄いという感じでは全くない。絶対、良い人見つかるよ、うん。
この三巻で完結してしまったけれど、あんまりだらだらと長く続けるタイプの物語では最初からなかったみたいだし、切りの良い終わり方だったんじゃないでしょうか。作品の雰囲気はとても好きだったので、次回作にも期待。

1巻 2巻感想