やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫


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ひねくれぼっちに降りかかる新たな悩み! 日々は相変わらず。友達もなく、彼女もなく、孤高の学園生活……のはずが、八幡の中に生じた慣れない居心地の悪さ。それはやはり、部室にいない一人の女子が原因なのか……。それを解決できる器用さが雪乃や八幡にあるはずもなく、発生するのは間違いだらけのイベントばかり。戸塚との甘酸っぱい時間、材木座の慟哭と雄叫び、けっして見てはいけない平塚先生の一面……そして、脱衣トランプ!?  誤った方向に力強く暴走するキャラたちに囲まれて、奉仕部の日常は戻ってくるのか?  ひねくれぼっちの青春ラブコメ第三弾。
あー、なんだろこれ。この変にテンションが乱高下しない、落ち着いた雰囲気、すごく好きだわー。八幡と結衣のすれ違いに寄って生じた空白、今まで通りに流れなくなってしまった人間関係。気まずさが固定化し、徐々に結衣との距離が疎遠になってしまっていく中で、それを食い止めんとハッキリと動いたのは、雪ノ下雪乃その人でした。
ゆきのん、変わったよなあ。少なくとも、このシリーズがはじまった当初はもっと他人に対して無関心だったはず。自分とは関係のない所で距離を置きはじめた他人を、わざわざ追いかけて連れ戻そうなんて真似しなかったはず。いつの間に、こんなに立ち振る舞いが柔らかくなってたんだろう。いつの間に、その辛口や毒舌から刺々しさが消え去っていたんだろう。相変わらず、雪乃は孤高で他人を寄せ付けないシャープでクールな佇まいを身に纏っている。でも、かつて自分を守る殻であり鎧であり、現状への順応の形だったそれは、今や弱さを意味するものではなく、強さの象徴。武器であり剣となっているように見える。
自身の迷いも、怯えも、逡巡も、その鍛造されたクールさで切り払い踏み越えて、自分が本当に欲するものに素直に向き合い、掴みとろうとする強さを、今の雪乃には感じるのだ。
慌てず騒がずジタバタせず、自分の本心と向き合い、傍目には淡々としているように見えるほど落ち着いて、たった一人の友人の為に動いた雪乃の一途さは、ぶっちゃけ痺れるほど格好良かった。
雪乃みたいな娘が、誰に言われるでもなく自分から、結衣の誕生日を祝ってあげたいとプレゼントを用意し、会を企画したんですよ。雪乃みたいな子が。八幡と結衣との間に何かがあったのは、聡明な彼女ならおおよそ見当もついていたでしょうに、それについては一切言及せず、追求もせず、変に人の気持ちをほじくり返したりもせず、触れないままでした。これは、踏み込まない優しさだよなあ。
多分、いずれ、踏み込まないと先に進めない瞬間は訪れるんでしょう。それでも、今この時だけは雪乃の踏み込まず、でも放っておかない優しさが沁み渡ったのでした。
前巻で結衣のこと、めちゃくちゃ好きになったのですけれど、今回の話で雪乃の事もすんごい好きになってしまった。ふたりとも、いい子すぎるわ。

それにしても、雪乃の結衣へのデレっぷりは此処まで来ると殆ど陥落状態だ。はっきり結衣のことを自分にとってのオンリーワンと言い切ってるしなあ。それでもベタベタしないところは雪乃らしいけれど、結衣は結衣で雪乃の事が大好きなようなので、もう傍目にはイチャイチャしているようにしか見えない。
……さて、結衣と雪乃、八幡と戸塚、なんで同性同士でばかりイチャイチャして甘い雰囲気出してるんだこいつら?
結衣が距離を置いていた為に、必然的に…或いは偶然的に雪乃と八幡が二人きりで行動する機会が増えたのですが、この二人って本当に恋愛臭発生しませんよね。どちらも、相手のことを異性として全く意識などしていないのは間違いなく、ラブコメな展開にならないのは凄いと思うくらい。ただ、それが雪乃と八幡の関係が悪かったり、冷たかったり、何の変化もなかったり、という訳じゃないんですよね。異性としてのそれはさておいて、友人としてはちゃんと仲が深まっていってるんですよ、これが。今まで気づかなかったお互いのイイ所や隠された一面を知る機会が増え、親しみが増し、好ましい人物として相手を認めていっている。
今なら、口ではともかく、本心ではちゃんとお互いのことを信頼できるいい友達だと思ってるんじゃないかな。
この恋愛感情がマジでゼロの関係だからこそ、何となくですが雪乃と八幡の関係って今が溜めの時期な気がしてきた。ゼロだからこそ、1が発生する時の威力、インパクトがとてつもないことになりそうな。そう思うと、今は何ともない二人の関係にワクワクしてしまう。
それと同じくらいに、結衣の淡い恋心も眩しくて、果たして二人の恋が出揃ったときの化学反応がどれほどのものになるのか、今から胸が高鳴るばかりです。
ギクシャクしていた結衣と八幡も、雪乃が仕切りなおししてくれたお陰で、なんとか元の鞘に。元々、現状認識のボタンの掛け違いが原因のギクシャクでしたからね、雪乃の前提を整地してしまうやり方は上手かったと思う。ただ、そのシーンでの雪乃の台詞は、ずいぶんと気になるものでしたけれど。
彼女の問題は、それこそ結衣と八幡、二人がかりでないとどうしようもないものなのかもしれない。雪乃の姉が顔見せ程度に出てきたのも、どうやら伏線だよなあ、これ。

さて、相変わらず女性サイドの残念度を一人で引き受けている平塚先生が、なんともかんとも(苦笑
先生、毎回泣かされてるよな。誰か、誰か慰めてあげてよ!

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