東京レイヴンズ6  Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 6.Black Shaman ASSAULT】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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北斗の正体は夏目かも? という疑念を抱く春虎。夏目と春虎の間にはぎこちない空気が漂う。一方、塾長の力の衰えと連動するように激しさを増す『D』の動き。事態を重くみた陰陽庁は来たるべき戦いに備えるのだが!?
ちょっ、道満ってラスボスか其れに準ずるレベルの敵役じゃなかったのか!? まさかのラスボス強襲編。如何な実戦を経験することで心構えと自立心、向上心を蓄えたとはいえ、未だ雛には変わりない春虎たち。本来なら、強力で手強い、しかし全力を尽くし全能を働かせれば何とか抗えるような相手と矛を交えていくことで力量を上げていくのが順当な成長の仕方なんだろうけれど、ここで今の主人公たちでは何をどうしようとも絶対に勝てない敵と向き合わせるとは。スパルタだなあ。
しかし、無抵抗でやられないのは見事。道満の式の質と物量に圧壊しそうになりながら、一手間違えれば即座に押し潰されかねない極限下で即興でそれぞれの役割を導き出し、最適なパーティーでの戦術を鍛造していくんですよ、この子たち。土御門春虎、土御門夏目、阿刀冬児、大蓮寺鈴鹿、倉橋京子、百枝天馬。まさかこの六人がこんなにバランスの取れた、そして息の合ったチームとして機能するとは、この目で見るまで考えもしなかったなあ。
これはもしかしたら、今後もこの六人パーティーで結構纏まって話の中核に切り込んでいくのかもしれないな。【Dクラッカーズ】や【BBB】がどちらかと言えば1対1の戦闘がメインでしたし、本作もこれまでバラバラに動いていましたからあんまり考えなかったのですけれど、ここまでパーティーとして機能したのを見せられるとなあ。
それに、一人一人で動くにはこの子たち、まだ未熟すぎるんですよね。力が弱すぎる。初心者な春虎に、土壇場に弱く脇が甘い夏目、時間制限付きの冬児。十二神将の一員ながら研究職で戦闘は専門外な鈴鹿。そしてオールラウンダーながら突出した能力を持つとは言いがたい京子に、実戦スキルに乏しい天馬。みんな、一騎当千には程遠い雛であり、これからも早々にいきなり十二神将に匹敵するような実力を得るなんて事も(あるケースを除いて)まずないでしょう。ところが、この六人が組むと実力を遥かに上回る戦闘ユニットとして機能する事が今回の攻防で発覚したわけで、これを一度限りのものとして終わらせるには少々勿体無い。即席だった今回から改めて正式にチームとして組んだら、より戦術なんかも最適化しそれぞれの成長の方向性も見いだせるだろうし、彼らの実力以上の相手とも渡り合える。うーん、これは続くと思うんだがなあ。天馬の成長フラグもここに掛かってきそうだし。
しかし、あの本番に弱い夏目が実力を発揮したら、あれだけとんでもない事になるのか。というか、これまで本当に実力出せてなかったのね。あの鈴鹿が素で驚くくらいだから、やっぱり素質も飛び抜けてるんだろうなあ。あとは実勢経験とくそ度胸がついてきたら、それこそ十二神将レベルまで到達できるのかもしれない。
でもって、当代十二神将の一人である鈴鹿。研究職でしかも力を封じられた段階でこれって、十二神将ってどれだけとんでもないんだ!?
さすがは十二神将という頼もしさを見せてくれたのはやっぱり美味しかったなあ。

とはいえ、現段階ではラスボス級相手に太刀打ちできるものでもなく、善戦虚しく圧倒的な力の前に撫でられそうになった時に現れたのが……やばい、やばい、やばい、大友先生がかっこ良すぎる!!
こっからの大友先生と道満との陰陽大戦は、それまでの春虎たちの決死の滾るような攻防が霞んでしまうくらいの次元が違う、本物の超一流の術士同士の全開バトル。今の春虎たちでは絶対に辿りつけないうてなの領域にある戦いである。凄かった、これはマジ凄かった。間違いなく東京レイヴンズシリーズにおける現段階での最高の決戦。大友先生、マジかっこいいっ!! どんだけ強いんだよ、この人は。しかもこの強さ、単なる腕っ節だけじゃなくて、むしろ知略策謀にあるところがまた痺れる。あの道満を実質手玉に取るってどんだけだよ。

でも、問題はこの道満の襲撃はあくまで枝葉に過ぎないって所なんだよなあ。爺さん、派手に動いたわりに今回の一件は裏で動いている核心からすると、決して本筋じゃないんですよね。状況を動かす要因にはなったとしても。仕込みをしたあの人の目論見といい、道満の式だというあの人の目的といい、道満の標的を奪い去ったあの人の思惑といい、ずっと傍観しているあの男の考えといい、まだ何も見えてないのが実際の所。でも、その四人の視線の先にいるのが春虎と夏目であるのは間違いないんですよね。あの大友先生と道満の攻防を見ていた時の春虎の反応、あれは完全に伏線だよなあ。

黒幕たちの思惑が未だ見えないのと同時に、結局春虎と夏目の微妙な関係、具体的には春虎の夏目が北斗なんじゃないかという疑いも解決しないまま、次回に持ち越し。鈴鹿が身内同然になってヒロインとしてほぼ立脚したので、マジで夏目さんうかうかしてると喰われますよ?

あざの耕平作品感想