正捕手の篠原さん (MF文庫J)

【正捕手の篠原さん】 千羽カモメ/八重樫南 MF文庫J

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新人賞【審査員特別賞】受賞! 青春の輝きは2ページ!
「青春の日々は短いんだよ。どれだけ短いかというと、文庫本で2ページぐらいだね」明神高校2年生の篠原守は野球バカの優等生。今日も今日とて、仲間たちと一緒に青春の汗を流しながら栄光の甲子園を目指す……ということはなく、お嬢様マネージャー・深見月夜にイタズラされ、全然野球をしらない顧問の涼子先生をからかったり、突然、妹の篠原杏が選手として入部してきたり、エース投手の綾坂真琴が、実は女の子だったりと、あまり野球ができない日々を過ごしているのだった……。新人賞【審査員特別賞】受賞! 史上初の2ページ青春コメディ。全100話収録!
うおお!? なにこれ、めっさ面白いんですけど!? 一話がほぼ2ページという超超短編の連作集、ということで「えー、なにそれ面白いの?」とかなり胡乱に思いながら読み始めたのですが、なんのなんの。すんごい面白かった!
殆ど初手から畳み掛けるように軽快にアタックを仕掛けてきて、登場人物も戸惑う暇なくキャラ立てをリズムよく済ませ、あれよあれよという間に作中に引きこまれてしまいました。
いやなるほど、これは確かに4コマ漫画の小説版だ。世界観の構築の仕方とか、キャラクターの見せ方とか、話の進め方とか殆ど一緒だものね。でも、一緒のやり方したからといって簡単に出来るものじゃないはず。漫画と小説じゃ全然スタイル違うんだから。それを見事にやれちゃってるこの作品、というか作者って何気に大したもんだと感心させられた。 
最初これ、女子野球部の話かと思ったんですよね。何しろ口絵の最初の紹介人物は表紙にもなってる女性の綾坂ですし、その隣の二番目の紹介には捕手だという篠原杏がデカデカと1ページ占拠していたわけで……。てっきりタイトルの篠原さんってこの娘かと勘違いしかけた。タイトルにもなってる主人公の娘さんじゃなくて、なんで違う娘が表紙を飾りーの、カラー口絵のトップを飾りーのしてるのか、かなり混乱させられたのですが、その次のページの隅っこに、主人公だという正捕手の篠原くんがちんまりと描かれているのに気づいてようやくこれが普通の高校の野球部の話だという事を把握。主人公、わりとイイキャラしてるのに、この扱いは酷いw

綾坂は普段から男のふりをしているのかと思ったら、部活の時だけ兄貴と入れ替わってるんですね。さすがに高校生活を全部男のふりして、というのは見た目があまりにも女性的であるのも含めて無理があるよなあ、と思ってたのだけれど、なるほどこれなら兄貴の印象もあって意外とバレにくいのかもしれない……って、その胸は無理だ!! ま、まあイラスト的にはぺったんで描いたら見栄えが問題だからしてわざとユニフォームでも胸が目立つように描いたんだろうし、実際中の挿絵ではちゃんと胸の膨らみは分からない程度に抑えこまれているのもちゃんと描かれてたので納得は出来るんだが……体型から見たらわかるよなあ。
でも、中学時代から有名選手として名を馳せていたようですし、やっぱり意外と先入観でわからないのかも。
でも、綾坂って選手の時は兎も角、普段の女生徒の時はちゃんと普通に女の子らしいんですよね。きっちりと野球選手の自分と女の子の自分を分けて考え、実際に行動しているあたりは好印象。それだけ、野球をやりたいという野球が好きという気持ちが伝わってきますし。

ラスト近辺で、篠原兄妹には性別がバレてしまうのですが、その途端二人共お互いを意識し始め、メキメキと音を立ててラブコメの木が芽を出し幹を伸ばしはじめたので、これ二巻以降もなかなかニヤニヤさせてくれそうです。幼なじみで自由奔放なお嬢様マネージャーの月夜が何気にドンとヒロインとして仁王立ちして来るならこんかいとばかりに胸張って待ち受けてますし、妹の杏もお兄ちゃんにライバル心むき出しのくせに、お兄ちゃん大好きっ子すぎるだろうという、妹ツンデレ枠?を発揮しまくっているので、ヒロインには事欠かず。確か野球部もののはずなのに女の子率高いなあ! 先生も、教師としては超一流なのに野球部の顧問としてはとたんにダメっ子になるあたり、キャラ立てに余念が無いなあ(笑

ショートショートということでもっと歯応えがないのかと思ってましたけれど、ちゃんとストーリーも立脚していて思っていた以上に楽しめました。これは二巻以降もなかなか楽しみ。