Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)

【Tとパンツとイイ話】 本村大志/前田理想 MF文庫J

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朝、日渡陽太が目を覚ますと後頭部が抱き枕のジョゼ子と一体化していた。この抱き枕は悪友の影時から預かってくれと頼まれたもので俺の趣味ではないんだけど、このシルエットはどう見ても……"T"!! しかたなく「斬新な髪型」で押し通すことにして出かけるが、登校途中でぶつかった女の子の胸と俺の手が一体化してしまう。「ちょっと……、どういうことなの」――冷たい目で俺を見上げる女の子は幼なじみの光里だった。む、胸の感触が直に……ともかくっ、いったい俺の身に何が起こってる!? 第7回MF文庫J新人賞<優秀賞>受賞! 怒濤の合体ラブコメ、はじまる!!
のっけから想像の斜め上を行く展開に唖然呆然ののち、大・爆・笑!! 作者の発想がぶっ飛びすぎていて、これはもう、ひっくり返って笑うしかなかった。いや、おかしい、それはいくら何でもオカシイ。掴みはOKにも程があるだろうというインパクトを初手でカマして、そこで得られた愉快な熱を冷ますこと無く、勢いのある文章と軽妙で惚けたキャラの掛け合いで畳み掛け、最後までそのまま楽しくて仕方ないテンションで走り切らされてしまった。控えめに言っても、最後まで「夢中」で読まされた。うむむ、この話のノリに乗せて捕まえ逃さない絶妙の引力は素晴らしかった。
なんかもう「T」のアルファベットが目に入るだけで想像図が頭の中にうかんでしまって、笑いが止まらなくなってしまったじゃないか! 今ならタイガースの野球帽を見ただけでも吹き出せる!

これ、MF文庫では珍しいことにヒロインは幼馴染の光里ひとりだけなんですよね。他にもう一人女性キャラは登場するけれどサブヒロインと呼称するのも違うような立ち位置で、主人公に絡む女性キャラは実質光里だけ。そもそも登場する女性キャラからして光里を含めて二人だけ、という少数精鋭なのである。昨今のライトノベルの中でも特にハーレム主義の傾向の強いMF文庫としては珍しい限り。でも、読むと納得するしかないんだよなあ。正直、この主人公とヒロインのラブラブっぷりは余人の介在する余地なし。そもそも主人公の陽太からして自覚があるかどうかは兎も角、光里以外に眼中ないし、光里は光里で完全青信号。陽太に対して殆どノーガード戦法なのである。胸揉まれても無抵抗で起こらないし、のーぱんも辞さないというのはどれだけハードル低いんだか。それでいて、ファーストキスをしてしまったあとは照れっテレというのも可愛い限り。カワイイものを目の前にした時以外はラッキースケベの対象となってもわりと感情の抑揚が少ないタイプなんですよね、この娘。これも素直クールというカテゴリーに分類されるんだろうか。
もういいからあんたたち結婚しちゃいなさい。
なんか、結婚する前に既に子供が出来てしまっているようですがw
さすがにここまで相思相愛だと、他にヒロインが割って入る余地が皆無だもんなあ。陽太くんは光里最優先主義だから、他のヒロイン出てきても目移りもしなさそうだし。女性キャラを出さなかったのは英断かも。
その代わりに、強烈な個性の男性キャラを二人出してきて、この二人がまた存在感出しすぎ、なくらいに大暴れ。特に主人公の親友である変態オタクの影時くんが素晴らしかった。なにこの友情に厚いスーパー紳士にして超絶的な性格イケメンの漢は!? もうこの人、社会的に抹殺されかねないくらいの変態さんなんだが、その人生投げ打ってるオタク趣味よりも上位に、彼は友情を位置づけてるのである。自分が命の次くらい、或いは自分の命と同等に大切にしている魂の宝物を、彼は友人の為にあっさりと迷わず廃棄しようとし、また友人の名誉を守るために自分を貶めて堂々と胸を張り俯かない。親友の恋のサポートに尽力する心配りのきめ細やかさや、親友のピンチに苦労を惜しまないひたむきさ。そして、事件の真相を見抜く洞察力と勘の鋭さ。
何もかもがキマっていて、惚れてしまうやないか。
影時の意味不明なくらいのかっこ良さと渋さには、何やらその変態性すらスマートでカッコよく見えてくる始末。さすがにそれは錯覚だ!

いやあ、実に底抜けに楽しい、笑えたラブコメだった。主人公カップルのちょいエロ入ったイチャイチャっぷりには終始安心してニヤニヤさせていただきましたし。いいから早く結婚しなさい、あんたたち。